表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
華姫奇譚  作者: 葛籠屋 九十九
第4章 異端狩り編
284/361

後日談 帰郷

 「ひっさしぶりの華姫だぁぁぁ!」


 艦から降り我輩は思わず叫ぶ。約5日ぶりの華姫の地、少々故郷が恋しかったというやつだ。なんせ生まれてこの方華姫を3日以上は離れた事などなかったし桜花さん達が居るから大丈夫だろうけど何かあったりしてないよな?という不安もあった。まぁそんな不安は少し歩いて華姫の街並みを見たら消し飛んだんだけど


 「おぉ!風咲の旦那!帰ってきたか!」

 「土産あるか!?」

 「武蔵どうだった?」

 「鬼姫様もご健在で何よりです」

 「虎織ちゃん、これもって行きな!」

 「これおやっさんに持ってってくれ」


 商店街に入るとみんながわらわらとこちらに押し寄せて来る。土産買い忘れたなんて言えないな・・・

 まぁお仕事でしたし!?仕方ないよね!

 そんなこんなで商店街のみんなで少し話てから神社に寄って久那さんから風切を受け取り帰路につく


 「なぁ、将鷹」

 「なんだ近衛?ん?近衛!?なんでお前華姫に!!あのまま旅すると思ってたんだが」


 艦から降りる時はてっきりそのまま残るのかと思っていたがどうやら降りていたようだ


 「ンだよ。気付いてねェとか注意力散漫なんじゃねェのか?」

 「うっせぇ、我輩は久しぶりの華姫に浮かれてんの。で、なんだよ」

 「しばらく泊めてくんね?」

 「お前華姫に居た時の家は」


 前咲弥ちゃんが良くなるまで貸りてた一戸建てがあっただろうに・・・しかも値段的にはかなり優良物件なやつ


 「ンなもん旅に出る時解約したに決まってんだろ。住んでねェ家に家賃払うとか御免だぜ」

 「琴葉ちゃんに相談しろよそこら辺は・・・まぁいいや。部屋は前使ってた所でいいな?てか家具はどうした!?」

 「サンキュー。家具は元々付いてたから俺の方で買ったのって言ったらこの炊飯器と料理道具一式くらいだ」


 そう言って近衛は鞄から鍋やら包丁を取り出す。コイツ・・・なんでそんなコンパクトに仕舞えるんだよ。あとしれっと炊飯器も持ち歩いてやがる!!


 「それで職質された時困りました」

 「だろうね!」

 「それはだいたい近衛が刀差して街中歩いてたからじゃない?」

 「料理人なのか剣客なのかわっかんねぇもんな・・・」

 「剣客だろどう考えても!!」


 咲弥ちゃんや彌守ちゃんの言う事がごもっとも過ぎる・・・!近衛は不服そうだけどどう考えても剣客というか旅芸人とかでは・・・?


 「将鷹、テメェは職質とかされたことねェのかよ」

 「する側だからな」

 「そうだったな・・・」

 「私なら確実に剣薙みたいな目付き悪いヤツがいたら何も無くても職質しちゃうわね」

 「綺姫テメェ!?」

 「俺も絶対職質するわ」

 「薬師寺まで!!」

 「同じくー」

 「そんなに不審者だってのかよ!?」

 「そうだな!」


 満場一致で近衛は職質される状態だな。刀持ってる程度じゃ日ノ元では職質されないがどうしても目付きと纏う雰囲気がなぁ・・・人斬りの気質というかそういうのがあると最初感じたし。それに


 「何より少女を連れてるのが不味い!」

 「すっげェ真っ当な理由言うじゃねェか!!」

 「てかどうやって誤魔化してんだよ」

 「シンプルに姪っ子だって言ってるが?」

 「無難だなぁ」


 そりゃ誘拐してきましたなんて言えないもんな。そんななんでもない会話をしていると


 「そんじゃ、俺こっちだから。またな」

 「おう、おつかれ!またなー」


 蓮の背中を見送りまた歩き出す


 「本当仲良いわね」

 「蓮とは気が合う同い年だからな」

 「そうねぇ。だからそういう本もいっぱい出る訳だし」

 「それ冗談じゃないのが怖いな・・・」


 マジでナマモノは扱い注意だろうがと思いながらも風咲邸の竹林へと足を踏み入れる。いつもの竹林、誰かが荒らした訳でも無く手入れされている訳でもない竹が生い茂る石畳の一本道。それを抜けると爺様から受け継いだ風咲邸が姿を現す


 「やっと帰ってきたー。とりあえず風呂入って寝る!」

 「将鷹まだお昼付近だよ、夜眠れなくなっちゃうよ?」

 「自宅で眠気に身を任せるのが至福なの。それになんだかんだきっちり寝たのなんて・・・」


 結構ガッツリ寝てるな。気にしちゃいけない。眠気に任せて寝よう!風呂入って目が覚めたらそれはそれでよしとしてだ


 「お風呂で溺れちゃダメよ」

 「近衛ー!一緒にお風呂入ろうよ!さっきーの家のお風呂おっきいし!」

 「彌守ちゃんは私と入りましょうねー?にぃ様、ダメですからね?犯罪ですからね?イエスロリータ、ノータッチです」

 「なんで手ェだす前提なんだよ!?」

 「それは・・・にぃ様は妹の唇を奪おうとしたインモラルな兄ですので・・・」

 「あれは雪城が!」

 「なんの事かなぁ?私は提案しただけで実行したのは剣薙君だよ?」

 「将鷹!お前の嫁酷くないか!?」

 「そこがいいんだろ」

 「惚気けやがって!クソが!!」

 「お兄ちゃん、ウチらと一緒に入る?」

 「色々ダメだろ!?琴葉ちゃんとか特に!」

 「えっ?私達お風呂くらい一緒に入ったじゃない」

 「そうだったなぁ!ドッキリではめられた時に居たわ!!」

 「まぁ一緒に入りたいなら入ってあげなくもないわよ?」

 「全力で遠慮させていただきます!!」


 こんなどうでもいい話で楽しく笑い合える日々、これが掛け替えのない日々だな。そんな事を考えながら戸を開け誰も居ない家に我輩の声が響く


 「ただいま!」


 ここが我輩の帰るべき場所、みんなが居るこの平和な日常が我輩の護りたい世界だ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ