表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
華姫奇譚  作者: 葛籠屋 九十九
第2章不死殺し編
98/361

幕間 アルカンスィエル事件

ーアンドラ公国、アルカンスィエル実験施設ー


「どうなってんだよ!なんなんだよこれは!?」


ガスマスクを被り武装した男が困惑しながら叫ぶ。

男が目の当たりにしたのは血の海に転がる無数の仲間だったモノだ


「おい!用心棒!なんなんだコレは!いったい誰がこんな酷いことを!?」


男はここに居ないアルカンスィエルが雇っている用心棒を呼ぶ。しかし用心棒はその呼び出しに応えない。男は用心棒も何処かで殺されたと判断し自らこの惨状の原因を探るため足を踏み出す。その時だった


「酷いことだァ?テメェらの方がよっぽどひでぇ事やってんじゃねぇか。その命で詫びやがれ」


その声で男が振り向く。その前に男の首が落ちる。


途切れゆく意識の中、首は自らを殺した者の顔を見る。

その姿は黒く染まった刀を持った長身、白髪の目付きの悪い用心棒であるはずの男だった


「俺に着いてこい」


男は牢の中に居る水色の髪の少女に手を差し出す


「ひっ・・・今日も酷ことするの・・・?」


少女は怯えきっており牢の隅の壁に身を寄せ小さく蹲っている


「俺はそんな事しねぇよ。ここを出てまともな生活したくはねぇか?」

「したい・・・でも、捕まったらここの人達に何されるか分からないから・・・」

「そんなモン気にすんな。俺が守ってやるよ」


少女は男を疑いながら震える手で差し出された手を掴みに行く。少女のか弱い手は爪が全て剥がされ血が滲んでいた。

それを見て男は少女に聞こえないように呟く


「逃げる事も出来ずに・・・ここの奴ら皆殺しにして出ていくか・・・?」


激しい怒りが男を支配しようとしていた。だがこの男は冷静にその怒りを飲み込み少女の手を優しく掴む


「行くぞ。早くしねぇと追っ手が来る。それと牢を出たら目を瞑れ」

「・・・はい」


男は少女を抱えて地下の実験所を後にする。できる限り気付かれないように上の階層へと登っていき、部屋のドアを蹴破った


「ひっ・・・!」


少女は怯えながら声を上げる


「驚かせちまったか。悪りぃ。安心しろ何もないから」


男は部屋に入ると目の前にある金庫を力任せにこじ開け中にある札束を鞄に詰めていく。すると警報装置が鳴り響く


「想定より早ぇな。まぁ頃合か。飛ぶからしっかり捕まってろよ」


男の言葉に少女はこくりと頷きそれを確認した男は少女を抱えて窓を割りながら外へと飛び出す


「居たぞ!剣薙とモルモットだ!追え!」


警備隊が剣薙と呼ばれた男が飛び降りた部屋についた時には捕まえるには数十秒遅かった。

男は海に現れた白金色のモーターボートの様な何かに少女を乗せエンジンをかけているところだった


「モルモットか・・・お前、名前は?」

「みもり・・・だったとおもう」

「みもりか。自己紹介が遅れて悪りぃ。俺は剣薙近衛。このクソみてぇな会社で用心棒をやってた」

「あの人達の仲間・・・?」

「元、仲間だ。今はお前の味方だ」


エンジンがけたたましく吠え、闇夜に白金色と赤色が尾を引く


「これからどこへ行くの?」

「日ノ元。あそこならアイツらも好き勝手出来ねぇだろうしみもりものびのびできるんじゃねぇか」

「そう、なのかな・・・?」


男と少女は白金色の何かを駆り水平線へと消えていった

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ