LOG.21 ー 心も身体も ー Repeat
——実話。
俺と、現役モデルと、不倫と…。
こんな人生で、マトモは無理。
たった一度の出会いで、人生が壊れた。
これは、その記録。
————
結局、
最後に残った5号機とも
なんとなく疎遠になってしまい、
俺にはもう、
誰も居なくなってしまった。
たくさんいた
ミカレプリカ達は
自分の幸せの為に、
俺から離れてしまった。
久しぶりの
静かな時間のはずなのに、
心のどこかで
ずっとザワついていた。
俺はある日、
ふと店のカウンターに立ちながら気づいた。
あれ…?
常連…こんなに少なかったっけ?
いつも来ていた顔が、
ぽつり、ぽつりと消えている。
最近は昼も夜も
予約カレンダーの空きが目立つ。
なんか…暇になってないか?
空き時間も常に
レプリカ達とLINEを ぶん回し、
レプリカ達のシフトを組み、
何かあればメンタルケアをして…と
ミカレプリカの
管理運営に追われていて
本業に気持ちが入っていなかった。
最初は“気のせい”で片付けた。
でも予約の薄さは
数週間続いた。
ヤベぇ。
この静けさ……本物だ。
嫌な汗をかきながら、
何ヶ月ぶりに売上の計算をした。
画面を見た瞬間、
背中に冷たいものがスッ……と走った。
……手取り、8万。
シン
「は?」
声が出た。
俺は自分の店のオーナーだ。
一番働かなきゃいけない立場だ。
それなのに、女遊びに熱中しすぎて、
仕事を完全に“オートモード”にしていた。
そして店の流れは、
そんな俺の怠慢を正直に数字で返してきた。
画面を閉じる指が震えた。
口座残高は五十数万円。
もしこれが三十万を切っていたら、
気づかないまま終わっていたかもしれない。
胸の奥に、
ミカを失った時とは違う種類の、
もっと冷たい痛みが広がった。
俺、何やってんだ?
女は遊べば増える。
でも仕事は、サボれば普通に死ぬ。
当たり前だ。
ーーー
俺は自分の“神の座”を
いったん降りて、
「店を立て直す男」に戻った。
と、いうか
この"神"うんぬんが
お客様に貫通していた気がする。
だから、
鼻につく接客に
なっていたのかもしれない。
俺は、生まれ変わった。
いや…違うな。
"純粋な頃"に戻った。
朝早く店に行き、
閉店後は
動画編集や集客の研究をし、
客が減った理由をひとつずつ洗った。
眠気で意識が飛びそうな深夜、
店の鏡に映った自分の顔は、
ミカに惚れ込んでいた頃より
確実に“人間味”を取り戻していた。
努力はすぐに結果にはならない。
だが、努力する意味は必ず、あって…
必ず答えてくれる。
1週間、2週間……
ゆっくりだが
確実に売上は戻っていった。
お客様の笑顔を見て、
心のどこかでホッとした自分がいた。
ミカのいない世界で、
俺はようやく、
マトモに自立できたのかもしれない。
そう思った矢先だった。
インスタのDMに
1件の通知が届いた。
俺が業界で唯一、
“尊敬”している先輩からだった。
先輩
「この広告動画、いいね」
「ウチの店も撮りたいから
このモデルの子紹介してくれない?」
心臓が止まった気がした。
その手があったか。
つまり、
合法的に、堂々と、
誰にも怪しまれずに、
ミカに連絡ができる。
ミカに会える、メイに会える。
あの夜、
俺の人生を狂わせたハーフ美少女。
完璧で、破滅的で、
世界で、一番、愛おしい、女。
努力して手に入れた安定が、
たった一通のDMで音を立てて揺れた。
ミカ様が、俺を、犬を、呼んでいる。
ミカ師匠、会いたかったです。
やっと会えますね。大好きです。
そして、俺は、さらに、壊れる、ことになる。




