第23幕 情報共有
「お前らなんで会議するのに毎回ここ使うんだよ・・・」
ヴァンさんがソファー席にドカりと座りながら呆れながら言う
「昼飯食いに来たついでの会議ですよ」
我輩はそんなヴァンさんの質問に答えを返す。昼飯のついでというか会議のついでの昼飯というような気がしなくもない。
我輩達がここ、喫茶青空を選ぶ理由は単純に落ち着くからだ。それ以外は適当な後付けの理由に過ぎない
「お待ちどうサマー。サンドイッチとパンケーキにピラフ2つ、珈琲3つお持ちいたしマシター」
カタコト混じりの日本語を話ながらローズさんが注文した品物を器用に手や腕に置きながら持ってきた。バランス感覚と器用さには感服せざるを得ない
「ローズ、サンドイッチが大盛り過ぎないか?」
「私たちの分よ。アンタ仕事し始めたらご飯食べないじゃない」
「それもそうだな。気遣い感謝する」
「代金はヴァン持ちね」
「ハイハイ。分かりました」
苦笑いしながらヴァンさんが言う。実に微笑ましい光景だなと思いながら珈琲を1口。普通に美味しいんだけど苦味が強い気がする
「それじゃあ、まず虎織と将鷹の方から聞き込みの成果聞かせてもらえるかな?」
月奈の言葉で我輩は口を開く
「怪しい家が1軒、その他は収穫なし」
「怪しいと思った理由は?」
「1つ目、住所登録と表札に差異がある。2つ目、一家丸ごと狙われ始めてるのを知っているかもしれない。3つ目、早く解決してくださいと言う割には随分と他人事かのような雰囲気があった。以上」
「2つ目は憶測だけどね」
我輩が説明し虎織が補足する。会議ではいつもこうだ
「なるほど。まだ確証が無いから下手に動かなかったって感じだね」
月奈は我輩達の意図を汲み取り吟味していた。何か引っかかる様な情報があったのだろうか?
「考えるよりも報告だね。私達の方は人間モドキかもしれない物が夜に歩いてたって情報と失踪者の一部の当時の服装を知ってる人が居たって事。最後に噂の発信源は将鷹達が訪ねたその家の人、逢坂さんっぽいよ」
「逢坂ねぇ・・・あのトンネルと同じ苗字だな」
「ヴァンにはあまりいい思い出がない所ね」
逢坂トンネル。この付近では少し有名な心霊所だ。有り得ない事が起きる。そういう場所なのだ。我輩はその近くに行くだけで吐き気と寒気に襲われる。
ヴァンさんは確か桜花さんと一緒に行った事があるんだっけかな
「ほう。あのやばい雰囲気が漂っておった所か。前見た時は人から外れたモノの溜まり場と化しておったな」
さっきまで黙って居た白狐が口をひらく。それは普通に放置するのは良くないのでは?
「もしそこから取られた名前なら随分と安直というかな。てか白狐、祓えないのかその外れたモノ達は」
「無理無理。下手な神よりそこに居座っておるモノの方が力が強いだろうな」
長くその土地に縛られているが故か・・・
「とりあえずこの話は置いておこうか。虎織、名簿上そこの人の苗字どうなってる?」
「神碕さんだね。この人も地名の苗字だね」
何か関係が有るのだろうか?一切解らない。だが怪しさというか不信感は募るばかりだ。直感が怪しいと語りかける
「なぁ、神碕の土地って市長居たっけ?」
嫌な予感がする。我輩の記憶が正しければ居ないはずだ。確認の為に聞いてみたが聞く必要もないのかもしれない
「あそこは誰もついてないはず・・・比較的平和で整地されてる土地だけど住む人は少なかったんじゃ・・・ねぇ、まさかそんなことないよね?」
月奈は我輩の考えている事に気づいたようだ。そうあって欲しくない。自分の目で確認するまでは憶測に過ぎない
「行って確認する他ないだろ」
「最悪の結果になってなければいいんだけどね・・・」
「おいおい、2人で分かった様な状態になるな。説明してくれ」
ヴァンさんがサンドイッチに手を伸ばしながら言う
「あくまで推測ですけど、まず前提として逢坂家が今回の件に関わって、そして犯人が悪意ある煽りをしているとします。犯人は人を攫い終わった所の名前に変えているのでは無いかって仮説です。ただ普通なら壹川や華田になるはずなんですけどね。そこが理解できないんですよ」
そこだけが不可解だ。そもそもこの仮説自体が正しいわけじゃない。むしろこじつけもいい所だろう
「なら昼からは神碕って土地に向かってその仮説の検証って訳か」
白狐が欠伸をしながら言う。気づけば白狐の前に置いてあったピラフは綺麗に無くなっていた。そんなに長く話していた記憶はないが・・・
「そうなるな。鳶さんは今日は出勤だったな。ヘリで神碕まで向かってみるとしよう」
「下手にヘリ出さない方がいいんじゃないかな?もし何かあったら堕ちるよ」
「そんな某ゲーム会社製じゃないんだから大丈夫・・・じゃないな・・・月奈の言う通り使わない方がいいな」
アイツの件もあるしな。何も無ければいいんだが・・・




