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華姫奇譚  作者: 葛籠屋 九十九
第2章不死殺し編
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第32幕 不死

スコープを覗きながら仲間の位置を把握する。

ヴァンさんとローズさんはかなり暴れてるな。ハルバードを振り回し銃弾が飛び交っていた。こっちは大丈夫そうだ。

月奈は軽やかに人間モドキを捌きながらこちらに気づいたのか手を振る。いやいや、その距離からこっちを認識できるの凄すぎないか?

少し危なげがあったので何体か屠っておくことにした。

引き金を引き頭に一撃、そしてコッキングレバーを少し上げ自分側へと引き元の位置に戻し狙いを定めてまた引き金を引く。


何回かこれを繰り返してから他の方向に目線を向ける。


百合コンビはまぁいつも通りド派手に地形を破壊するような攻撃ばかりしているから大丈夫だな


桜花さんは流石としか言いようがない。人間モドキを掴み、投げいなしていく。しかし決定打に欠けるようだ


「虎織、今から桜花さんの所へ向かうから着いてきてくれ」

「うん!」


魔術式を足場に空を駆ける。そして桜花さんの近くまで来た時に2人で飛び降り上から奇襲をかけ周りの人間モドキを斬り刻んで行く


「「椿流、辰の番(たつのばん)狩龍天静(がりょうてんせい)・・・」」


鞘に刀を納め技の名を言うと人間モドキはその場でボロボロと崩れ落ち細切れの肉塊へと変わっていった


「丁度いい所に来てくれたな。儂だけではどうも殺しきれずに手をこまねいていたのだ」

「魔力はこの後の親玉を相手にする時に温存しておきたいですもんね」

「左様。お前達が居ると本当に助かる」

「桜花さんには返せないくらいの借りがありますから」

「神代の件か。気にせずとも良いというのに。全く律儀な奴だ」


こうやって会話をしながらも我輩達は人間モドキを倒していく。桜花さんが投げた人間モドキを我輩と虎織で斬る。数は減ってきたが如何せんキリがない


「さすがに数が多すぎる・・・」


倒しても倒してもわらわらと人間モドキは寄ってくる。

ここで爆弾を使うのが最適解ではないだろうか


「桜花さん、爆弾使うんで寄ってきてる方向に人間モドキ投げて貰ってもいいですか」

「わかった。ではいくぞ!」


桜花さんは手に持った人間モドキを思いっきりぶん投げ我輩もソレの後を追うように竹筒の爆弾を人間モドキの群れに向かって投げ込む



轟音と共に人間モドキ達が吹き飛ぶ。これはもう少し火薬の量抑えた方が良さそうだ。下手に使うと誰か死にかねない


「一応片付いたかな。桜花さん、ここから南に向かうと月奈が居ると思うんで手助けお願いします」

「わかった。お前達はどうするんだ?」

「高台に戻って狙い撃ちます。何かあったらさっきみたいに跳んでくるんで」

「そうか。では頼んだ。健闘を祈る」


我輩達は高台へと戻り同じ位置でスコープで確認作業を行いながら弾を撃ち込んでいく


「虎織、こっちに向かってくるやつが居る。全員にしばらく援護出来ないって伝えておいてくれ」

「迎撃なら私1人でもできるよ」

「それがそうもいかないんだ。こっちに来てるの親玉なんだ・・・」

「自称不死の?」

「そう。自称不死の変人。あれは多分人間モドキに成りかけで止まった人間だろうな。不死なのかどうかは殺して確かめないと分からない事だな」

「今日は随分と物騒だね」

「そうか?我輩は割といつも通りな気がするけど」

「うーん。どう言ったらいいのかな、言葉に棘があるというか影朧に寄ってる気がしなくもない」


虎織の言葉で何となく解った。今、影朧は表に出てこれないというよりも形を失いかけているのかもしれない、人間は何かを失うとそれを補う様になっているらしい。一時的にではあるが影朧の存在を補完するために我輩は無意識のうちに言葉に棘を作っているのかもしれない


「ははっ虎織は流石だな」

「その笑い方も影朧由来かな?」

「かもな」


どうやら今宵の我輩は好戦的なようだ・・・今から命をかけた戦いをするかもしれないというのに少し楽しい気分になっている


「今宵の虎徹は血に飢えている・・・なんてね。不思議なんだ。なんて言うか今から命のやり取りするって言うのにちょっとだけワクワクしてる。先代様の時はこんな気持ちにならなかったのに」


虎織は自らの刀、虎徹を引き抜きそう言った。どうやら虎織も我輩と同じ気持ちの様だ


「厄介な敵ほど燃えるって奴だな。我輩もアイツと対峙するのが少し楽しみみたいだ」


我輩は拳銃を取り出し虎徹を引き抜き高台から敵目掛けて飛び込む。相手に気付かれはしたがもう遅い。刀が相手の首にスルりと入り首を落とす。不思議な事に骨を斬った感覚が無かった・・・

それに普通の人間であれば我輩の刀はその場で止まるがなんの躊躇いも歯止めもなく刃が通るという事はこいつは人ではない


「まさか君達が奇襲を仕掛けてくるとは夢にも思いませんでしたよ」


落ちた首がニタニタと気持ちの悪い笑みを浮かべながらこちらに目を向ける


「本当に死なないみたいだな」

「えぇ、不死ですから。死なない人間を相手に貴方達はどう戦うつもりですか?」

「「死ぬまで殺す」」

「2人揃って随分と好戦的な様で・・・くっくっく・・・やはり彼の実験は正しかった!君達2人の性格は温厚だと聞いていましたがまさか彼の作った薬でここまで凶暴に、好戦的になるとは!いやぁ長く生きてみるものですね」


なにやら訳の分からない事を言っているが気にせず落ちている頭に刀を刺す


「無駄です」


影が落ちた頭を飲み込み、身体の方から頭が生えてくる。気持ち悪いなこれは・・・もう頭落とすのやめておこう。とりあえず心臓に一突き


「くっくっく。あぁ、実にいい!こうやって人間は狂っていくべきなのです!感覚が麻痺して少しでも好戦的にしてやればこうやって直ぐに殺しを行う!」


虎織がうるさい頭を黙らせる為か首を落とす


「あぁ、本当に人間は愚かでとても滑稽で愛おしくて面白い!」


気付けば我輩と虎織の足元に自分の物ではない影が伸びていた


ばくん。と我輩と虎織は黒くおぞましい影に丸呑みにされてしまった

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