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華姫奇譚  作者: 葛籠屋 九十九
第5章 国無シ島編
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殿 幕捌拾参第

 「これで一つ目の目標達成でいいのか忠定」

 「あぁ!満足だ!っててて・・・」


 思いっきり殴りあったからあちこち青あざだらけの忠定の背中を洗っている最中に聞いてみたがどうやらこれで一つ目は終わり、次は明日の爆撃機の撃墜か・・・

 正直気乗りしない。爆撃機を落とすってことはその機体ごと爆弾落とすことになるわけでそうすると操縦者は死ぬ。しかも墜落して生き残っても爆弾でむごい死に方することになる。それっていいのか?許せるのか?許容できるのか?手を下せるのか?

 答えは即答とまではいかないがそれなりに早く否と言える。大義名分もなく自分勝手な理由で人を殺していい理由にはならない


 「なぁ、なんで爆撃機の撃墜がしたいんだ?」

 「例えばだけどさ、お前が人を殺せる状態で爆撃機に乗ってるとする。命令は全てを消すこと。そんな時にお前の目に避難してる戦艦があったらどうする?」

 「・・・見逃すけど」


 その質問で忠定の意図が汲み取れた。やりたいことは道連れでも力比べでもない。殿(しんがり)だ。

 どこまでお人好しなんだよコイツは・・・


 「お前みたいな優しいやつだけなら戦争なんて起こらないんだけどな」

 「お前が言えた義理かっての!なんだよそういうのなら言ってくれりゃ悩まなくて済んだのにさぁ!」


 背中を洗い終わったので手荒く背中を平手で叩く。バチンといい音が鳴り忠定は声を上げる


 「いってぇぇぇぇ!?冷えたとこに平手はねぇだろ!?」

 「ちょっとした恨みだっての」

 「はいはいそうですか。俺の言葉不足がすみませんねぇ!」

 「煽ってんのか!?」

 「日ノ元の人間なら察してくみとれよ」

 「無理言うなよ!!」


 そういえばこの後って本来の歴史ならどうなるんだろう?多分膠着状態が続いたまま俊作さんが来るんだろうけど。ならここからは忠定にとっても未知数だ


 「なぁ、ここで進む道を変えてどうなると思う?」


 忠定はさっきまでの軽い声音ではなく重苦しい声音で我輩にそう問う


 「そうだなぁ。現実には干渉しないだろうとは思ってる。天ちゃん呼べちゃったし、なんなら過去の模倣っていうのはもう確定してるっぽいし」

 「お前さぁ、神様に親し過ぎないか?」

 「神様と恋仲まで行ったお前には言われたくないな」

 「いや、そういうのじゃなくてさぁ・・・もっと敬意払ってだなぁ」

 「ワタシが赦しているんだ。別にいいだろう?それに親友は親友なりに敬意を払ってワタシに接してくれているよ」


 忠定の言葉に反応して我輩の持っている御守りから火花が散り天ちゃんが姿を現した


 「げぇ、天照・・・」

 「随分と嫌な顔をするじゃないか。身体が濡れているし乾かしてあげようか?なぁに、親友の同居人のよしみだ、干物で赦してあげよう」

 「物騒な事言ってくれるなよ・・・だから俺はアンタが苦手なんだよ」


 苦い顔で忠定は身体を拭いて着替えを始める。神様の前で着替えるか普通・・・


 「あのさぁ!?乙女の前で着替え始めるのはどうかと思うんだけど!?」

 「見慣れてんだろ神様なんだし」

 「阿呆か!!男の裸なんて見慣れてるわけないだろう!?」


 天ちゃんがめちゃくちゃ顔を真っ赤にしながらアワアワしている・・・


 「てっきりあの露出狂の踊り子とかと仲良いから慣れてるんだと思ってたわ」

 「ウズメは同性だから慣れてるだけだっ!」


 なんか天ちゃんが手玉に取られてる気がするなぁ。適当に話ぶった切ってついでに聞きたいこと、というより聞き損ねたこと聞いておかないと


 「天ちゃん、昨日の黒いヤツの正体教えて貰ってもいい?」

 「あっ、おっけーおっけー。アレね!アイツはまぁ神に近いモノかな?天地どっちかわかんないけどそういう系統のだね。少なくともワタシと格は近いだろうね」

 「最高神と同格・・・」


 パッと思い浮かぶのは須佐之男命(すさのおのみこと)月読命(つくよみのみこと)だけど須佐之男命は会ったことないけど話聞く限りこんな事するタイプじゃないだろうし。となると月読命か?


 「どちらも違うよ。華姫の外の話さ。流石に兄上は親友の邪魔はしないだろうからね。なんせ経津主神(ふつぬし)の弟子みたいなもんだ、そんな事したら喧嘩勃発だろうからね」

 「外の神様かぁ・・・詳しくないんですよねぇ。ゲーム知識しかなくて、クトゥルフとかそっち方面で?」

 「そっち方面だったら神様総出だよ。まぁハワード氏達の創作郡が本当ならだけどね。あまりにも範囲が広いけど悪魔とかって言えば解るだろう?」

 「なるほど・・・でも悪魔って天ちゃんと同格って有り得るんですか?」

 「悪魔信仰だって外の国にはあるだろうからね。それに割と認識してる人も多いだろうからさぁ、厄介なんだよ」

 「裏に悪魔とか居るって認識で大丈夫ですかね?」


 そうなると厄介過ぎるんだけど。そもそも悪魔ってあれだよな?角生えてる奴らで天使と対になってて


 「ま、今はそこまで考え必要はないんじゃない?それよりやるべき事がまだあるだろうからね」

 「そう「黒影だ!!島全域に黒影多数!!」


 我輩の答えを遮って聞こえてきた叫びに驚いた。黒影が出たと。おかしくはないんだけど全域に?魔術使えないとこでも黒影出てくるってヤバくないか?

 それに多数ってどうなってるんだ。しかも目視で数匹見えるほど近くに急に現れた。何がどうなってんだよ

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