LOG.13 ー タイムカプセル ー Capsule
——実話。
俺と、現役モデルと、不倫と…。
こんな人生で、マトモは無理。
たった一度の出会いで、人生が壊れた。
これは、その記録。
————
刺激的な夜の数日後、
突然ミカからLINEがきた。
ミカ
『シン、迎えに来て。』
『出かけるよ~』
嫌な予感と嬉しさが半々。
行先はひとこと。
『団地の公園』
それだけだった。
…理由なんて聞かない。
ミカに呼ばれたら行く。
それだけだ。
迎えに行くと、
その日はやけに機嫌がよかった。
ミカが
車のドアを開け、
"ミカの香り"が車内に広がる。
ミカ
「やっほ!」
「ねぇねぇ、ドライブしよ〜」
「ちょっと遠いけど、いい?」
シン
「遠い方が好き。団地ってどの辺?」
ミカ
「じゃあ決まり〜。」
「運転がんばってね、わんちゃん」
「団地はね、ここから1時間半くらいかな」
「今ナビ出すね」
ーーー
片道1時間半。
道中は
どうでもいい話をしていた。
テレビの話、
モデル撮影の裏話、
好きな曲の話、
SNSの話…
たわいの無い会話が楽しかった。
ーーー
着いた先は、古い団地だった。
お世辞にも
綺麗とは言えない団地。
その中に小さな公園があった。
そこにミカは用事があるという。
遊具は、かなり錆びていて、
すみっこに木が生えていた。
ミカ
「ここね、アタシが昔住んでた団地。」
「昔さ、"片足おじさん"いたんだ。」
「足をね、引きずって歩くの。」
「怖かったなぁ…。」
「懐かしいなぁ……。」
そう言って 、
大きな木のほうへ歩くミカ。
ミカ
「で…この木。」
「この木の下にね、カンカン埋めたの…」
「タイムカプセル。10年前。」
シン
「10年前ってことは…」
「ミカ10歳?」
ミカ
「そ。かわいいでしょ?」
「10歳のミカ♡」
片足をぴょこっと上げて、
アイドルポーズをするミカ。
可愛すぎて
アゴ外れちゃうところだった。
危ない危ない。
アゴ外れてて忙しい俺に、
ミカはスコップを渡してきた。
ミカ
「掘りましょう!タイムカプセル!」
目をキラキラさせてミカは言った。
当然のように、
掘るのは俺だった。
ミカはベンチに座って、
コンビニのアイスコーヒーを
ちゅーっと飲んでいる。
俺は木の根元あたりを、
ひたすら掘った。
が…
30分たっても土。
土の感触しかこない。
シン
「……ほんとにこの辺?」
ミカ
「このへん〜。」
「がんばれ〜。」
足をパタパタさせながら、
笑って応援してくる。
1時間経っても、
スコップの先に何も当たらなかった。
そして、限界。
シン
「…ミカ。」
「多分ないよ、これ。」
ミカ
「そっか〜。」
「じゃ、いっか。」
じゃ、いっか。
俺の手は泥んこ、
服も土まみれ。
片道1時間半かけてきて、
掘って、何も出ない。
ミカだから許される行為だな…。
ーーー
そして、ミカは機嫌がいい。
タイムカプセルは無かったのに
何故か異常に機嫌がいいミカ様。
ミカ
「今日はありがと、シン。」
「なんかスッキリした〜」
オンボロな水道で
手を洗う俺の横に
ちょこんと
しゃがみこんで言うミカ。
スッキリの意味は
全然分からないけど…
それはそれでいいか、と思った。
と思った次の瞬間、
俺のスマホに地獄の着信が届く。
ピリリリリリ
ありえない相手の名前が画面に浮かんだ。




