幕間 見定めるモノ
暗闇の中、男二人が建物の屋根に座り話をしていた。
「左右偽陰殿。そろそろ私に貴方の力を頂けませんかねぇ……?」
「欲しけりゃ見ればいいだろう?お前の能力はそういうモンなんだからな」
「それが出来ればもう既にやっているのですがね……なんなのですか貴方の力は。どれも非実在で魔術式として成立していない……魔法でも無ければ錬金術でもない。なのに全て魔術のような……そして何よりこの眼で見ても何も情報がない、ただそこに現象が在るだけというのでしょうかね?」
「魔術を使っているつもりではあるんだがな。しかしだ、アイツの力なら見えるだろうさ。俺にはそう見えるからな」
「えぇ、貴方がそういうのならそうなのでしょうね。それにしても獣を連れあるいているというのは厄介かもしれませんね。仕掛けるタイミングは考えなければ……」
将鷹達がバスに乗り込んだのを見て男達はその場から消える。一人は闇に紛れ、もう一人は元からそこに居なかったかのように。
「へぇ、識別の眼でも左右偽陰のアレが見えないなんてなぁ。さぁどうする将鷹、お前がどこまで相手できるか楽しみだ」
新たに現れた人影は煙のように風に吹かれ消える。もうこの場には誰も居ない。ただ木々のざわめきと風の音だけがその場に響くだけだった。




