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華姫奇譚  作者: 葛籠屋 九十九
第4章 異端狩り編
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第45幕 お話その2

 「まさかライブの日にお前らが武蔵に来てるなんてな」


 近衛が珍しい物を見る目で我輩達を見る。偶然とは言えこういうこうして華姫の外で誰かと鉢合わせるなんて基本ないしな


 「我輩も驚きだよ。ってかさぁマキカルのライブにそこの二人連れてくとか大丈夫かよ・・・?彌守ちゃんとか悪影響過ぎないか?」


 歌詞とか過激だし。ロック過ぎやしないか?まぁそもそもそっち側の知識ないと意味わかんないからかっこいい音楽として捉えられるのか・・・?


 「ンだよ。大丈夫だろ。なぁ」


 近衛はブラック珈琲を飲んでいる蓮の方に目をやり同意を促す


 「あぁ、どっか外の奴らがヘビメタは脳にいい影響を与えて健康になるとかどうのとかいう論文出してやがったぞ」

 「そこじゃなくてさぁ!」


 確かにロックは健康にいいけども!問題は歌詞だよ歌詞!


 「彌守には確かに早い歌詞があるのは確かだが一昔のポップスも変わんねェだろうが」

 「それ言われると言い返せないなぁ・・・」


 マジで言い返せない。結局直接的な単語か間接的な状況の描写かの違いでしかない


 「それに咲弥も立派な成人だぜ?まぁメンタルは少し幼いがな」

 「えっ?マジ?アリサと同い年ぐらいだと思ってたんだけど!?」


 初耳!今までの言動に引っ張られて学生だと思ってたけど


 「23で大学も出て社会人経験もアリだ」

 「ってことはお前、我輩より歳上ぇ!?」


 これまた衝撃的な事実だ。なにも考えずタメ口で話してたんだけどめっちゃ失礼じゃん!


 「そういうことになるな。だからって言葉遣いを今更改める必要はねェぞ。俺とお前は対等だしな」

 「うわぁ、ちょっと失礼な事言いすぎたわ。なんか奢る」


 せめてもの詫びというかなんというかそういう気持ちで我輩は言葉を紡ぐ


 「なら辛いモン食いに行こうぜ。なぁ薬師寺」

 「俺が辛いの苦手なの知ってんだろぉ!?嫌だよ!なにが良くてあんなやべぇもん食うんだよ!俺はパフェとかアイスのがいいんだが!?」

 「ンだよツレねェな。将鷹、お前はもちろん来るよな?」

 「ま、奢るって言った手前行くさ。でもそんなやべぇとこに連れてくなよ?」

 「わーってるって。なら薬師寺は彌守と咲弥連れて甘いモンでも食っててくれ」

 「辛いモンしか置いてない場所行く気か!?」


 あわよくばあんまり辛くないの頼もうとおもってたんだけど


 「本格中華だが?」


 高そうだな!財布の中身大丈夫か・・・?ちょっと口座から出した方がいいかもしれないな・・・


 「なら俺ら全員行ってもいいだろうが」

 「まぁ・・・そうだな」


 蓮の提案に近衛は苦い顔をする。我輩達にだけなんか話があるのか?


 「なんだなんだ?男だけでメシ食いたかったのか?」


 そんな近衛を見て蓮は笑いながら煽る


 「ンなワケねェだろ。辛いの食ってるとコイツら食えねェのに一口くれってうるせェんだよ」

 「だって私でも食べれるかもしんないじゃん!それに近衛美味しそうに食べてるし!」

 「にぃ様に食べられて私に食べられないはずがありません・・・なのに・・・!」

 「なるほどな。そりゃあそうなるわなぁ。ってことで昼飯は我輩と近衛だけで行くわ!」


 一応話があるという体で動いた方がいい、そう思ったから我輩は軽めにそう言い放つ


 「えぇー!さっきーずるい!!」

 「そうです!私達も!」

 「美味しい包み焼きハンバーグと口が痛くなる飯どっちがいい?」


 蓮が我輩の意図を汲み取ってなのか駄々をこてる二人を静かにさせる二択を提示する


 「ハンバーグ!!」

 「・・・ハンバーグでお願いします」

 「じゃ、蓮頼んだぞ。まぁ虎織達も一緒だろうから面倒は見てくれるだろうけど」

 「なんだ?雪城の方は連れて来ねェのか?てっきりお前の事だから連れてくるかと思ってたが」


 意外そうに我輩を見る近衛。虎織は辛い物好きではあるが限度がある。近衛の作る麻婆豆腐とか死ぬほど辛いって言ってたし


 「そこは虎織次第だな。年がら年中一緒に居るって訳じゃ・・・」


 いや、よく考えたら人生の七割くらい一緒に居ないか?仕事も基本一緒だし


 「そこで止まんなよ!?というかお前ら二人は年がら年中一緒だろうが!?一緒じゃないのはトイレか風呂か寝る時かお前らの散歩の時だけだろ!?」

 「・・・そうだな!!」


 蓮のツッコミには肯定する他なかった


 「バカップルかよ・・・」


 呆れた様の近衛は気にせず虎織に電話をかける。待機音の後数秒して虎織の声が聞こえる


 「どうしたのー?」

 「お昼に激辛中華食べに行こうって近衛と話したんだが虎織はどうする?」

 「んー、ご一緒しようかなー?」

 「了解、そう伝えておく」

 「はーい。それじゃ、後でねー」


 通話を切ってから周りを見るとみんながニヤニヤしている。なんでぇ!?


 「なんでみんなそんなニヤニヤしてんだよ!?怖いぞ!?」

 「いやーさっきー幸せそうだなぁって思って」

 「そうだな。電話してる時の顔嬉しそうだったし」

 「そんなにか!?」


 完全無意識だった。もしかして虎織と話してる時はずっとこうなのか!?

 いや、さすがにそれは無いだろ!!多分・・・


 「と、とりあえずみんな用意して遊び行くぞ!」


 誤魔化すために適当な理由をつけて病室を飛び出す。荷物病室じゃん・・・!いいやもう、とりあえず自販機で珈琲!

 すぐ近くにある自販機で珈琲を買い一息つく。自然とため息が出てくるが気にしないでおく。まさか電話するだけでニヤニヤしてるなんてなぁ。自分ではそんなにニヤけてる感じはしないんだけど


 「まぁ、いっか。好きな人と話してる時だけだろうしな」


 開き直って病室に戻ると我輩の荷物だけがそこに居る状態だった。まぁ荷物って言っても羽織と刀なんだが。羽織を着て病室を後にし屋上へと向かう。そこにみんなが集まっている


 「来た来た!それじゃあ武蔵の街へ遊びに行きましょ!」


 琴葉ちゃんのその言葉に我輩達はおー!と声をあげて武蔵の街の探索へと繰り出すのだった

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