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華姫奇譚  作者: 葛籠屋 九十九
第5章 国無シ島編

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第43幕 決闘開始

 海に落ちてそのまま前後上下不覚状態になっていた。苦しくはないんだけどなんだかこの感覚が不気味で仕方ない。自分はどこへ向かっているのか解らないし見えるべきものも見えていない、不安が勝る状態。

 くるりくるりと回る感覚、それが前後上下不覚を加速させる。

 しばらくその感覚に悩まされているとザパンと何かに吐き出されるような感覚で心の水面へと出てきた


 「やっとお出ましか」

 「忠定・・・」

 「さっきはよくもまぁ艦に乗せやがったな?」


 あっ、怒ってらっしゃる。まぁそうだよなぁとわかる面もあるし怒られる覚悟くらいはしてたけど


 「いいだろ別に。もしもの時はそっちで対処できるだろ?」

 「目標非達成だぜ?」

 「そうなっちまうかぁ。ペナルティは?」

 「戦うってのは知ってるよな?」

 「あぁ、さっき聞いた」


 マジでさっき聞いた


 「さっき!?儀式前じゃなくて!?」

 「一応前に忠定をボコるみたいな事は言ってた気がしなくもないけど当日は忠定のやり残したことの達成って言われたし」

 「ま、まぁ・・・ペナルティは俺が本気でお前と戦うってとこだ」

 「ペナルティになってなくね?もとよりそのつもりだったしさ」

 「最初は加減してやろうとか思ってたんだ!!」

 「じゃあ目標非達成で良かったな。後腐れ無く戦おうぜ」

 「脳筋かよ・・・ま、そっちの方が俺も気を遣わなくていいし構えろよ」

 「っと、武器は・・・」


 刀とかないんだけど?


 「ここはお前の心の中だ。好きな武器使えばいいさ」

 「なら、来い、風切」


 名前を呼ぶと手元にスっと鞘付きの状態で現れる。これってもしかして羽織もと思ったら既に羽織っている。自分の姿を見るとさっきまでの軍服じゃなくていつもの羽織に袴だ。やっぱこれだよなぁ


 「そんじゃ、開始って事でいいか?」


 忠定がそう問う。我輩は無言で頷き風切を抜き、八相で構えて相手の出方を見るために待つ


 「雷華(らいか)


 忠定がいきなり目の前に来て刀を振り抜く。間一髪、順手から逆手に持ち替え地面に突き立てるような形で一撃を防ぎ鍔迫り合いのような形となる。まさに雷の様な速さ、雷による脳のリミッターの限定解除、パワーもめちゃくちゃ強いし速さも乗っている。

 そういえば炎って使っても大丈夫なんだろうか?死地では炎の壁を作れたしやってみるか


 「炎天!」


 逆手から順手へと持ち替えると同時に炎を纏わせた刀で斬り上げる。炎が飛ぶように宙を翔けるが忠定には当たっていないみたいだ。斬り上げの時点で跳び退いて避けられたか。なら次の手を撃つだけだ!


 「走れ、緋炎走(ひえんそう)!」


 脚元に現れた魔術式を踏み潰し壊す。それと同時に水面を炎が勢い良く走る。本来なら魔術式は自壊するんだが今回は自分で壊す手間を踏んで威力底上げを行う。それを忠定は水鏡を作って防ぐ。水蒸気が霧のように視界を遮る


 「ちっ!炎を早速使いまくりやがって!」

 「使えるもんは使わないとな!」

 「雷過(らいか)


 また一気に距離を詰めてくると思って防御を固める為にしゃがみながら霞の構えで待ち構える。しかし飛んできたのは忠定の斬撃ではなく雷光だった。防御態勢に入っているとは言えこれは避けられない・・・


 「ぐっ・・・」


 直撃とは言わないが右腕を掠めて行った。袖と腕は何かしらの魔術式が発動したのか無事ではある。衝撃と熱が走っただけで済んで良かったが普通に食らってたら腕がもげていてもおかしくない。多分雪が何かしらの魔術式を仕込んでくれていたのだろう。またお礼言っておかないと。もしかしたらこの霧で我輩の動きが見えていないかもしれない。ならば今がチャンスかもしれない。雷撃が飛んできたのは真正面、水面を蹴って一気に距離を詰める!


 「椿流、業喰改」


 蠢いた影を目掛け三段突きの無明剣を放とうとした瞬間、忠定の影だと思ったものが揺らぐ。水で作った人型か!?

 気付いた瞬間人型が爆ぜ凄まじい勢いの水の弾が飛び散る。間に合うかは解らないが炎で蒸発させるしかないか・・・!


 「炎壁、二枚!」


 水蒸気が上がり何とか防げた、そう思った


 「雷華」


 炎壁の右斜めから忠定の斬撃が来る


 「白鎖!!」


 腕に白鎖を絡めて刃を受け止める。骨にヒビが入るかと思った一撃、それを押し返すワケでも無く、ただ受けてそして妖術での流体化を使って姿を少しくらまし、忠定の後ろに立って横薙に刃を振るう


 「その攻撃は予測済だ」


 そう言って忠定は刃を返し、攻撃を受け止めようとする。どこまで予測されてるかは知らないがやるしかない


 「なっ!」


 忠定の刃は白鎖が絡み付いて水面に引っ張られている。それに驚いたのか一瞬動きに迷いが出た。ここから防御は取れないはずだ。

 刃はスっと空気を斬る。確実に斬れたと思った。でも随分と甘かった、考えが浅はかだった。そりゃそうだよな・・・自分だけの特権とかちょっと勘違いしてた所はあった


 「まさか流体化使わされるとは思ってなかったぜ?」

 「お前も妖術使えるのかよ・・・」

 「お前の眼から情報は貰えてたからな。それに身体に染み付いた感覚、使えない方が不思議だろう?」

 「それはちょっと想定外だったな・・・!来い、白虎!」


 風切を白鎖に任せ手元に白虎を呼ぶ。心の中だとパッと手元に来るのは有難い。水の魔術はこれで使えるけど白虎での炎の魔術運用はしたことがないから不安要素もある。でも戦いの幅はこれで広がる・・・!

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