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華姫奇譚  作者: 葛籠屋 九十九
第2章不死殺し編

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第43幕 魔物殺し

「月奈、次は右!」

「OK!虎織は足元よろしく!」


月奈と虎織が不死の本体を切り刻む


「無駄無駄。貴方達がどれだけ傷つけてもワタシは死にません」

「なら死ぬまで殺すだけだよ!」


神殺しの槍を突き刺しながら月奈は言う。もうなんか慣れてきた自分がいるのがちょっとやばいなと思いながら殺意を持って不死の眉間にグロックを突きつける


「撃ちますか?それもいいでしょう。ですが引き金を引けますかねぇ?」

「その口振りまさかとは思うがお前、我輩の加護の内容を知ってるのか?」

「そんなことはどうでもいいでしょう。さぁ!早く引き金を!」


不死は我輩の腕を再生させた腕で強く掴み催促をする


「将鷹、ちょっと待った。何企んでるか分からないよ!」


月奈の静止を聞かないふりをして我輩は引き金を引く。乾いた発破音が響き男の頭を弾丸が貫き地面にめり込む


「ははっ・・・はっはっはっはっはっはっはっはっはっ!あぁ!やはりそうなのですね!もうワタシは人間ではない!なんと悲しい事か!こうも悲しいと笑いしか出せんね」


男は涙を流しながら笑い地面にぐったりと倒れ込む


「不死性を獲得した時点でアンタは人じゃ無くなってんだぜ・・・」

「不老不死は人の夢だと言うのにそれが人を辞める事だとは皮肉なものですね」

「あぁ、そうだな」


液状化した不死の腕が鞭のように地面に叩きつけられる。どうやら我輩の銃弾を引き金に吹っ切れてしまったようだ。まぁその方がこっちもやりやすいし心残りも無いだろう


「夏先生、そろそろ気を失った振りは辞めては如何ですか」


夏というと液状化した不死に呑まれたもう1人か


「あら、流石ワタシの生徒。いえ、実験台かしら?」


ゴポゴポと水に潜った時の様な音と共に声が聞こえてくる。液状化した不死の身体が中でなにか爆発したかのように吹き飛び我輩達目掛けて液体が飛びかかる


「神雷式、天」


月奈の声とが響くと雷光が横一線ズドンと走る。雷光が走った後には何も無く、液体も蒸発して消え失せていた


「お人好しなのは良いけど次は命が無いかもしれないよ。気をつけて。虎織を独り残して死んだら誰も分からないような場所に死体野晒にして白骨化してから土葬するからね」

「分かってる。我輩はモヤモヤしたまま殺したくないからハッキリさせただけだ。月奈、もうしばらく男の方を相手頼む」

「いいよ。頼まれてあげる」


バチバチと雷を纏いながら月奈は男に斬りかかりにいく。我輩は虎織の居る方へと歩く


「随分とゆっくりと歩くのね。余裕の現れかしら?」

「お前相手に急ぐ必要はなさそうだからな」

「へぇー言うじゃない」


試験管が宙を舞う。それと同時に柏手を1つ


「なっ、避けた!?馬鹿な!あの液化プラスチックの動きも読んだってわけ!?」

「あーそれ液化プラスチックって言うのか」


靴のつま先で地面を1、2と小さく蹴る。そして全力で地面を蹴り走る


「とりあえず1発!」


全力で女を蹴り飛ばす。傍から見れば完璧問題行為であり絵面的にアウトだ。しかし言い訳させて欲しい、こいつは女の姿ではあるがもうその姿すら保てなくなってきている化け物なのだ


「それがお前の今の姿か」


蹴り飛ばした先にさっきの女は居ない。居るのは身体中に腕が生え散らかし、顔がいくつもある腐臭を放つ化け物だけだった


「見たな・・・この姿を!殺してやる!殺してやる!」

「最初から殺すつもりでしょうに・・・」


試験管を大量に、正確には15本手に持って化け物はそれを投げようとする。流石にその数は手に負えない


「将鷹、これでいいかな?」


虎織が化け物の後ろへとふわりと舞い降り化け物の試験管を持った腕を軽やかに斬り落としにこりと笑う


「あぁ、最高だな。じゃあ死ぬまで殺すとしようか」

「うん」


虎織がまずは上半身と下半身で真っ二つに斬る。我輩は走りながら足を斬り刻む。そして鎖を首に括りつけ引き寄せ首を刎ねる


「お前達に人の心はないの!?」

「生憎人間ってのは敵対するやつにはとことん酷いことができるんでな」


地面に落ちた上半身の再生しかけている腕を斬る。

この程度じゃまだ殺しきれないのは分かっているしまだあの化け物も奥の手を隠し持っているだろう


「将鷹!後ろ!」


虎織の声で後ろを振り向くと大きな液化プラスチックと呼ばれていた物がゆっくりと我輩を飲み込もうとしていた。というか囲まれて段々と液化プラスチックの壁が迫ってきているというような状態だ

刀で斬るのは難しいか。炎で塵も残さないのが1番楽なんだけどなぁ



「俺の力が必要か?」


影朧の声が内で響く


「そうだな。でも暴れられても困る」

「ならどうする」

「自分でどうにかするさ!」

「はっ、面白ぇ。やってみせろよ」


影朧の声はそれ以上聞こえる事はなかった。


無駄かもしれないが水の魔術式を展開する。ただの花壇の水撒きみたいな役割の魔術式でどうにかなればいいんだが。水は液化プラスチックに当たると蒸発し霧の様になっていく


まるでサウナの中に居るような熱さだった。少し冷めてきたのか水が蒸発する速度が遅くなってくる。一か八か刀で液化プラスチックを横薙ぎに斬る


刃が通った部分は綺麗に切断されて液体のように繋がる事はなかった。

これを見る限り水を当て続けるのが正解のようだ。ありったけの水の魔術式を展開してびしょ濡れになりながら液化プラスチックを冷やし固める


自分の状況で手一杯だったけど虎織は大丈夫だろうか?そう思い辺りを見ると異様な光景が繰り広げられていた。化け物が自分の手を毟っては飛ばしそれを虎織が斬るという状態だ。何やってんだよ・・・


走り出そうとした瞬間化け物の頭部の1つがこちらに全力投球された。

我輩は短刀を取り出し頭部目掛けて投げる。頭部はポトリと地面に落ち短刀が深くくい込んだ


あいつの狙いは篭った水素を使っての水蒸気爆発だったらしい。周りを囲むのは早かったのにゆっくりと壁が迫るようになっていたのはそういう理由からだろう


銃を使うように仕向ける為にわざと頭部を飛ばし迎撃のために銃を撃ったら最後、周りの水素に引火してボンって算段だったのだろう



「さて、そろそろ決着をつけたい所だな・・・」


虎徹に魔力を込め斬れ味を補強しようとした瞬間人差し指の指輪に光が灯る


「10の願い事の魔除けの指輪?」


なるほど。あれは不死じゃなくて屍人、魔物の類になるのか


「虎織、次の一撃で決めるぞ!」

「えっ!?でもこいつ不死じゃ・・・」


驚いている虎織を横目に最大限の力を持って走り、八相構えで袈裟斬りをする準備をする


「こういう時前しか見てないのは良くない癖だよ!」


何処かから飛んでくる何かを虎織が叩き落としてくれる。こうやって虎織がカバーしてくれるから我輩は前だけに集中出来る


「来るな・・・!来るなぁぁぁ!」


何かを悟ったのか化け物は試験管を所構わず、必死に投げる


虎織が柏手を1つ。すると風が吹き試験管が全て空中で静止する


「これで!終わりだ!」


袈裟斬りを食らわせる。すると化け物は切り口からどんどん灰へと変わっていく。さっきまで斬っても灰にならなかったのはこの指輪に魔力が足りていなかったからだろう


偶然の産物とはいえ我輩達は化け物を一体打ち倒した。残るはあの真の不死1人だ

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