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華姫奇譚  作者: 葛籠屋 九十九
第5章 国無シ島編

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第11幕 変わらぬもの

 「疲れた・・・」


 地下鉄や路面電車を乗り継ぎやっと華姫へと戻ってきた。

 日照様に着せ替え人形にされながら給仕するのしんどすぎるだろ・・・執事服のサイズもちょっと大きいし・・・もう今日は酒でも飲まないとやってられない気分だ


 「お疲れ様。姿は華姫に戻ってきてもそのままなんだね」


 虎織が労いの言葉をくれる。そして虎織の言う通りまだ男の姿には戻れていない。いつもの身体のバランスじゃないから尚更疲れる・・・と言いたいところだけどこの身体は慣れたらいつもよりバランスいいだろなぁ。なんか背骨とかちゃんとしてる気がするし。いつもの身体はどうも猫背気味だったり骨に変な癖ついちまってるしで一般生活するだけだとどうもな


 「ありがとう。今日はどうも酒が飲みたい気分だから一緒にBAR行ってくれるか?」

 「うん!喜んで!今日は何飲もっかなー。あっ、お店は孔雀院さんの所でいい?カクテルとか色々あるし!」

 「そうだな。そこがいいかもしれないな・・・」


 家で飲んでもいいんだけど家だと飲みすぎそうで明日に引っ張っちゃいそうだし。晴臣さんの店なら来ても桜花さんか禍築、蓮、それと大和先生くらいだろうしな。

 そこら辺なら別に身内ネタになるくらいで済むし被害は少ない。一番見られたくないのは月奈と柚さんのツートップかぁ・・・どっちも方向性は違うけどめんどくさいのに変わりは無い。あーあと結城と九重にも見られたくないな。仮にも後輩だし・・・


 「大丈夫、将鷹は将鷹だしいつも通りにしてれば大丈夫だって」

 「そうかなぁ・・・」

 「そうそう。どっちにしたってお酒飲んで面倒事どうでもいいやってなるしさ!」

 「それもそうだな。よし、今日は飲むぞ!」

 「私も久しぶりに思いっきり飲むぞー」


 こうして我輩達はバー、ベッロパヴォーネに足を運ぶ。今日は少し魚塩町が騒がしい気がしたが今日はこんな身体だし夜は百合コンビとかヴァンさん達が巡回してたりするから問題ないか。でもまぁ一応メールだけ打っとこ


 「晴臣さん、二人ー」

 「いつもの席空いてるわよ」


 ド派手なドレスの晴臣さんがこちらにちらっと視線を向けて虎織と一緒ということでこの姿でも我輩と判断したのだろう


 「すごいね。将鷹の事一瞬でわかるなんて」

 「だな。まぁ虎織と我輩がセットみたいなとこあるしそれで判断したのかもな。あと服装とか」


 よく考えればいつもの羽織を肩にかけてるからバレるか、そう思ったけど視線向けたの一瞬だったよな・・・

 そんな事を考えながらいつものバーカウンターの席へと向かう最中、いつも座っている席の横に桜花さんに禍築が座って居た。まぁ、二人なら問題ないな。そして席に近づくと虎織が二人に気付いたらしい


 「あれ?桜花さんに禍築君?珍し、くはないか」

 「お?虎織一人か・・・?いや、まさか?」

 「将鷹です」

 「風咲先輩!?」


 異様に驚いた声と共に禍築と桜花さんに隠れるような形で横に座っていた結城が顔を出す。めんどくせぇのがいるなぁ・・・


 「なんだよ。我輩で悪いかよ」


 少々不機嫌気味に言ってしまった


 「い、いえ。その」

 「なんだー?女になった風咲先輩に見蕩れてんのかー?でも確かに可愛いな・・・風咲先輩じゃなきゃ口説いてた」


 禍築が結城にめんどくさい絡み方をしているのを横目に我輩と虎織は席につき注文のため声をあげる


 「スコッチコリンズとおつまみおすすめ盛り合わせお願いします」

 「私はコープスリバイバーのナンバー2でオレンジリキュールを普通のオレンジジュースで!」

 「はーい。二人がお酒飲むなんて珍しいわね、相談ならアタシ、乗ってあげられるわよ」

 「ありがとうございます。まぁ見ての通りの状態なんでね。酒飲んで忘れようって魂胆です」

 「あらーやっぱり見間違えじゃないのねそれ」

 「えぇ、まぁ」

 「ま、何をどうしようと本質は変わらないわ。見た目や性別なんてあんまり気にしない事ね。でも美しさは大事ね」

 「ごもっとも」


 シェイカーを振りながら晴臣さんはなんだか深いことを言う。多分今作ってるのは桜花さんのいつものだろう


 「将鷹、その姿はどうしたんだ?」


 桜花さんがお冷を飲みながら我輩に問う。真面目そうな声音ではあるが顔は少し笑っている。多分大体検討ついてるなこの人


 「日照様の借りの精算、じゃなかったコレは我輩と日照様の契約の代価ですね。それで一日これですよ」

 「神とはなんとも奇っ怪なことをするものだな」

 「えぇ、特に日照様は。全く、我輩の性別変化なんて面白く無いだろうに」

 「多分反応は面白いから普通に楽しいだろうな」

 「なっ・・・!」

 「そういう所だぞ。まぁ特に気にせずいつも通りと行こうではないか」

 「まぁ、そうですね・・・」

 「やーでもマジで見た目だけは可愛いっすね風咲先輩」

 「禍築、褒めてんのか?貶してんのか?」

 「褒めてるんすよ。ほら、結城もちらちら風咲先輩の方見てますし」

 「はぁ!見てねぇし!」

 「バーで騒ぐなっての。この話はここで終わり、OK?」

 「うっす」

 「はい、いつものよ」


 会話終わりを見て晴臣さんが桜花さんがいつも頼むジェントルマンズショコラをグラスに注ぎ持ってきた


 「ありがとう。ふむ、変わらずよい腕だな」


 受け取り一口飲んだ桜花さんは満足気だった。まぁ美味しいしなあのカクテル


 「そういえば結城君、君はこれからどうするの?」


 虎織がふと思いついたというように結城に質問を投げる


 「どうするって?」

 「いつまでも対策課で寝泊まりされるのは私達的に困ったりするんだよねぇ・・・家に戻るか独り立ちするかの二択だと思うけど」

 「・・・それは。もう少し考えさせてください」

 「わかった。うん、きっちり考える時間も必要だからね」

 「はい。あと風咲先輩にお願いがあって」

 「家に泊めろとかは無しだぞ。ただでさえ居候が居るのに」

 「俺に稽古をつけてください」


 結城の口から出た言葉は衝撃だった。つい先日までのコイツとはうってかわって別人だ。何がコイツにそうさせたのかは解らないが、いや、久那さんか・・・まぁなんにせよ強くなりたいと願うのなら色々教えるのが先達の務めだろう。我輩は静かにあぁ。とだけ頷いた

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