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華姫奇譚  作者: 葛籠屋 九十九
第5章 国無シ島編

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第25幕 船内にて

 「大丈夫だったか将鷹」


 提督執務室から出たところで桜花さんに声をかけられた。心配そうな顔と声でかなり心配してくれていたのがわかる


 「大丈夫です。ご心配おかけしました」

 「大丈夫なら良いのだが。そういえば朝食はまだなら今から食堂でどうだ?まぁ昼が近いから少し早めの昼食という形でも良いが」

 「それじゃあ少し早い昼食としましょうか。ちょうどお腹も空いてますし」


 時間としては今は午前十一時手前、お昼にはちょっと早いがたまにはいいだろう。というか朝ごはんも食べてないから結構お腹空いてるんだよなぁ・・・

 まぁ正直食欲自体は無いに等しいんだけどな


 「しかし顔色は優れぬままだな」

 「正直えぐいモン見たんで万全とまではいきませんかね」

 「見たものは儂には解らぬがおおよそ血まみれの地獄か・・・」

 「それよりも酷いもの、ですよ」

 「・・・刻坂嬢や少彦名命から聴いたものよりも酷い状態だったようだな」

 「まぁ言葉では言い表せない、というより伝わりにくい状態でしたから」

 「後学のために飯が終わってから聞かせてもらっても良いか?」

 「食ったもん吐かないでくださいよ?」

 「これでも中々の惨状を見てきた者だ。甘く見られては困る」

 「そりゃあ頼もしい、我輩も吐き出して少しでも楽になりたい所ですから・・・まぁ吐いてどうなるって話ですが」

 「おっ、それ俺も聴きたいぞ」


 後ろから大和先生がやってきた。どうやらこっちは興味の赴くままという感じだろうか・・・先生だし仕方なくはあるけどさ


 「大和先生も飯一緒にどうです?」

 「そうだな、久しぶりに教え子と飯というのも悪くないな。お前らが仕事初めてから中々予定合わないからちょっと寂しかったんだぞ?」

 「今の教え子連れてってあげてくださいよ」

 「アリサの飯代で給料どんだけ飛ぶと?いや、お前ら七人に奢るよりはマシか?そんなことないな・・・今もアリサ以外に五人生徒抱えてるし・・・」

 「世知辛い物だな」

 「なんか飲みとか奢ってくださいよ白鷺さん」

 「それは今回の働き次第だな」

 「なら打ち上げでってことで」

 「そういえば食堂はどこだろうか?宛もなく歩いている状態なんだが?」


 桜花さん話題逸らした?それとも無言の了承というやつなのか・・・まぁ言及したところで我輩には得はないしなんなら誰も損しないし。確か食堂はここの突き当たりだったはずだ


 「食堂ならここ真っ直ぐ行ったら確かあったはずですよ」

 「そういえば将鷹は乗ったことがあるのだったな」

 「武蔵の行き帰りにお世話になりましたからね」

 「あの時か」

 「将鷹は対策課入ってから大活躍してるよな、先生は鼻が高いってやつだ」

 「黒影倒す以外の所なんで不本意ながらですけどね」

 「十二本刀の時点でそういう仕事も回ってくるのだ。対策課としての本質は黒影であっても、十二本刀は鬼姫の懐刀であること、常に鬼姫を護る傘であり刃というものだ。その道を選んだのは将鷹自身であろう?」

 「ごもっとも・・・でも正直なとこ、ここ一年間事件起き過ぎてませんか?」

 「そこは同感だな。左右偽陰だったか?そいつをどうにかしない限りはどうしようもない、そういう状態だと儂は推測しておるがどうだ?」

 「多分そうでしょねぇ・・・」

 「厄介なのに絡まれてるわけか」

 「おっと、三左衛門堀。これは口外するなよ?」

 「解ってますよ。下手に話そうもんならそっから崩されるのは世の常、噂が綻びを生み付け入られる」

 「流石は教師といった所か。そこはきっちりしておる」


 左右偽陰か・・・あいつは姿すら解ってない状態だもんな。まぁ異端狩りの奴らはまた別件、と思ったけどあれ城ヶ崎がトップの組織だったな・・・だから多分左右偽陰も関わってる。その左右偽陰も今どこで何してるかとか全く掴めてないのが困りものだ


 「そういえば噂で思い出したんだけど」


 大和先生がポンと手を叩いて思い出したというジェスチャーをしてから我輩達に一つ質問を投げる


 「華姫の外に森に翠玉の魔女ってのが居るって噂」

 「森の魔女?なんですそれ?」

 「聞いた事のない噂だな」

 「どうも最近普通学科の生徒達の間では流行ってるんだ。何年も姿を変えず生きてるとか迷い込んだ者に殺してくれって言うエメラルド色の髪の魔女がいるってな。あとなんか魔術じゃなくて魔法使うとか」

 「その髪色から翠玉の魔女ってことですか?」

 「そういう事らしい」


 エメラルドグリーンの髪、それに魔法使い。武蔵で虎織に似た少女、千景が追いかけていた少女と容姿と魔法使いってのは合致するけど多分違う。何となくそう思った


 「不老不死に飽きた魔女ではないのか?」


 桜花さんの考察は最もらしく現実的だった。生きるのに飽きたから殺してくれっていうのならなんだか納得できる


 「存在するんですかね不老不死なんて」


 大和先生は不老不死に疑問を持ってるらしい。実際不老不死って存在するのか聞かれると言葉を濁さずには居られない。自称不死とは戦ったことがあるが結局は不死ではなく死ににくい様に細工された化け物というだけだったし不老不死の存在を否定できる要素も無い。

 神様も上に行くにつれて不老不死ではあるしな。確か信仰だなんだのが薄くなると殺せる様になるとか、あと月奈が持ってる神殺しの槍でも殺せる。となると不死の定義が揺らぐわけで・・・


 「頭フル回転させるな。変に頭使うと知恵熱でダウンするぞ」

 「でも気になる議題じゃないですか?」

 「儂はどうでもいい。不死でもなんでも殺す手段はあるだろう」

 「物騒な事言いますね・・・」


 そんなこんなで話していると食堂に着いた。厨房には今回も久那さんが居た。まぁ料理とか好きだもんなぁと思いながらおすすめメニューを頼んだら豚のしょうが焼き定食が出てきた。焼き魚とかかなと思っていたので少々びっくりした。

 これ食べ終わったら桜花さんと大和先生にあの光景話さないとなのか・・・なんて悩みはご飯を一口食べた辺りで薄れてしまう。うまっ・・・

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