見知らぬ女性から俺は声をかけられ、、、その後の結末は?
・・・ある日、俺は見知らぬ女性に声をかけられた。
『“ちょっと、隆二君じゃない? 昨日の事、憶えてないの?”』
『えぇ!?』
『昨日は、あんなに二人で盛り上がったでしょ!』
『・・・お、俺と?』
『まあいいわ! でもアノ事をまさか忘れたとかは言わないでしょうね?』
『“アノ事って?”』
『“貴方のお金を私に貸してくれるって話よ!”』
『・・・お、お金、キミに俺が貸す? どうして?』
『“約束したからよ。”』
『何の為に俺はキミにお金を貸すの?』
『私の息子の臓器移植のお金が足りなくて、貸してくれるって言った
じゃない! それともあれは嘘だったの?』
『“キミの息子の臓器移植のお金?”』
『貸してくれるの? 貸してくれないの?』
『キミの息子は今、幾つなの?』
『“まだ3つよ。”』
『3歳か? それは大変だな。』
『臓器の移植自体大変なのに、あんな小さな子供の臓器なんて、
簡単に手に入らないし、お金があれば海外に行って息子の臓器は
どうにかなるって、息子のかかりつけの医師がそう言ったの!』
『・・・そ、それで、俺にお金を貸して欲しいって事なのか?』
『えぇ、もう息子には時間がないの! お願い、私にお金を貸して!』
『・・・まあ、キミの息子の為にというなら、俺もお金を貸しても
いいけど。』
『本当!?』
『あぁ、但し! “必ず移植したら、キミの息子に俺を会わせてくれ!
それが条件だ!”』
『分かったわ、約束する!』
『じゃあ、今から銀行でお金を下ろして来るからキミは外で待ってて
くれないか?』
『分かったわ。』
・・・俺はこうして、銀行に貯め込んでいた5000万円を彼女に
全てその場で渡したんだ。
彼女は、“これで息子の臓器移植が出来ると本当に心から喜んでいた。”
少なくても、俺にはそう見えたんだよ!
*
・・・でも? 何時になっても彼女から俺に連絡が来ない!
しかも? 俺に教えてくれていた携帯番号もそのうち、繋がらなくなった。
まさかな? 俺は信じたくなかったけど?
これは! “詐欺なんじゃないかとやっと俺は疑うようになる!”
本当は、彼女には息子など居ないし俺からお金を奪うために騙しただけなのか?
そもそも何処で最初に、俺は彼女と会っていたのか?
会っていたなら? いつ、場所は?
何故? 彼女は俺の名前を知っていたんだ?
今でも疑問に思う事は、多々あるけど?
それでも俺は彼女を信じたいし、まだ信じている!
いつか? 俺に彼女が彼女の息子を会わせてくれる事を信じて。
*
・・・ココから更に3年後。
まさか? 彼女から急に俺に連絡が入る!
『ごめんなさい、連絡が遅くなって。』
『・・・い、いや? 連絡してくれただけで嬉しいよ。』
『臓器移植の順番が随分と長引いたの!』
『・・・そ、そっか、キミの息子は?』
『“無事に移植できたわ! 私の息子に会って見る?”』
『あぁ、勿論だ!』
・・・俺はようやく、彼女の息子と初めて会える事に。
『ママ! その男性は?』
『貴方の臓器移植のお金を出してくれたこの人が、“あしながおじさんよ。”』
『えぇ!? オジサンが、あしながおじさんなの?』
『・・・あぁ、ううん、ママからそう聞かされていたのか?』
『そうだよ、オジサンは僕を助けてくれるヒーローなんだって!』
『そっか、でも移植してもらって良かったな。』
『うん!』
彼女が言っていた通り、彼女の息子は移植後元気になっていた。
それに彼女から3歳の息子と聞かされていて、随分とあれから大きく
なって顔色もよくこのまま大きく成長していってほしい!
それと? なんなら俺はあの子の“お父さん”になれないものだろうか?
ふと俺がそんな淡い想いを抱いていると、、、?
彼女が俺にこんな事を言ったんだ。
『“私! もう直ぐ再婚して、彼とこの子と3人で一から頑張ろうと
思ってるの! 貴方から借りたお金は少しづつ返していくわ。”』
『“さ、再婚?”』
『えぇ、息子の移植する病院で出会った男性よ!』
『・・・そ、そう、』
『“貴方も幸せになってね!”』
『・・・あぁ、』
・・・まあ、すべて完璧にいく事なんてない!
彼女の息子がこれからも元気で居てさえくれれば俺はもうそれでいいよ。
見知らぬ女性から俺は声をかけられ、、、その後の結末は?
息子は無事に移植が成功し、俺は彼女に完全にフラれる。
まあ、そういう人生も悪くないよな。
最後まで読んでいただいてありがとうございます。