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華姫奇譚  作者: 葛籠屋 九十九
第5章 国無シ島編

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第6幕 結城 和

 「はぁ?ご子息が出ていって行方不明?こちらには来ておりませんよ」


 結城の両親が黒影対策課へとやってきて「和はどこだ、お前たちがどこかへ連れ去ったんだろう」とのたまっている。非常に面倒だ。こいつらに構ってやる義理も無いしさっさとお引き取り願いたいものだがそう簡単には引き下がってくれるようなヤツらでもないだろう。だからといって相手する気も無い


 「こちらも常に暇って訳じゃないんです、用件が済んだらさっさと出てってください、貴方達がいると開けない資料もあるんですよ。そこの薬師寺を見てください、イライラしてるでしょ?極秘資料とか開かないと進まない仕事してるんですよ。噛みつかないうちに早くおかえりください」

 「将鷹てめぇ俺を犬みてぇに言うんじゃねぇよ」

 「ほら、さっさと帰ってください。噛みつかれますよ」

 「そうやって息子が怪我した件を隠蔽するのだろう!久野宮氏の時のように!」

 「あぁ・・・?」


 思わず睨みつけてしまった。それに萎縮してくれたのはいいがこれ向こうの意見が正しいみたいになってないか?


 「久野宮の件はきっちりかっちり全部洗いざらい訃報(ふほう)として出しただろうが」


 蓮がキレ気味に机をトントンと指で叩きながらそういったが結城の父親はどうやら頑固らしい


 「あんなもの信じるわけが無いだろう!久野宮氏は高潔かつ実力のある人だった。それが先代鬼姫の亡霊と対峙して両名死亡だと?巫山戯るのも大概にしろ!明らかにおかしいだろう!」

 「事実なんだがなぁ」

 「お前が、お前らが殺したんだろう!?華姫の英雄たる彼が邪魔で「それ以上はマジで殺すぞ」


 蓮は机の上にある資料を踏みつけながら机の上を走り白衣のポケットから紫色の自らが毒だと主張している見た目の試験管を出して結城の父親の口に突っ込む


 「好き勝手言うのは別にいいがこっちにも面子があんだわ。そんでなぁ、その言葉はなぁ死んだ爺さんへの侮辱なんだわ」

 「な、なんだと」

 「あの件の報告書六人分全部読ませてやろうか・・・?お前はさっきの失言で首括りたくなるぞ?」

 「蓮、極秘資料。開示した場合減給か退職だぞ。そんなのの為にお前の給料減らす必要ねぇっての。あとそれ物騒だからしまえ」

 「チッ」

 「ほら、噛みつかれた。これ以上は命の保証出来ないんで帰ってください。それに息子さんを探すのが貴方の目的であり我輩達に文句をを言いに来た訳じゃないでしょう?」


 そう言ってなだめてやると結城の父親は対策課を出ていった。市役所内からさっさと出ていって欲しいんだがな


 「悪いな、蓮」

 「気にすんな。俺は俺がムカついたからやっただけだ」

 「そっかそっか。ならこの資料作り直しててくれ。蓮が踏んでぐちゃぐちゃにした我輩の作ったチラシ」


 せっかく華姫祭のチラシのデモ考えて作ったんだけどな。まぁデータ自体は我輩のパソコンに入ってるがな!


 「それとこれとは話が別だろうが!?あとそのチラシデータバックアップあんだろうがよぉ!」

 「バレたか。じゃ、パソコンから十部程印刷よろよろー。我輩は市長室に用があるから」

 「まぁそれくらいならしてやるけど」


 蓮に印刷を頼み我輩は市長室の扉を3回ノックして入る。そこには回転式の椅子に乗ってくるくる回って遊んでいる琴葉ちゃんとさっき居ないと言っていた結城がソファに座って反省文を書いていた


 「お前の親父面倒くさいな!」

 「手間かけさせました・・・」

 「別に口調とか前のままでも気にしないんだけどなぁ」

 「いえ、自分がいかに甘やかされて育ったか理解(わか)らされたんで」

 「ふーん」


 琴葉ちゃんに近づき結城には聞こえない程の声で結城に何かしたのかと聞いてみたが


 「なんにもしてないわよ・・・不気味で怖くてこっちが困ってるところなのよ。家にも帰りたくないって言うし両親にここにいるのをバラさないで欲しいとか言ってるしで訳わかんないわよ」


 琴葉ちゃんがこういう反応って事は・・・久那さんだろうか・・・?電話で聞いてみるか・・・市長室入ったはいいがこうもすぐに出るのもなんだかなぁ・・・


 「ちょっと電話かけてくる」

 「ここですればいいじゃない」

 「いやぁ、でも」

 「なに?テレクラ?それとも愛人?」

 「虎織という選択肢がないのがおかしいだろ!?あと今仕事中だしそもそもそういうのじゃないから!」

 「ならここで掛けても問題ないわよね」


 圧、なんか圧が凄い。何?なんで?よくわからん・・・!


 「まぁいいんだけどさ」


 スマホのロックを解除して電話帳から久那さんの名前を探しタップする。プルルルとコールが鳴った瞬間久那さんの声がスマホから響く


 「どうされましたか?」

 「あーいや、ちょっと聞きたいことがあって」

 「なんですか?」

 「昨日結城預けたじゃないですかぁ・・・それでほぼ完全回復してる訳じゃないですか・・・」

 「はい、ほぼ治しておきましたよ?」

 「その、性格まで矯正されてて・・・何したんですか?」

 「彼今近くにいますか?居るなら通話をスピーカーにしてください」

 「はい」


 スマホの通話モードをスピーカーにすると久那さんが喋り始める


 「小僧、諸先輩方に対する礼儀はきっちりしているようだな」


 神様ボイスだ!なんか二重というかノイズのかかった様ないかにもな神様ボイスだ!神様だろうと関係性変わらない的なこと言ったからか気にせず神様を前面に出してる!!


 「は、はい!抜かりなく!!」


 反省文を書いていた結城は背筋をピンと伸ばして姿勢を正しハキハキと答える


 「よし、励むが良い」

 「はい!」

 「将鷹さん、もう大丈夫ですよ」

 「あっ、はい」

 「そんなに引かなくていいじゃないですか。私たちの仲ですし」

 「それはそうですけどねぇ・・・こうなんて言うか十何年来の友達の知らない一面見るとびっくりするじゃないですか・・・」

 「ふむ。確かに」

 「納得してもらえて良かった。それでですね、あの件。儀式の方受けさせて貰います」

 「ははっ、将鷹君ならそう言ってくれると信じていましたよ」

 「その君付けはもうやめてください。もう子供じゃないんですから」

 「私からしたら小童同然ですよ」


 そりゃそうだけどね・・・


 「でも受けてくれてありがとうございます。一週間後くらいには予定が仕上がりますからその時まで楽しんでいてください」

 「はい、それじゃあ」


 スマホの通話終了ボタンを押して話を切り上げる。一週間かぁ長いような短い様な・・・でもやることは変わらないしな。全力でぶつかるだけだ

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