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華姫奇譚  作者: 葛籠屋 九十九
第2章不死殺し編

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第35.9幕 翔子と陽花

スマホが鳴る。せっかく楽しく翔子と人間モドキをぶっ飛ばしてるってのに邪魔するとかマジ無いわ。ディスプレイには変態ナンパ野郎、辻井先輩だ。出なくてもいいや


「陽花ちゃん、仕事の電話なんだから出た方がいいんじゃない?こっちもそろそろ片付くんだし、次の指示貰ってる方が手間も省けるよ」


翔子がそこまで言うなら・・・そう思いながらスマホ片手に人間モドキを爆発させながら通話ボタンを押そうとした瞬間スマホは勝手に通話中になった


「聞こえるか田都、奄守(えんじゅ)!」


音量MAXで辻井先輩の大声が響いた。それもスピーカー状態で


「うっせえ!ナンパ野郎!」


思わず思っていた事を口に出してしまった。一応先輩という事もあって後でなにかペナルティがあるかもしれない。女好きのあの先輩の事だ、裸婦描くから被写体になれとか翔子と裸で抱き合えとか言ってくるかもしれない・・・まぁそうなったら辻井先輩をぶっ飛ばして翔子とイチャイチャするだけなんだけど


「声が大きかったのは謝る!だから今すぐその場を吹き飛ばして雪城先輩達の所へ向かってくれ!」


切羽詰まった声だった。正直雪城先輩とかどうでもいいし。それに辻井先輩が心配しているのは風咲先輩だろうし、あの人こそどうでもいいの極みってやつで私達はあの先輩がどうなろうが知ったこっちゃない


「そういうのは他の人達に任せて置けばいいでしょ?私達は忙しいんで電話切りますよ」

「へぇーそうかい。別にいいよ。君達がヘタレて逃げようが俺には関係ないし。ただ残念だなぁ盛大に爆破できる様な奴が向こうにいるってのになぁ」

「それは本当ですか辻井先輩!?」


翔子が可愛い瞳をキラキラとさせながら私のスマホに噛み付くように飛びつく。

あぁ、スピーカーにしたのはそういう事か・・・翔子が魔力枯渇しかけになるのが好きなのを把握してるとか最悪だ、まんまと乗せられてる・・・まぁそういう所も可愛いんだけど


「先輩!早く場所を教えてください!」


あ゛あ゛ぁぁ!可愛い!何この可愛い生き物!やろうとしてることえげつないっていうのに眼とかキラキラさせちゃってさ!もう本当に最っ高・・・!


「その前にその場の人間モドキの掃討を・・・」

「鉄より堅き爪よ、引きちぎれっ!」


翔子が魔術式の発動に必要な詠唱を鈴のように澄んだ心地の良い声で叫ぶ。

すると群がって来ていた人間モドキを引き裂く様に地面に三本線が入る。線の上に居るモノはことごとく引き潰され、見る影も無くなっている。可愛いのに得体の知れない魔術式を扱うこのギャップが私をときめかせる。そして魔術を使う時、人が変わったように獲物を見定め完膚なきまでに蹂躙してやろうとする眼が本当にたまらない!


「場所はそこから東に向かえば直ぐにわかる」


先輩はそう言うと速攻で電話を切った。多分どこかからこの状況を見ていたんだろうけど怖くて震えちゃったのかな?先輩ビビりだもんなぁ


「陽花ちゃん、早く行こうよ!」

「翔子は本当に魔力使うの好きだね」

「溜まっちゃうと我慢出来なくなっちゃうからね!こうやってガス抜きしておかないと。それに魔力使い切る前のあの脱力感、あのふわふわした感じ癖になっちゃうんだよねー。あと陽花ちゃんがいつも以上に傍に居てくれるから」

「は?無理、尊い・・・死にそう」

「陽花ちゃーん?戦う前から死なないでよ?」


私は翔子の手を握り指を絡めてから歩き始める。先輩達のピンチとかどうでもいいけど今は気分がいいからきっちり助けに行ってあげますよ。


足取り軽く私達は目的地を目指す

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