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LOG.10 — 3月20日 ー March 20

——実話。

俺と、現役モデルと、不倫と…。


こんな人生で、マトモは無理。


たった一度の出会いで、人生が壊れた。


これは、その記録。

————









ミカを送り届けたあと、

俺はしばらく運転席で固まっていた。



香水の香りだけが残っていた。



その香りが、

あの夜ぜんぶを象徴していた。





ーーー









翌日…



LINEは空白のまま。

更新しても沈黙。




現実が追いつくまで時間がかかった。










2日後…




施術中でも、

港で笑ったあの横顔ばかり浮かんだ。




仕事を終えて、

店を閉めて、

夜風の中でひとりになった時。




いてもたってもいられず…




マスターの店に電話をかけた。






シン

『やっほ。』

『ミカさ、最近来てる?』





マスター

『お、なんだシンか。』

『ん?来てねぇぞ?』

『撮影の日程は決まったんだろ?』

『なんだよ…?』

『撮影前にまた一緒に呑みたいってか?』





シン

『……いや、まぁ……』

『そんなとこだよ。』





マスター

『うちの店で会うならいいけどよ』

『二人で会うなよ?』

『約束は守れよ?』





シン

『わかってるよ…。』

『またな、マスター。』






マスター

『おい、いいのか?』

『俺から連絡してみるか?』





シン

『あぁ、いや、いいんだ。』

『大丈夫…。』

『ホントに深い意味はないんだ。』

『なんとなく、撮影前にさ、』

『改めて呑んだ方がいいのかなって』

『そう思っただけだよ』





マスター

『そうか、またな。』

『またいつでも呑みにきてくれよ。』






電話を切った瞬間、

肩に岩が乗ったように

ズシンと重くなった。



マスター、ごめん。

全部言えるはずがない…。







ーーー






3日後…





施術の片付けが終わった頃。


スマホが“ポン”と鳴った。




画面を見ると、

消えたはずのLINEが

ひとつだけ復活していた。




違う。

“復活”じゃない。




新規トーク。

でも名前はミカのまま。


開くと、

数行のメッセージ。










ミカ

『インスタ撮影の件ですが…』

『こちら“お仕事”ですので伺います。』

『日程は3月20日でよろしいでしょうか。』













絵文字もない。

呼び捨てもない。

“わんちゃん” もない。





でも…来るんだ。


仕事だけは切らない。

でも感情は切る。

そのミカの“矛盾した距離感”。




でもそんなことはどうでもいい。








シン

『はい。その日で大丈夫です。』

『よろしくお願いいたします。』







既読だけつき、返信なし。


そして、撮影の日が、近づく。




その"3月20日"は


俺が思っていた方向とは

全く違う方向へ向かう。

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