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華姫奇譚  作者: 葛籠屋 九十九
第5章 国無シ島編

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第46幕 魂の写本

 「何すんですか少彦名命様ぁ!?」

 「なぁに、忠定の剥離した魂を身体から押し出したまで」

 「殴る以外の方法なかったんですか・・・」

 「あったらやっている」


 そりゃあそうだね。うん。久那さんなワケですし?我輩の知ってる久那さんはこう・・・いや、割とバイオレンスなところあるわ。優しいけどね?

 今だってこう、気遣ってくれているのか背中に手を当ててくれてるし?


 「ちなみに剥離の方は・・・ぐへっ!」


 容赦ない本での身体殴打!!何?サンドバッグにされてない!?


 「少彦名命!流石にやりすぎだろ!?ってあれ?」


 忠定の声が響く。でも姿は見えないし・・・


 「お疲れ様でした将鷹さん。これで全部、儀式は終わりです。その、殴ってしまって申し訳ありません・・・不意をつかないと上手く剥がせないので」

 「あぁ、そういう・・・」


 それなら仕方ない。久那さんモードに戻ってるしこれで本当に終わり、なんだな


 「俺を無視すんな!?どうなってんだコレ!?」


 忠定の声だけが聴こえるがやはり姿は見えない。聞こえた付近は久那さんの持ってる魂の・・・あっ!そうだった!魂の写本にどうこうするって言ってた!!

 ってことは


 「本の状態で喋れるのか忠定!?」

 「やっぱ俺、本に成ってるのか!?マジかよ!!一回死んでるとはいえ人間やめちまってるじゃねぇか!!」

 「少彦名命を騙して置いていった罰です。甘んじて受けてくださいね?」

 「チッ、仕方ないか・・・好き勝手やったツケだ・・・」

 「意外とすんなり受け入れるんだな」

 「何にしろ俺はお前に負けたんだ、しゃーねぇ」


 諦めなのか安堵なのか忠定の声は穏やかだった。まるで老後の余生を過ごすというべきか憑き物が落ちた感じだ


 「無事帰って来れたみたいだな。おかえり」


 艦の上から桜花さんと大和先生が降りてくる


 「桜花さん!大和先生!ただいま!」

 「おう、おかえり。きっちり帰って来れたってことは炎の魔術式使えるようになったってことだ。これでパーフェクト将鷹に一歩近付いたな!」

 「パーフェクトって・・・」

 「まだまだ発展途上だからな。椿だっけ?お前の流派の師匠。その人にまた稽古でもつけて貰ったらどうだ?どれだけ強くなったか見るのも兼ねて」


 師匠かぁ・・・あの人マジでフィジカルお化けだし今戦っても勝てるビジョンが見えねぇ・・・


 「師匠が華姫にまた来たら・・・」

 「多分六月辺りに来るぞ」

 「えぇ!?」

 「華姫祭の招待状送ったからな」


 桜花さん、マジで言ってます!?てかあの師匠が祭りになんて・・・来そうだな。凄い来そう。そういうの好きな人だもん。初めて会ったのも確か華姫祭の時だったか


 「雨じゃなきゃいいんだけど・・・」

 「統計としては七割は小雨、なんとも言えんな」


 桜花さんの言う通り雨の方が多いのが現状だ。

 雨だと巡回がめんどくさい。傘差すワケにもいかないから合羽着るけど蒸し暑いから嫌なんだよなぁ。あと賑わう方がいいし晴れて欲しいところではある


 「晴れにしたいのなら天照大御神を呼べばいいのでは?」

 「いや、流石にそれは・・・」


 久那さんが心底不思議だというような表情で我輩達に提案をしてくれるが天候操作で呼ぶのは如何なものかと思ったりもする


 「行っていいのか!?」


 御守りから天ちゃんの声が響く。聞いてたんだ・・・


 「来ていただけるならこちらとしてはとても有難いのですが」

 「行く行く!菊理媛に話はこっちから通しておくから!」


 すっごい嬉しそうなんだけど・・・天ちゃんってお祭り好きだっけ?


 「親友、なんか失礼な事考えてないか?ワタシが人混み嫌いな引きこもり喪女で祭りなんてとか」

 「思ってませんよー?」

 「ならいいんだけどね。神様はだいたいお祭りは好き、だからね」

 「久那さんも?」

 「私も結構好きですよ。社から毎年出ないのは流石に巫女服でお祭りに出るのもなぁって思ってですね」

 「なら普通の服着て歩き回ればいいだろ」


 本となった忠定が最もらしいツッコミを入れる


 「巫女服で服を買いに行けと?」

 「服を買いに行く服がないってあるんだな。なら将鷹に丈教えて買ってきて貰ったらどうだ?」

 「この馬鹿男は・・・デリカシーってものがないんですかね・・・」


 呆れながら久那さんは本をバシンと軽く叩くと忠定が声をあげる


 「痛った!何すんだよ!?」

 「デリカシーのない発言への折檻です」

 「おい将鷹、なんでコイツこんな暴力的になってんだよ!?」

 「自分で考えたらどうだ?」


 我輩にも見当つかないし・・・久那さんなりの照れ隠しなのかそれとも単純に忠定への恨み辛みというやつか・・・


 「儀式完遂したなら帰るのでありますよー!」


 艦の上から提督の声がする。帰るまでは気が抜けないな


 「あっ、靴とかの土とか石はきっちり洗い落とすのでありますよ!戦場となった土地のものを持ち帰るのはあまり好ましくないと言われております故」

 「ジンクス的なのですか」

 「えぇ、そういうのでありますよ」

 「なるほど。じゃあ線香上げて帰りましょうか」


 久那さんから線香を貰って火をつけ地面に置き手を合わせる。立ち上がると見覚えのある人達が敬礼していた。

 敬礼し返すと彼らは満足気にゆらりと消えていく


 「さぁ、帰ろう」


 靴や服から土を落とし、艦へと乗り込む。ここから一日かけて華姫に戻る。何日経ってるか聞いてみると儀式を始めて六時間だそうだ。やっぱり向こうとは時間の流れが違ったか。とりあえずお腹空いたしご飯食べよう!

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