11話 結託
・「ありがとうございます。」
小春はホテルの受付で手続きをしていた。
・「おーい。勘解由くん、茜くん、部屋取れたよ。」
・「おっ、サンキュー。」
・「小春全部やってもらってありがとな。」
茜はしっかりとお礼を言った。
・「いいっていいって。……じゃあ部屋番号は906だからね。1回行こっか。」
3人はエレベーターに乗る。
・「なぁ、もしかして3人一緒の部屋か?」
・「勿論そうだけど、なに?勘解由くん私と同じ部屋だから緊張してんの?」
・「ばっ、ばか!そんなんじゃねぇよ。」
・「えぇ〜。襲わないでよ〜。」
・「襲わねぇわ!!!!」
・「ふっ、楽羅お前童貞だろ?」
・「はっ?違うが!はっ?」
・「はっはっはっ!!!別に恥ずかしくねぇって、な?チェリーくん。」
茜は楽羅を煽り散らかす。
・「てめぇ、殺すからな。必ず。」
楽羅は殺気を込めて言った。
・「ほらっ、着いたよ。9階。」
エレベーターを降りながら小春はいつも通りに2人を宥める。楽羅と茜の口喧嘩それを小春が仲裁。もう見慣れた光景である。
・「それに安心して、中にはちゃんと鍵付の部屋が3つあるみたいだから。これからしばらくはここで暮らすんだから仲良くしよ?ね?」
振り返りながら言う小春の姿が可愛く感じた。
・「ふん、勝手にしろよ。」
3人は部屋に入り、今後の方針について話し合う。
・「とりあえず、なにがあるかも分からずにここまで来ちゃったわけだけど。各々の目的をはっきりさせましょうか。」
・「そうだな。」
・「まずは私から。私は第二紅鏡機構と言うCUBEを研究している機関に所属しているんだけど、ここまで来たのもCUBEの研究が目的よ。」
・「へーそんな目的があったんだな。ちゃんとしてんのな。知らなかったわ。」
茜が言う。
・「うん。組織は世界各地にあるんだけど、もしかしたら他の部署の人がここに来てるかもしれないの。」
・「何だ?連絡は取り合ってないのか?」
・「そうなの。突発的だったのと、こんな国があるなんて思いもしなかったからね。でも組織みんな招待状の情報はもちろん知ってるはずだから、」
・「来てる可能性は高いってことか。」
・「そう。ここに来てスマホ取られちゃったしまずは情報収集からかな。……茜くんは?」
・「俺はフーベルト・シュタイン……シュタイン博士に会いたいんだ。」
・「シュタイン博士に?」
・「そう。前にシュタイン博士からのメッセージがあったろ?それでここまで来たら会えるんじゃないかってね。」
・「確かに。発信はシュタイン博士からだもんね。でもなんでそんなに会いたいの?」
・「まぁ、要するに俺はシュタイン博士のファンなんだ。」
・「ファン?」
・「あの博士の突飛な考え方が好きで、論文なんかは全部読んでるよ。いつかは学会なんかも参加できるといいんだけどな。まぁ、会ってどうなるかって言われるとわかんねぇんだけどな。」
いつもムスッとした顔の茜の表情が少し和らいでいるのがわかった。
・「きっと会えるよ。茜くんがCUBE持ちになったのも何かの運命かもね!」
・「そうなんかな。」
・「っにしても。お前論文とか読むんだな。馬鹿みてぇなのに。」
ぼーっと話を聞いていた楽羅が言った。
・「はぁあ?馬鹿みてぇなのはテメーの方だろ!このアホ面が!!俺は天才なんだよ!!」
・「うるせー!バーカ!バーカ!ならIQいくつだよ?ほら答えてみろよ!天才なんだろ?頭いいんだろ?」
・「IQって、お前。それ聞くのほんまもんの馬鹿しかいねぇぞ。」
・「答えられねぇんだ?答えられねぇんだ?」
・「…………はぁ、188だが。」
・「えっ、」
楽羅それを聞いた瞬間に時が止まったように黙り込んだ。
それは茜が思ってたよりちゃんと頭が良かったからだ。
・「あのなぁー。お前煽るなら確信を持って煽れよ。返り討ちにあってたら意味ねぇだろ。それに俺なんか全然だぞ。シュタイン博士はIQ230を超えてるって噂だ。」
・「…………だって、だって、自分で天才って言うやつは天才じゃないって聞いた事あったし、」
楽羅は体育座りをしていじけていた。
・「普段から自称するやつはあんまりいねぇけど、天才は自分が天才ってことも分かってるんだ。だから天才なんだよ。」
・「…………だって、お前が、」
・「あん?」
・「だって、だって、お前ばっかりずるいじゃん!勝ち誇った態度して。……俺、……俺、童貞じゃねぇし!」
・「…………。」
茜はキョトンとした顔をして、
・「はははははは!!!お前さっきのまだ気にしてたのかよ!!!はははは!!お前案外、女々しいとこあんだな!!はははは!!!やべっ!笑いがとまらん!!」
・「うるせー。」
楽羅はまだいじけている。
・「はははっ。すまねぇ。すまねぇ。悪かったよ!言い過ぎた!確かに言い過ぎたな!!謝るから元気だせよ!なっ!」
バシバシッ!
茜は楽羅の背中を叩きながら慰めた。
・「………………。」
・「んでよー。お前の目的はなんなんだ?楽羅。まだお前のは聞いてねーだろ?」
・「……どーせ、また笑うだろ?」
・「笑わねぇーよ。」
・「おぅ……」
・「なんだって?」
・「俺はこの世界の王になる。」
・「…………………。」
茜はそれを聞いて黙り込む。
・「ほらやっぱり、笑うっ、」
・「笑わねぇよ。」
茜は食い気味に言った。
楽羅は振り返り茜を見た。すると茜は真剣な表情をしていた。
・「いい夢じゃねぇか。」
・「………………。」
楽羅は驚いていた。それは茜の言葉が余りにも予想外だったからだ。
・「CUBEの力があれば王にだってなれる。そうシュタイン博士も言っていた。博士は口にしたことを全て成し遂げてきた。例え周りがそんなこと出来ないと馬鹿にしてこようとそれを跳ね除けて全て証明してきた。そんな博士が王になれると言うならなれるってことなんだよ。……俺はなんでシュタイン博士がこんな時代にあえて「王」という言葉を使ったのか気になってたんだ。…………よし!決めた!」
・「決めた?何を?」
・「俺がお前を王にしてやる!!」
・「はっ?何言ってっ、」
・「勘違いするなよ。俺らは対等だ。例えお前が王になったとしてもな。その上で手伝ってやるって言ってんだ。」
・「なんでそんなことしてくれんだ?お前、俺を殺そうとしてたんだぞ。」
・「ははっ!そんなことあったな。でも謝っただろ?」
・「まぁ謝ったけど……(あれは謝って許されることなのか?まぁいいいか?……。)」
・「あん時はシュタイン博士の言葉を俺なりに解釈してCUBEを集めようとしてたんだよ。だがたった今展開が変わった。俺は別に王なんて興味はない。ただシュタイン博士の証明を陰ながら手伝いたい。だったらWinWinだろ?」
・「そうなのか?……まぁ、分からんけど分かった。」
・「ははっ、なんだ?その多分絶対みたいなアホみたいな言葉は。」
・「アホ言うな!」
・「良かったぁ!!」
そこに小春が割り込んできた。
・「ってことは私達、WinWinWinだね!!!」
・「なんか上手く話しをまとめようとしてねぇか?……まいっか、俺は楽しければなんでもいいわ。」
・「きっと楽しくなるよ!!ねっ?茜くん!」
・「あっ、ああ。そうだといいな。とりあえず全員の目的と利害は一致したんだ。これからよろしくな。」
・「よろしくー!!!イェーイ!!!」
小春は元気よく楽羅と茜に向かって同時にハイタッチした。
・「いぇーい???」
楽羅は戸惑いながらも内心喜んでいた。なぜならこれが初めてできた仲間だったからだ。
・「何はともあれ、俺たちはこの国のことを知らなすぎるとりあえず観光がてら情報収集するか。」
茜が言った。
・「観光?!!いいのか?」
楽羅は目を輝かせていた。
・「ああ。別に観光ぐらい構わんだろ。長旅で疲れてるからな気持ちのリフレッシュは大切だ。そこから新たに見えてくるものもある。何事においても他視点から見ることがとてもっ、」
・「そっか!!茜、お前意外と良い奴だな!なら遊んでくるわ!!!」
・「おいっ!まだ話のとちゅうっ、って!!お前ここ9階だぞ!!!」
ガラガラ!
楽羅は部屋の窓を開けて、
・「じゃあ!行ってくるなぁー!!!」
なんと9階の窓から飛び降りた。
・「…………あいつ、馬鹿だと思ってたけど命知らずなんだな。」
茜は楽羅の行動に呆気にとられていた。
・「そうなの。楽しければなんでもいいみたい。」
小春は分かる分かるといった感じに頷きながら茜の気持ちを察しながら言った。
・「俺らも行くか。」
・「そうしよ。」
ドンッ!!
楽羅は地面へと着地した。
・「痛ってー。やっぱり9階はちと高すぎたか?」
・「よし。じゃあなにすっかな?……やっぱりまずはギャンブルだよな!遊ぶなら金が必要だ。ってことは稼ぐしかねぇよな。シシシッ、さっき小春に貰ったお小遣いで……よっしゃー!!!10倍にしてやるぜ!!!!」
楽羅は悪巧みをした様な顔をしながらルンルンと歩いていった。
一方その頃。茜と小春は。
・「私こっちの方に行って見ようと思うの。」
そう言って小春は指をさした。
そこは薄暗い路地裏で気味が悪い雰囲気を漂わせていた。
・「おい、そんな所行って大丈夫か?危ない香りがするぞ。ついていこうか?」
・「うんん。大丈夫!茜くんもきっとやりたいことがあるんでしょ??」
・「ああ。俺は取り敢えず図書館を探そうと思ってるが、でもそんなの後回しでもいいぞ。1人は危険だから。船内アナウンスでも言っていただろ。ここには独自の法律があるって。何があるか……。」
・「心配してくれてありがとう!!でもホントに大丈夫。二手に分かれた方が効率もいいでしょ?それに私だってCUBE持ちよ。」
小春はそう言いながら左手首のブレスレットを見せた。
・「そうか……なら気をつけろよ。」
・「うん!ありがとう!!ならまた後でね!」
小春は暗い路地へと入って行った。
1時間後。
・「げはははははははははっ!!!!!笑いがとまらねぇ!!!万枚だ!!万枚!!!!」
カジノのメダルゲームの台から下品な笑い声が響いていた。
楽羅は早速カジノを見つけてギャンブルをやっていたのだった。
【カジノ ユートピア】20階の高層ビルには多種多様なギャンブル場が入っている。フロアの7割はカジノであり、高層階に行けば行くほど賭け金が増えていく。
楽羅が居るのは5階の一般エリアである。中ではたくさんの人々が、カジノ楽しんでいた。
・「ガハハッ!!!これは小春も喜ぶぞー!!!」
楽羅はウキウキだった。
だかしかし……
ドゴーンッ!!!!
・「あ?なんだ?」
・「きゃー!!!」
その悲鳴と共に逃げ惑う人々。
楽羅の目の前のメダルゲームの台がボコボコに壊れた。
いや、壊されたのだった。台には何か鈍器で殴られた様に凹んだ後があり、周りはそのせいで埃煙が充満している。
スー……と埃煙が落ち着くとそこには紺色のオーバーオールに大きなハンマーを持った男が立っていた。
・「ねぇー君、こんなとこで、1人でいるなんて良くないよー。それは危ないよー。」
楽羅はイスからゆっくりと立ち上がり、
・「あー。今いいとこだったんだけどなぁ。」
明らかに怒りがふつふつと込み上げているのが分かった。
・「オイラは チグハグ みんなからそう呼ばれてる。お前は?あっ、やっぱりいいや。だから覚えられないし。あなた、この国に来たばかりでしょ?ところがいきなりこんな目にあうなんて思いもしなかったよね?すなわち初狩りといかせてもらいますね。」
・「……さっきから何言ってんだ?てめぇ。接続詞イカれてんぞ。話もまともにできねぇのか?」
・「理解できないの?だから頭が悪そうなんですね。」
・「…………うーわ。なんかちょこちょこ合ってる時があるのマジムカつくな。」
・「および、殺させて貰うね。」
チグハグの体がピクっと少し動いた。
その時、
トゴンッ!!!
大きな音と共にまた埃煙が上がる。
気づくとチグハグは地面にめり込んで倒れていた。
楽羅が一瞬でチグハグの上へと飛び思いっきり拳を振り下ろしたのだった。
・「マジで興ざめだわ。俺の楽しみを奪うやつは神様だろうと許さねぇ。」
楽羅はチグハグを上から見下ろした。
読んで頂きありがとうございます!!
ブックマークや評価★で応援して貰えるととても励みになります!!(↓↓↓からできます。)
これからも作品をよろしくお願いいたします!!




