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華姫奇譚  作者: 葛籠屋 九十九
第2章不死殺し編
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第24幕 いざ神碕へ

「で、なんで儂が車の運転手として呼ばれたんだ?」

「さて、なんでだろうな。誰かに運転頼むって話になったら満場一致で師匠の名前が出たんだぜ?」

「ヴァン、ここではその呼び方はやめろ。仕事場では対等な立場だ」


座席が3列ある大型車を運転しながら桜花さんがボヤきヴァンさんが答える。

そして茶化す様に桜花さんを師匠と呼ぶヴァンさんを桜花さんが窘める。


桜花さんに頼んだ理由は簡単、頼もしいから。そして我輩と虎織、ヴァンさん、ローズさんは無免許、月奈は免許は持っていても運転したくないという。じゃあ現地まで歩くのかと言われてしまえば遠すぎる。

ヘリは万一落とされると処理等諸々厄介な為手の空いている桜花さんに車を出してもらった。ついでにアリサもオマケで着いてきた。まぁ桜花さんが指導してるらしいから当然といえば当然だ。しかしアリサは乗り物に滅法弱く今も後部座席でうぅ・・・と唸っている。

我輩は後部座席で虎織に膝枕されながら横たわるアリサに声をかける。


「アリサー?大丈夫かー?」

「だ、だいじょぶ・・・」


大丈夫じゃない返事が返ってきた。これは結構やばいな


「風咲、酔い止めの薬持っておったろう?それを飲ませてやってくれ」

「もう飲んで貰ってますよ。アリサは酔い止め効きにくいんですよ」

「それはどうしようもないな・・・頼むからこの車汚すなよ?社用車だからな?絶対だぞ?」

「ハッハッハ!そりゃ振りってやつだろ?知ってるぜ?押すなよ押すなよは押せって意味だって鬼姫様が言ってたぜ」


ヴァンさんが笑いながら言う


「ヴァン。投げるぞ?」

「スンマセン・・・」

「で、トランクに詰め込まれていた白髪の御仁はどちら様だ?乗れる人数的には問題はないがトランクに人を詰めるのはどうかと思うのだが?」


桜花さんが問いを投げる。我輩はそれにしれっと答える


「白狐っていう狐の神様です」

「そうかそうか神様か・・・」


桜花さんは路肩に車を停めて一呼吸置いて、車のエンジンを止める


「いやいや!神様をトランクに詰めるのは良くないだろうが!」


珍しく桜花さんが大声で叫ぶ。そりゃそうだ。普通に考えれば失礼極まりない訳だし


「大丈夫ですよ。本人に承諾は得てます。な、白狐」

「あぁ、こっちの方がのびのびできるからな。オレは割と満足だぞ」

「神様がそう言うなら・・・いやでもやっぱりそれは失礼だろ!ヴァン、お前がトランクに行くんだ」

「まぁ順当だな。白狐、変われ」

「しゃーねぇな」


ヴァンさんと白狐は場所を入れ替わりヴァンさんがトランクからひょっこりと顔を出し戯ける


「ヴァン、ミラーが見えん」


桜花さんが後方確認用のミラーを弄りながらエンジンをかけ直す


「しかし今日は車のくの字も見んな。この付近は車が多いはずなんだが」

「嫌な予感が当たりそうだな・・・」


車でしばらく走っているが本当に他の車が見当たらない。そろそろ目的地だが全く人が居ない・・・


「ここが神碕だな。全員臨戦態勢で車を降りるんだぞ。雪城と風咲は風咲を・・・苗字が同じなのは面倒だな・・・虎織と将鷹はアリサを頼んだ」

「私も苗字じゃなくなった!?」

「ついでだついで。将鷹と虎織はセットみたいなものだろう」


さっき気づいた事なのだがアリサは自己紹介の時アリサ・ノーラ・アンダーソンと名乗ったはずだ。何故桜花さんは・・・


「桜花さん、偽物だったりしませんよね?」

「いきなりどうした?あぁ、アレか。アリサは日ノ元では風咲姓で通しておると聞いてな。それにアンダーソンというと君付けで呼びたくなってしまうのでな」


それは何となくわかる。我輩が探偵役ならば必ずアリサの事はアンダーソン君と呼ぶだろう。しかし本人の証明としては役にたたない情報だ


「なるほど。ひとつ質問します。なっちゃんが体調崩したって連絡が来たらどうします?」


白鷺菜津(なつ)。桜花さんの娘で確か今年5歳くらいになるんだっけかな。普通の父親ならできるだけ早く帰ると言うだろう。しかし桜花さんなら・・・


「お前達を置いてこの車で即刻帰る」


即答。そして普段見せない親バカな一面を披露する。桜花さんのこの親バカさを知っているのは我輩達黒影対策課の一部だけだ。偽物ならこの一面は知る余地もない。ならばこの桜花さんは本物だ


「疑ってすみません」

「いや、いい。それで良い。怪しいと思ったらすぐに確かめるべきだ。前回の事件の資料を見る限り成りすましを可能にする魔術師が関わっているかもしれんからな」


桜花さんはそう言うと共に辺りを見回してから車を降りる。我輩も袖から拳銃を取り出しスライドを引いて何時でも撃てるようにしてから車を出る。

虎織とアリサが出てくるのを待ちながら辺りをキョロキョロと見てみるが人っ子一人居ない。これは嫌な予感が当たったな。そしてこれで最悪なパターンも有り得る話になってきてしまった


「お待たせ」


虎織がアリサを担いで車から降りてきた。虎織、アリサ、桜花さん、ヴァンさん、ローズさん、月奈に白狐。これで全員車の外に出たな


「忘れ物はないな?車の鍵かけるぞ」


桜花さんの呼びかけに皆返事をしてから歩き始める。

やはり人が居ない。コンビニでさえ無人だ。


そして我輩達は広い公園に足を踏み入れた瞬間に驚愕する事となった


「最悪だな・・・」


ぎっしりと人間モドキが並んでいたのだ。それはさながら兵馬俑というやつの様に・・・

しかも生前の形をある程度残して存在している。言うなればパニックホラーに出てくるゾンビだ


「どうする、掃討するか?」


桜花さんがこの場の全員に問う


「全部相手にってなると無理があるな。半分程度なら行けるんじゃねぇか?なぁローズ」

「えぇ、そうね」


ヴァンさんが髪をかきあげてからハルバードを構え、答える。そしてローズさんは真っ黒な変わった形のサブマシンガンを取り出しマガジンをセットする


「私としては全滅させたいけどヴァンさんの言う通り半分が限界だと思う」

「我輩もヴァンさんと月奈に同意だな」

「私も半壊に一票」


意見は出揃った


「では奴らの戦力を半分削る戦を始める。将鷹と虎織はアリサを・・・いや、ここは儂が護るとしよう。今は儂の大切な教え子だ。儂が責任を持って無傷で連れて帰る」

「白狐と月奈もアリサの護衛に回ってくれ!それと桜花さんはすぐ離脱できるように車をすぐ近くまで持ってきてください」

「分かった。では戦を始めるとしよう!全員健闘を祈る!」


桜花さんの掛け声と共に我輩達は人間モドキの目の前に飛び出す。敵は元人間。敵の数は無数。気合いを入れるため刀を持ち片手で銃を撃つ。発破音と共に人間モドキの1匹がその場に倒れ込み。こちらにぞろぞろと人間モドキの波が押し寄せる


「いざ参る!」


我輩は銃を仕舞い刀を両手で握り人間モドキの波目掛けて走り出す

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