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37話.優等生=説教?


 河原かはら志保美しほみ

 俺はクラスの女子と話す方ではないから彼女の詳細については全くの無知と言って差し支えない。それでもエキストラとは違う、彼女は印象が深い部分がある。

 彼女は学級委員である。

 しかも副会長という高位についてらっしゃる。

 そしてその座に違わぬ真面目さをもっている。やや堅物なきらいがあるくらいだ。

 そんな近寄りがたい印象を持っている彼女には、当然なのかどうなのか、親しくしている人間は限られているようだ。とはいっても、他の生徒のように何人かのグループでいつも行動しているのだが。

 嫌われているというわけではない。ルールに厳しい彼女は頼りになるし、なにかを教えてくれる時も懇切丁寧だ。

 不良生徒には口うるさい女かもしれないが、一般にはきりっとして頼もしい女の子として支持を得ている。

 しなやかな黒髪を首筋でまとめている彼女は、整った容姿をしている。

 高嶺の花ともいえる彼女は一部の男子からは憧れの対象として見られているらしい。

 すれ違うとかすかに、爽やかなコロンの匂いが流れるというのも、そんな野獣どもを虜にさせる所以ゆえんなのかもしれない。


 そんな彼女に言われたのだ。

 朝は確かに騒ぎ過ぎたかもしれない。

 俺と深黒みくろは素直に謝った。

 そりゃそうだろ。なにか言い返せる雰囲気じゃねえよ。空気がしんと静まってましたもの。

 申し訳ない気持ちでいっぱいだった俺がふと振り向くと。

 さやはいつの間にか消えていた。

 あいつ。

 怒られるのが人一倍嫌いな彩ちゃん。

 あとでおしおきしたる。


「俺なんで怒られたのかなー」

 授業中、ポロっと出した言葉。

「別に授業中じゃないんだからさー、あそこまで騒がなくてもよくない?」

「僕に言われても……」

 もちろん、話し相手は我が兄弟、竜崎りゅうざきけんである。

「つか、怒鳴り方が番長だったよね? 優等生って怒り方じゃなかったよ? 優等生って語尾の方に小さい文字付けないもの。『騒ぐなぁ!』ってさぁ」

「あ、あの……」

「別に怒られたことにへこんでんじゃないよ? 違うよ? 俺子供じゃないもの。そんなことでぶーぶー文句言うようなお年頃じゃないもん。けどさぁ、不満ぐらい言わせてくれてもいいやなぁ」

「あの、陽……」

「俺もそう思ったぜ」

 どこからか深黒の声も聞こえてきた。

 あれ、席近くだっけ?と思い振り向くと、このヤロー、俺の机の隣にしゃがみ込んでやがる。

 せめて授業聞けよ。

「それにしても彩ちゃん……ドストライク! マジで嫁にしたい。それにしても、あれだよな。あのロリィなボディが最高だよな。それにあのツインテールが童顔によく似合って映えるぜ。抱きしめてそのままあんなことやこんなことへと発展出来たらどんなに――」

「いいから帰れ。でないとお前の顔面をえぐるぞ」

 なんかめちゃめちゃイラつく。

 このままこいつを放置しておくと、彩が危ない。

 なんとかこの穢れた男から遠ざけなければ。

 野生の長内おさない深黒は手強いからな。

「なんだよー。俺と彩ちゃんの結婚を認めてくれよ、お父さん」

「誰がお父さんだボケ」

「まぁ、いつか俺と彩ちゃんが手を取り合える日がくることは確定してるんだ。なんとしてもモノにしてみせる」

「お前はまず彩に触れられないように手を斬り落とす必要があるな」

「ははは。コワい冗談だ」

 冗談なら俺もナタの代金を家計簿に書かなくて済むんだがな。

 残念。俺の脳内ではもう放課後ホームセンターに行くことが決まってる。

「まぁ、なんだ。陽に知られずにいつのまにか近づくよ。お互いの距離は、案外遠くないぜ? なんせ相手は敬語で話してくれてるんだ」

「今まで歳下にタメ口きかれてたのか……」

 なんと危険な人種だ。

 こいつがあの子に歩み寄れないよう、足も斬り落とす必要があるな。

 今の内に手足にお別れと感謝と謝罪をしておくんだな。

「ちょっと、陽……」

「賢、止めるな。俺はやらなければいけない。世界中の子供たちのためにもな」

「そうじゃなくてさ」

 不安そうに言葉を挟む賢だが、深黒もヒートアップしてきた。

 いつの間にか立ち上がってやがる。

「いやいや陽、俺が必ず、彩ちゃんを幸せにしてみせる。いつか賞味期限が切れるその日までな!」

「てめぇそこに直れ! 世界が直視できないように血の涙を流すがいい!」

「やってみろ! 眼潰しごときで俺が諦めると思うなよ? 彩ちゃんの匂いは既に覚えている!」

「じゃあ記憶ごと吹き飛ばしてやるよ。人間の形すら忘れるほどにな!」

「よ、陽ぅ~……」

 賢が俺のジャケットを引っ張る。なんだよ、と振りかえると……指差してる? どこを?

 目で追う。見つけた。

 賢が指差した先には……。

「ねぇ、あなたたち」

 河原志保美が立っていた。

 俺と深黒のすぐ近くに。

 腕組みして。

 仁王立ちしている。

「あ」

「あ」

 俺と深黒の息があった。本当は死にたいほど嫌な現象だが、『死』という言葉はここで使うにはあまりにもシャレにならない。

 なぜなら、優等生が立っているのだから。

 授業中にもかかわらず。

 そして私語をする二人を見ている。

 教師でさえ生唾を飲み込んでいる事態だ。

 いや、手に汗握ってんじゃねえよ先生。スポーツ観戦じゃねえんだから。

 これから起こることなんかわかってるだろ?

 予測済みの事態だろ。



 そして数十分後。

 授業の終わりを告げるチャイムが鳴っている中でも、彼女のお説教タイムと俺たちの土下座ラッシュは続いていた。

 他の生徒はそそくさと移動教室に向かっているというのに……。





 少し更新が遅れましたNOTEです。

 このまま、去年のように一年の間をあける時期がくるかもしれない恐怖と戦っています。それで困るのは読者の方なのに。

 面目ございません。


 さてさて仁王立ちキャラを確立しつつある志保美さんですが。

 なんだろう、仁王立ちキャラって……。


 なんにしても深黒はこれからも関わってくるようですので、温かい目で見てあげて下さい。

 子供たちに危険が迫っている時は遠慮なく通報してあげて下さい。

 あなたが世界を救うのです。


 なにが言いたいのかわからないNOTEでした(深夜だからかな)。



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