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華姫奇譚  作者: 葛籠屋 九十九
第2章不死殺し編
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第7幕 騒がしい朝

「アリサちゃん、将鷹おはよー」


虎織が起きてきた。


「と、と、虎織!?なんて格好で・・・!」


月奈が焦り驚愕の声を上げる。そうだった・・・いつも通りで忘れていたが虎織の寝間着、サイズの大きいシャツは傍から見ればかなりマズイ・・・!


「えっ・・・月奈、なんでいるの・・・」


虎織がしまったというような顔で言う。


「将鷹に資料を渡すついでに朝ごはんをご馳走に・・・」

「そっかぁ・・・着替えてくるね!」


虎織は急ぎ足で自室へと向かって行った。顔を赤くしていた辺りめちゃくちゃ恥ずかしかったのだろう


「あのさ、将鷹に確認なんだけど・・・あれって将鷹の趣味だったり?あのシャツのサイズ的に将鷹のだよね。いや、人の趣味とかにとやかく言うつもりはないんだよ?だからその正直に答えて」


おっとこれはややこしそうな状態になったな!

我輩と趣味とかそういうので着て貰ってる訳じゃないが萌えとかそういうので言うなら趣味と言えるだろう。

ここは正直に答えるのが最適解なんじゃないか?


「我輩はあぁいうのはめちゃくちゃ好きだけど虎織に着てくれと頼んでいる訳じゃないぞ。断じて違うからな」

「ふーん・・・嘘は言ってないみたいだね」

「虎姉は冬以外はあぁじゃねー。うちも最初見た時は破廉恥なって思ってしもうたけど今じゃもう慣れっこじゃー」


アリサがフォローを入れてくれたが何故エセ広島弁なんだ。たまにこういうエセ広島弁出るけどアリサってもしかしてキャラ付けとかそういうのしてるのか?それとも単純にそういう喋り方が昔から染み付いているのか。キャラ付けなら拙者、ござる口調とかいいと思うが・・・被りやすいけど


「さっきはお恥ずかしい姿をお見せしました・・・」


柱付近から虎織がかしこまった口調でゆっくりと出てくる。まだ顔が赤い気がするがまぁ仕方ないだろう


「びっくりしたよ。まさか仕事場とかでは真面目な虎織があんなにはしたなくてだらしない格好で出てくるなんて」


月奈はおどけるように笑って虎織をからかう。

虎織が家では割とだらしないのを知ってはいるがここまでだったとは月奈も思わなかったのだろう。いい酒の肴が出来たという感じの雰囲気がひしひしと伝わってくる


「まぁでもそういう一面有るの知れて良かったかな」

「引かない・・・?」

「引かない、引かないよ!だって私は虎織の親友だもん!」

「そっかぁ良かった・・・」


月奈は笑いながらそういう。そしてそれに安堵する虎織。この2人は本当に仲がいい。中学の頃困っている時に月奈が助けてくれたのも虎織の存在あってこそという物だろう


「なぁ童、好いている人間があんな破廉恥な姿で自宅を歩いて居て何も思わんのか?」


白い狐は小声で我輩に話しかけてきた。

全くこの狐はどうしてそういう話を振ってくるのか


「どっからその情報仕入れたんだよ・・・」

「見て居れば直ぐに解る事だろう。で、何にも思わんのか?」

「思う所は有るが気にしないようにしてる。というか気にしてたら頭がパンクする」

「童はやはり童かぁ・・・女慣れしておいた方がいいんじゃないか?オレの行きつけのキャバクラでも行くか?」

「阿呆か」

「おやおやー?将鷹と白狐はキャバクラの話で盛り上がってるのかなぁ?そういう所行くのはダメだよ。将鷹はお酒飲んだらすぐ寝ちゃうからお金スられちゃうのが見えるし」


月奈がジト目で言う。月奈の言う通り我輩は酒を飲むと直ぐに眠ってしまうのだ。誰かが居ないと色々と危険なのだ


「行かないぞ。家でのんびり飲んだ方が酒は美味いし、つまみも好きなの作り放題だし行く必要がないんでね」

「童には綺麗な女に入れてもらう酒の美味さはまだ分からんかぁ。ならメイド喫茶はどうだ?あそこなら酒は絡まんし」

「却下。なんで高い金払ってまで普通の飯食わないといけないんだよ」

「その口ぶりは行ったことあるのかな?」


虎織が興味ありげに聞いてきた


「昔禍築と蓮に誘われてな。腹減ってる時に連れてかれて目の前に飯あるのになかなか食えないお預け食らったぞ」

「楽しかった?」

「あんまり。禍築はめちゃくちゃ楽しそうだったけどな。我輩は蓮とずっと駄弁ってる状態だったし」

「そうなんだ。禍築君はあぁいうお店好きだもんね」

「無類の女好きだからな・・・」


禍築のそういう所はあまり好きになれない。良い奴なんだがやはりそこだけはな・・・

このまま話をしていると仕事に遅れてしまうか。そろそろ朝食を食べて仕事場に向かうとしよう


「さて、話はここまでにして飯にしよう。あまり遅くなると急いで食べないとってなるからな」

「そうだね」


我輩達はテーブルを囲み朝食を食べる。

一応自称神たる女好きな白い狐に床で食ってもらうのも気が引けた為テーブルの上に乗ることを許可した。行儀悪いけど仕方ない。こればかりは目を瞑ろう




「それじゃあ行ってきます!」

「行ってらっしゃい。気を付けてな」

「うん!」


朝食を食べ終え虎織とアリサは仕事場である事務所へと向かう。我輩はそれを見送り、このまま家で仕事の資料を読みその足で調査に向かう事にした。一々事務所まで行く必要はないしな


資料に一通り目を通し、内容を整理する。


どうやら近頃華姫市内で失踪事件が多発しているようだ。身寄りの無い者が消えていったようだがここ2、3日一家丸ごと消えているようだ。

そして夜中に失踪者達の姿を捉えたカメラはあったものの皆フラフラと足取りがおぼつかない様子だったと報告されている。

それに人間モドキのようなモノも映っていたとか。

これは先代の件からの繋がりが有りそうだな。



「そんじゃ我輩達も情報収集しに行きますか!」

「さっさと犯人捕まえて平和な華姫を取り戻そうね!」


月奈は何時になく張り切っていた。それもそうか。華姫の住人に仇なす悪人を滅する、それが彼女の信じる苛烈とも言える行き過ぎた正義なのだから

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