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華姫奇譚  作者: 葛籠屋 九十九
第4章 異端狩り編

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第38幕 賭け

 一人ずつ各個撃破が望ましいんだけどあんまり戦力の分散はさせたくない、けど乱戦も避けたい。どうにかなんないもんかねぇ・・・


 「一人はお姉さんが引き受けるからみんなは甲冑の方を頼める?」

 「了解です。虎織、アリサ、ここであの甲冑倒すぞ」

 「私も居るんだけど?」

 「琴葉ちゃんは護身集中で。って言いたいけど力は借りたいな」

 「ふふっ、頼って貰えるのは嬉しいものね」

 「じゃあ各々健闘を!」


 我輩の言葉と共にみんな走る足を止めてからくるりと反対を向き標的へと狙いを定める。我輩は七罪甲冑目掛け走りその最中に袖から白虎を引き抜き蜻蛉の構えで刀を握り挨拶がわりの一撃を加え、確かな手応えと共に打撃音の様なゴッっという音が響く。一撃は当たりはしたが篭手に阻まれ全く効いていない様に見てる


 「刀でも落としてくれればいいんだけどな!」


 そう呟いた次の瞬間、甲冑の持つ錆びた刀の鍔付近で火花が散り刀を持つ腕を跳ねさせる


 「その腕貰うよ!」


 その声と共に虎織が我輩の横に並び立つ形で甲冑の腕の関節へと刃を振るう。我輩の一撃からほぼノータイムでの一連の動き、腕の一本でも落とせればよかったのだが虎織の刃は腕を落とすことなく弾かれる


 「硬った!?布地じゃないの!?」


 それを見て我輩と虎織は後ろへと跳び退く。中に鎖帷子でも着てるのだろうか?でも虎織なら鎖帷子くらい難なく叩き斬るだろう。それならあの篭手自体かなり硬いという訳だ。さてはて何処から攻めるべきだろうか?いやそもそも我輩は近接戦する必要は無いんだった


 「シイロ、出番だ!」


 背負ったガンケースからHK-416、シイロを取り出した所で甲冑が大きく刀を振り上げ襲って来る。刀を一度手放しガンケースを掴み刀を振り払う。果たしてこいつの耐久力は持つのか怪しいがあの刀の衝撃はしばらくしてからやってくる。そこまではどうなるか解らない。ガンケースを地面へ投げ捨てシイロの引き金を引く。流線型の胴を貫けず火花だけが飛ぶ。シイロでも胴体は火力不足かよ・・・


 「アリサは銃弾で相手の攻撃の牽制!将鷹は具足狙って!その具足が魔力の循環をさせてるみたい!虎織は決め手を頼むわ!」


 琴葉ちゃんが我輩達に指示を飛ばす。鬼の力か元々あった能力か解らないがどうやら魔力の流れが見えているみたいだ


 「「「了解!!」」」

 「使えるもん全部つかってフル回転で行くぞ!」


 シイロのマガジンを外し新しい物へと変えレバーを引く。ガチャンと心地良い金属音に耳を傾けて袖から白鎖を出して白虎に絡める。

 狙うは具足、シイロのモードをフルオートに変えてから引き金を引く。発破音と火薬の匂い、そして無茶苦茶な弾道、だが弾は1箇所へと収束していく。魔術式で弾道を好きに弄れる弾、きっちりと起動実験しておいて良かった。癖を掴めたらこういう芸当もできる。肝心の具足はまだヒビが入る程度でまだ一押しが足りない


 「白鎖!アリサ!」

 「任せて!」


 白鎖の絡まった白虎を投げ具足のヒビへと突き刺す。そこにアリサの放つゴム弾が白虎の柄へと当たり刀身が深くくい込み具足が割れる


 「今よ虎織!全力で叩き斬って!」

 「おぉぉぉぉ!」


 虎織の気迫がこもった声と共に八相構えで走る。鉄のぶつかる音とともに甲冑の足元にあるガンケースが甲冑へと吹き飛び不意を突かれた甲冑は体勢を崩す


 「貰ったぁぁぁ!」


 虎織が刃を振り下ろす。だがその刃は何故か甲冑を砕く事も無く弾かれる


 「なんで・・・」


 驚愕する虎織とは対照的に甲冑はムクリと起き上がり刃を振るおうとする。今の我輩の脚の速さじゃ助けられない・・・

 一か八か、かける他ない。決断は一瞬だった


 「多元式アザーズ起動!!」


 なんでもいい、この状況から虎織を助け出す力をくれ。何もない空間に白い本が浮かびページが勢いよく進んでいく。それに手を伸ばしページをむしり取る。

 業火、神速、無居。そう書かれた3つのページの欠片の神速を掴み取り握りつぶす。

 頭に魔術式、戦闘法、経験、記憶の欠片、あらゆる情報が濁流の如く流れ込み意識を持っていかれそうになる。

 脳の処理が追いつかないのか鼻から血が垂れ、頭が熱くなる


 「こんな所で止まってられっかよ!」


 気合いで情報を塞き止め、断片的な情報だけで魔術式を構成して何も考えずに走りだす。

 魔術式起動に必要な言葉を叫ぶ


 「イグニッション!」


 視界が揺れる。一歩で周囲のものを切り裂くかまいたちが起きる程の速度、無論我輩の身体も例外じゃない。でも虎織を護れるなら傷なんてどうてっことない。視界すらあやふやな中甲冑を蹴り飛ばし近くの壁へめり込ませる


 「虎織、大丈夫か?」

 「大丈夫だけど将鷹がボロボロだよ・・・」

 「このくらいどうってことないって」


 ちょっと傷口がジンジンするけどなと付け加え甲冑の方へと眼を向ける。横っ腹に蹴りを入れた時奥へとめり込み胴が割れた気がしたけどどうだろうか?

 土煙から起き上がる甲冑の胴には確かにヒビが入って砕けていた。しかし具足は傷一つなく修復され、胴も修復が始まっていた。

 どうやらアザーズで獲得した魔術式で倒すのが最適解らしい。我ながら土壇場でいい引きをしたものだ


 「虎織、我輩に風避けとか使えるか?」

 「うん」

 「じゃあよろしく」


 虎織がこくりと頷き、魔術式を起動する。これでかまいたち現象で自分にダメージが入らない、あとはスピード勝負だ

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