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幻想奇譚

ほろ苦いプルースト現象

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

無感動、再起には更地。

前回の続き物ではありますが、単体でも読めると思います。

幸せな渡が見たかったので、書きました。


注意事項3

ガールズラブではありません。

けれども友愛表現はめっちゃあります。

苦手な方はご注意を。


ガールズラブを書く人間でもあるので( ̄▽ ̄;)

雰囲気が滲み出ていたら申し訳ないです(・ ・)

――先日は大変申し訳御座いません。

――気にすんな。渡、今日暇か? またお前とお茶行きたい。

――是非。喜んで。


そんな会話があったのが昨夜。私達はまた、同じ喫茶店を訪れておりました。

赤という色は一切使われて居ないのに、此処に来る度に感じる赤いベロア。木造のテーブルと椅子も相まって、とても暖かい雰囲気が御座います。

お頼みしたのは先日と同じキャメルマーブルのケーキと珈琲。立ち込める匂いも相まって、ほんの少し気持ちが落ち着きます。

「変わらないな。渡は。昨日も、この間も同じもの頼んでた」

「私の中ではこれがお気に入りなのです」

先日では無かった他愛のない会話。先日行われるべきだった会話が今まさに行われております。お供として添えられるのは甘いキャラメル。口の中で優しく引き伸ばします。ミルクとお砂糖を人匙入れた珈琲を共に戴くと、じんわりと心が満ちて行くのを感じます。

先日は心の余裕が全く無くて、御友人にも、ケーキにも、珈琲にも大変失礼な事をしてしまいました……。

「あの……」

「謝罪は聞かないからな。チャットと出会い頭に言われたので十分だよ」

どうやら全てお見通しのご様子。ならば私も黙って口を噤みましょう。

一口、一口しっかりと味わっていると、お隣のカウンターからほろ苦い香りが。煙草とは異なる。灰色の香り。でもこの空間で何一つ無く私の元にふんわりと被さって来ます。

「此処の香りが大層好きなのです。香りを嗅いだら今貴方とお茶をしているのが浮かぶ程に」

次回来た際にも、また煙草の香りと珈琲に酔いとう御座います。


そうして午後のお茶を楽しんだ後、またもう一度この瓦礫の前に訪れました。

大好きだったタワー型の本屋さん。下校時に、先生方の言いつけを破って、一緒に訪れた本屋さん。今は見る影もなく、虚空が広がっているだけで御座います。でも……ええでも。

「この場所は……瓦礫に成れ果ててしまいました。けれどもまた……ええ、また、此処に新しく出来るのです。そうしたら、共に訪れて戴けませんか」

「勿論。一緒に今日の喫茶店行って、また此処に来よう」

「煙草と珈琲の匂いと共に胸に秘めておきますね。本日はお誘い戴き、誠に感謝を。今度は私からお誘いしとう御座います」

傷付いても寄り添って気遣って下さる良い友を持ちました。例えこの場所が変わっても、記憶にあるならば問題などなく。

リベンジマッチ。渡の笑顔見れたから満足な私です。

渡は割とすぐ凹むけど、立ち直り早いイメージ。

感受性豊かである故に、直ぐに泣く。

(前にも寂しくて泣いた話がありましたね。線路の話)


前にも話した為に、もしかしたら二番煎じになりそうなのですが、プルースト現象の説明でも。

特定の匂いを嗅ぐと記憶とかを思い出すという現象。


ほろ苦いのは煙草と珈琲の匂い。あと更地になった記憶。

それでも香りを嗅げば、何時だって場所はそこにある。

そう言った意味を込めて。


空気ぶち壊して申し訳無いのですけど、

珈琲と煙草、一緒に嗜むと物凄く臭いそうですね。

じゃあ、良い感じに充満する、ほろ苦いながらも満たされる香りはなんなのか( ˙꒳˙ )

きっと永遠の謎です。

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