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幕間 左右偽陰
「予定より随分と早い侵攻だな。焦ってんのか左右偽陰」
暗闇から誰かが黒髪の男に語りかける
「アイツに好きにやらせてやるだけだ。どうせ遅かろうが早かろうが変わんねぇよ。それに失敗しようがしまいが最後に俺がやりゃ全部片がつく」
「えらく自信あるじゃねぇか。本当に今のお前を見ているとお前の親父を思い出すぜ」
「そりゃどーも。てかよぉ、お前が道楽であいつらにヒント出したせいでこうやって予定早めてんの忘れんなよ」
「楽しむにはハンデぐらいあった方が面白いだろう?」
「楽しんじゃいねぇよ」
男はキッと暗闇を睨みつけると蠢くように暗闇はその場から煙の様に消えていった
「親父に似てるか・・・」
男は空を見上げ黄昏れる。
「なぁ親父、俺はアンタみたいになれるかな」
誰に言うでもなく男は呟き、懐から写真を取り出し眺める




