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華姫奇譚  作者: 葛籠屋 九十九
第5章 国無シ島編
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ル来日ノ戦決 幕壱拾肆第

 「ったく・・・どんだけ黒影出てくるんだよ・・・」


 ここ数時間休憩は挟みながらだがどんどん出てくる黒影を狩り続けている。もう一年分までは行かないけどそれに近い黒影を狩っただろって思うくらいには刀を振るった。華姫の黒影よりは随分と柔らかいのが救いだけどそれでも数が多い!今は他の人にまかせて休憩させてもらっているのだがどうも落ち着かない


 「将鷹、そろそろ寝ておけ。黒影は仲間がなんとかしてくれるしなんかあったら起こしてくれる」


 忠定がウトウトしながらそう言った。アドレナリンとかそういうので眠れるかというと微妙な所だが寝なければ明日の朝とか大変だよなぁ


 「そうさせてもらう」


 鞘に収まった風切と白虎を抱きしめるようにして壁を背に目を瞑る。意外とこうすると眠気がやってくる。

 夢は見なかった。普段ならここの情景でも見そうなモンだけど。見えないのはいいことなんだけどな


 「ふぁーっ・・・感覚的に深夜かな・・・」

 「おっ、新兵の兄ちゃん起きたな」


 白髪のおっちゃんが我輩に声をかけてくれた。ちょうどいいし状況確認しないとな


 「うっす。状況どうなってます?」

 「黒影の出現は随分とマシになったぞ。それで他国の奴らも静かにしてるぞ。それに結構な奴らがこっちに逃げてきてほぼ全員来たんじゃないか?喧嘩も今は起こってないし良好だ」

 「そっか、良かった。それじゃ、しばらくは屋根で警戒でもしようかな」

 「そうしてくれると助かる」


 屋根に登り銃の整備をしながら周囲の警戒をしていると太陽が空に登り始める。ついに来てしまった、決戦の日だ。多くの屍を積み上げて来たんだ。今居る全員を艦に乗せる、これが我輩の今の目標だ。

 できるかどうかは未知数だがやらなきゃならない。

 日の出を眺めていると黒影も今起きたというように数匹湧き始めた


 「やっぱ簡単じゃないよなぁ。でも、諦めるのはらしくない」


 左手に白虎を、右手には弾数を気にして極力温存していたロックを握り朝焼けを背に屋根から飛び降りる。

 自分がまるでヒーローであるかのように、そういう演出地味た事をして自分を奮い立たせ黒影を斬り伏せ、撃ち抜き、燃やしていく。形は様々、バラエティに富んだキメラみたいな奴らばっかりだ。

 虫の身体に虎の頭みたいなキモイのもよく出てくる。ぶっちゃけこういうのが精神的にキツい。できる限りそういうのはロックで撃ち抜きリロード前に来たら鞄の中のラッシュと持ち替えて撃ち抜く。何人か助けに来てくれたのも有難い話だ。

 太陽はどんどん登り汽笛が聞こえる。さぁここからが我輩の勝負の始まりだ


 「一旦離れます!」


 そう言って列強の人達が居る兵舎へと急ぐ。用事があるのはもちろんジャック。三ヶ国語が解る奴なんて他に居ないし、あくまで予測だけど久那さんに見せられた再現で俊作さんの放送を聞いて他の人達の先導をしたのはジャックだろう


 「ジャック!」

 「おうブラザー、どうした?」

 「手伝って欲しいというかあって欲しい人が居る」

 「ほう?」

 「とにかく着いてきてくれるか」

 「オーケー。信用しようじゃないか」


 よし、これであとは海辺で俊作さんを探して話をつければ大丈夫


 「何があったのかミーに話してはくれないか?」

 「今からアンタにあって欲しい人が居る。まぁ我輩も知らない人なんだが」

 「わけがわからないぜ。だが、それがブラザーにとって良いことで大事ってのは解る」

 「信じてくれてありがとう」

 「いいさ。ちょっとした休戦休暇も取れたわけだしな」


 走りながら海辺を見ると大きな艦から板梯子が下ろされているところだった。ガヤガヤと作業が進められてるから大声で叫ばなければ多分聞こえないだろう


 「雷藤俊作提督!!お話があります!!」


 力いっぱい叫ぶと乗組員達の視線が一斉にこちらに向き止まる。そして何人か顔を見合わせてから作業に戻って行く。ダメだったかと思ったが上から声が聞こえた


 「当方の事をお呼びでありますか!?」

 「この島の抹消が決まったのは本当ですか!?」

 「本当であります!!故に今よりこの艦を開放し皆を助けるのであります!!」

 「ジャック、という訳であの人の指示で誘導お願いしてもいいか?」

 「なるほど、アンダースタンド。人助けのために軍属やっててやっとこさちゃんとしたミッションってワケだ!そりゃあブラザーも張り切るな!」

 「それじゃ、頼んだ。俊作さん!三国の言葉が話せる人材がここに居るんでこの人と協力お願いします!」

 「話が解る人でありますな!忠定によろしく言っておいて欲しいのであります!」


 親指を立てて返事をする。その場から走り黒影との戦闘が行われている所へと急ぐ。戦線は維持、大きな損害も無さそうだ


 「忠定!こっからが我輩達の正念場だ!」

 「あぁ。俺たちの今の役目は変わらず殿(しんがり)だ。ここで黒影どもを押し留め避難を完了させる」

 「我輩達はここに残って爆撃機も足止めすると」

 「そういう事だ」

 「よし、やるぞ!!」


 気合いの掛け声と共に白虎とロックを手に取り構えて黒影の群れを目指す。そして近場に居る人達に声をかけながら前へと進む

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