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華姫奇譚  作者: 葛籠屋 九十九
第2章不死殺し編

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第8幕 神社へ

手がかりを探すならまずは聞き込みだ。

今は遠くで探偵業をやっているやつがよく言っていた言葉を思い出す。

朝早くということも有って出歩いて居る人は皆忙しなく歩いていく。

店もまだシャッターが閉まっている所ばかりだ。


「この時間はやっぱり聞き込みに向いてないな」

「ならば先に土地神の神社に顔を出しに行くぞ。そうすればオレも万一の時に協力できるからな」


白い狐の神、神名が見た目そのままな神、白狐が提案をする。現状ここで聞き込みをする為に粘っても一切情報は手に入ら無いかもしれないということを考慮すると白狐の全面協力を得られるようにした方が良い。

我輩はその提案に頷き、月奈に是非を問う


「そうだな。問題ないか月奈?」

「うん。そろそろ土地神さまも起きてる頃だし挨拶しに行けばちょうどいいかもしれないね」


こうして我輩達は華姫の土地神を祀る神社へと向かうことになった。

時刻は8時手前、8時半くらいには神社に着けるか


「将鷹、そのまま歩いても時間が勿体ないから空から向かおうか」


魔術式を蹴ってショートカットか。そっちの方が効率はいいか。信号とか引っかからないし。ということはだいたい8時15分くらいには神社の前まで行けそうだな


「そうだな。じゃあ行くか」


我輩は魔術式を蹴り、空へと駆ける。

気づけば肩の上に白狐が乗っていた


「てっきり月奈の肩に乗るのか思ってたんだが・・・へっくしゅ」


白狐の毛が鼻に入りくしゃみが出た。悪気はないのだろうがこのもふもふは我輩と凄く相性が悪いらしい。猫の毛とかなら少しだけなら問題にはならないはずなのだがこの白狐の毛は1本でもくしゃみが出てくる


「童は阿呆か?あの娘と一緒に居るのは自殺行為だぞ?特にオレのような助平はな!」

「自覚あるなら直したほうが身のためじゃないか?」

「オレは助平なのを誇っておる。童と違ってな」

「そこは誇るなよ。まぁどうでもいいんだけどさ」


1つ2つと魔術式を展開しては足場にし空高くまで来た。上から見る華姫市は洋風だったり和風だったり様々な建物が建ち並んでいる。

こう見ると華姫市が他の市から混沌都市と言われるのが頷けるというものだ。くだらない考えは一旦やめて風を掴み目的地を直視する


「白狐、目は閉じとけよ」


そういうと共に我輩は風を切りながら足場である魔術式から飛び降りると風が身体にまとわりつくように過ぎ去って行く。


「言うのが遅いわ!恐ろしい勢いで目が乾燥したわ!」

「ごめんごめん」

「全く。童は視界確保出来ておるのか?」

「全然!」

「お前マジの阿呆か!?死ぬ気か!?いや、殺す気か!?」

「大丈夫、大丈夫!」


視界は一切ない。真っ暗だ。何故なら目を瞑っているのだから。

だが問題は無い。


「童!」


白狐が叫ぶ地面はまだ遠いってのにどうしたんだ


「なんだ?」

「目を瞑っておるが着地は大丈夫なのか!?」

「大丈夫!」


あと少しで地面だ。目は見えないが感覚だけでも十分わかる。

それに直感もこういう時は鋭いのだ。もしかしたらこういう直感とかって影朧のおかげなのかもしれないが・・・

そんなことを考えていると地面がもうすぐそこに迫っていた。風の流れを操作しゆっくりと降りる。

目の前には大きな鳥居に長い石段、よくある神社と表現するべき景色があった。


「童、この石段登る気か?」

「もちろん。流石に鳥居を潜らずに敷地に入るのは失礼だろ?」


我輩は白狐を掴み肩から引き離す


「まぁそうなのだが・・・おい待て、オレを肩から降ろそうとするな!待て!待つんだ!お前がオレを降ろしたらオレがこのくそ長い石段を登ることになるんだぞ!」

「自力で登れよ」

「嫌だ!オレは神だぞ!敬え!甘やかせ!楽させろ!」

「やなこった。歩け。てか天照の所からここまで歩いて来たんだろ?これくらい楽だろ」

「ぐうの音もでん正論だな」


仕方ないという様に白狐は鳥居を潜り、石段を登り始める。我輩も鳥居を潜る前に一礼してから1段1段登っていく。

いつも思うがここの石段はやたらと数が多い。中腹ぐらいに休憩所を設けて欲しいものだ・・・



やっと目の前に空が見えてきた。あと数段だ。我輩は汗を拭い息を吐き、残りの石段を登る


「童ぁ・・・!助けてくれぇ・・・しんどい」


白狐が悲鳴を上げながら1段、また1段と登ってくる。


「神様ってそんなものなのかー?もっと頑張れよー!」


煽ったら何くそって上がってくるかと思ったがそんなことはなかった。

どうやら本当にしんどいらしい

石段を下って行き白狐に声をかける


「白狐、肩に乗れるか?」

「すまん持ち上げてくれ」

「流石にへばり過ぎでしょうが」

「オレは土地神にあまり歓迎されてないみたいだからな。ペナルティみたいな物が枷としてオレの神格を下げているんだろうさ。神にとって自らの神社の敷地内ならどんな荒業だろうとやろうと思えばなんでもできるものだしな」


なるほど。土地神さまの神社なら納得だ。我輩も何度か普段効かないはずの言霊で地に頭をめり込ませたな。これは我輩の配慮不足だったか。


「なぁ白狐、過去に土地神さまになんかした?」

「何もしてない。あんなぺったん娘にセクハラしても仕方なかろう。オレはもっと巨乳で・・・」


ズドンと肩が重くなる。どうやら土地神さまに会話の内容が筒抜けのようだ。

さっさと登りきるとしよう・・・


2度目の景色を拝みながら最後の石段を登りきる。


「来たか阿呆狐と童」


そう声をかけながら賽銭箱の上に土地神さまが鎮座していた。

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