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華姫奇譚  作者: 葛籠屋 九十九
第2章不死殺し編
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第26幕 経津主神

「報告は以上。引き続きこの件の調査を進める」


我輩は大まかに今日の報告をした。

報告したのは人間モドキを使役する自称不死身の不吉な男の事、逢坂はなんとも言えないが神碕の人間はほぼ人間モドキにされているだろうという事だ。あの怪しい住民の事は確証が無いため報告は辞めておいた。琴葉ちゃんならきっと無理矢理聞き出す方が早いと言いかねないし。いや、どうなんだろうか。あくまでそういうのは2年前までの琴葉ちゃんのやり方だ。今は変わっているかもしれない


「御苦労様。報告は以上と言ったけどまだ有りそうね。言ってみなさい。言いたくないなら別にいいけど」


顔に出ていたのか琴葉ちゃんは我輩にそう言う。一応言っておくか。もし強行策に出ようってなったら止めればいい話だ


「神碕って名前で地図に登録されてるのに表札が逢坂ってなってる家があった。それに受け答えした人はどこか他人事みたいな感じで噂の発信源もその人らしい」

「なるほどね。ただ確証が無いから報告は控えておこうって訳ね」

「そういう事だ」


琴葉ちゃんは少し笑って我輩の方を見て言う


「なら白か黒かハッキリしたら教えてちょうだい。期待しているわ」

「てっきり強硬策に出るかと思ったけど・・・」

「私ももう子供じゃないのよ。まぁ見た目はこんなのだけど」


自分の容姿を笑いの種にするとは何かいい事でもあったのだろうか。普段では考えられない言動だ


「何かいい事でもあったのか?」

「経津主神様が食べたかったケーキを買ってきてくれたのよ」

「経津にぃに後でお礼言っておかないとな」

「そろそろ戻ってくるはずよ。将鷹はそのまま待つと良いわ。経津主神様も会いたがっていたし。あとのメンバーは虎織と月奈は将鷹が経津主神様と話終わるまで休憩してから一緒に調査に向かってちょうだい。アリサちゃんは・・・えらく気分が悪そうね・・・私のベッドで少し寝るといいわ。桜花は神代を丸め込んでおいて。私じゃ手に負えなかったのよ」

「いちばん面倒な仕事が回ってきたな。しかしまぁ2人の為だ儂が何とかしておこう」


桜花さんはそう言うと我輩の背中を叩き言う


「安心して待っておくといい。散歩も咎められないようにしておくからな」

「そこまでしてくれるんですか・・・!」

「任せておけ。お前達がのびのびと仕事を出来るようにするのも年長者の務めだ。それに散歩と言いながらもきっちりと果たすべき使命は果たしておるしな。昔の殺伐としたやばい奴らの集まりと市民達に見られておった集団がお前達のおかげで今や親しみやすい頼れる人達という評価になっておるし市民の協力も得やすくなっておる」


ここまで評価されているとは思っていなかった。我輩はただ人助け、自分のしたいことをしたに過ぎない。自分の行動を過小評価していたのかもしれないな。今日の1件といい考え直すにはいい機会なのだろう。


「それじゃあいい報告待ってます」

「おう!」


そう言うと桜花さんは市長室を出る。桜花さんと話している数秒の間にアリサはベッドに横たわり寝息をたてていた。いくらなんでも早過ぎない?


「じゃあ私達は向こうで待ってるね」


月奈はそう言いながら虎織と共に市長室を出ていく。

虎織が手を振っていたので我輩も振り返す


「仲良いわね本当に・・・アレでまだ付き合いもしてないなんて信じられないわ」


琴葉ちゃんは虎織が市長室から出たのを確認してから口を開く


「仕方ないだろ。我輩ヘタレなんだから・・・」

「そういう言い訳はそろそろやめたらどうかしら?日ノ元には将鷹以上にいい男なんて星の数程居るんだからやきもきしてる間に他の男に取られるわよ」

「ぐうの音も出ないな・・・分かってるんだけどさぁどうにもなぁ・・・」

「傍から見たら夫婦みたいなもんだし告白すれば確実に成功すると思うのだけど。あと結婚しちゃえば住民税諸々が安くなるわよ」

「最後のは余計だろ。魅力的だけどさ」

「まぁさっさと告白しちゃう事ね」


中々難しい事を言ってくれる・・・


「おう将鷹!久しぶりだな!随分とでかくなって立派になったな!」


黒髪に青のメッシュが入った短髪の男、経津にぃがいつの間にか市長室に入ってきていた。


「経津にぃ久しぶり!元気してた!?」

「おう!我輩は何時も元気だぞ!お前も元気そうで何よりだ!」

「経津にぃは変わんないなぁ。最後に会ったの確か5年前だっけ?」

「そのくらい前だったな!我輩の教えた技は役にたっているか?」

「使う機会少ないけど役にたってるよ!」

「そうかそうか!それは良かった!」

「何このビックリマークの多い会話は・・・どれだけテンション高いのよ」

「久しぶりに弟分に会ったらそりゃテンションも上がるだろうよ!」

「そうだぜ琴葉ちゃん!」

「将鷹少しキャラ変わってない?大丈夫?」

「問題ない問題ないこれくらい誤差だって!」

「誤差にしては大きいわね・・・」

「そういえば経津にぃはなんで華姫に?」

「あぁ、宇迦之御魂神に用事が有ってな。その帰りにお前の顔見に来たら居ないって言われるわ、そこの嬢ちゃんに護衛頼まれるわでな!まぁお前に会うまで街中を探索しても良かったんだが厄介者が彷徨いてると聞いてな。あとここなら確実にお前が帰ってくるって言われたから丁度良かったんだよ」

「あー我輩の上司が迷惑かけたみたいで申し訳ない・・・あとケーキありがとう」

「気にすんなって!さて虎織が待ってんだろ?行ってこい!あと宇迦之御魂神が最近来ないってボヤいてたから行ってやれよ!」

「OK!じゃあまたどこかで!」

「おうよ!」


あっさりした別れの方が我輩達には合っている。我輩と経津にぃに言葉はそこまで必要ない。目を見れば何となく分かる。

最後に気をつけろよと目で語っていた。我輩は市長室を後にし虎織と月奈に声をかける。


さぁ、調査の第2ラウンドといこうか!

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