LOG.22 ー 最後の招待状 ー Her Last Call
——実話。
俺と、現役モデルと、不倫と…。
こんな人生で、マトモは無理。
たった一度の出会いで、人生が壊れた。
これは、その記録。
————
ミカの事務所に電話をした。
尊敬する先輩の店で
広告を撮るために、
モデルとしてミカを紹介したい、と。
話はすんなり通って、
撮影依頼は成立した。
俺の店から先輩の店までは、車で3時間。
「誰が連れて行くか」は後で決める、
という流れになった。
その日の夜だった。
画面に“ミカ”の名前が光った。
ミカ
『久しぶり。ねぇ、二人で行こうよ。
アタシを乗せてって。
事務所には言っとくからさ。』
シン
『わん!♡』
『久しぶり!嬉しい!早く会いたい♡』
『番号消したんじゃなかったの?♡』
ミカ
『はいはい、よかったね』
『可愛いね、ワンちゃん』
『じゃ、当日よろしくね』
だが翌日、事務所から着信が入った。
事務所
『二人で行かせるわけねぇだろ。
勝手に決めんな、バカ。』
普通に、めっちゃ、怒られた。
スーパーおっしゃる通りです。
結局、
ミカ、マネージャー、俺の3人で行くことに。
しかも運転は、なぜか 俺。
まぁ……
ミカに会えるなら何でもいいけどよ。
ぶっちゃけ、片道3時間はキツイぜ…。
ーーー
さらに、別な問題もあった。
マネージャーがいると、
ミカとまともに話せない。
車内では
当たり障りのない話題しかできず、
距離感も、声も、空気も、
全部“事務所仕様”だった。
車は3時間かけて先輩の店に到着した。
何度も言うが、"片道3時間" だ。
ミカを乗せてなかったらブチ切れてるぞ。
ーーー
ミカが
“メイ”に変身して撮影を始めると、
先輩が俺に言った。
先輩
「人多くて、狭いからさ。
シンくん、どっかで時間潰しといて。」
「わりぃ、ごめんな。」
まぁ、それはそうだ。
カメラマン、照明、
マネージャー、ミカ、
先輩、先輩のスタッフ数人、そして俺。
12畳ほどの店には人口が多すぎた。
ーーー
俺は一人、
先輩の店から少し離れた
サウナへ向かった。
サウナの中で
ミカとの夜を思い出した
ミカ… ミカ…
………っ!
そして、不覚にも、息子が元気になった。
さすがに
サウナで元気になるのはホモい。
"そっち系"
だと思われたくないので、逃げた。
俺はすぐにサウナを出て、
マイク・ワゾースキー
くらい小さく丸まって
前傾姿勢で
ヘコヘコ脱衣所に避難した。
俺は一体なにしてんだ?
早く終わってくれ!
ーーー
ひとまず落ち着いて、
着替え終わった頃、
ミカからLINEが届いた。
ミカ
『迎えにきて』
それだけで嬉しかった。
ーーー
帰りの車で、
また他愛もない話をした。
恋バナになった途中、
マネージャーが口を開いた。
マネージャー
「ミカ。」
「彼氏の存在は絶対にバレないようにね。」
は?
ミカには…彼氏ができたらしい。
助手席のミカは、スマホで
よく分からないアニメを見ていた。
シン
「それ何?」
「なんのアニメ?」
ミカ。お前 アニメ嫌いって言ってたろ。
彼氏がアニメ好きなのか?
ミカ
「彼氏に見ろって言われてるやつです。」
「つまんないけど。」
ほーら。 な。
心がズキッと鳴った。
……あぁ、"ほんとうに彼氏がいる"んだな、と。
ーーー
事務所に着いて、ミカを送り届けた。
俺は
“仕事モード”に切り替えて
ミカを
キッパリ今度こそ忘れようと覚悟して、
そのまま帰ろうとした。
だが、
スマホが震えた。
画面には、たった一行。
ミカ
『フォレスト、最後ね。すぐに来て。』
俺はスマホを握りしめたまま、
迷いもなくアクセルを踏んだ。
向かうのは、いつものホテル。
シン
『わん』
今、1人、貴方の、元へ、向かっています。




