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華姫奇譚  作者: 葛籠屋 九十九
第4章 異端狩り編
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第37幕 火野姫

 「あら、無事たどり着いたようね」


 天塔の近くの事務所へと足を踏み入れると長い黒髪に真っ赤で派手な着物を着た女性、火野姫ともう1人見慣れない黒髪の内側を赤くした赤目の女が居た。

 周りを見渡したが火野姫の付き人の最上さんの姿が見えない。こういう場合は素直に聞いた方がいい


 「最上さんは?」

 「あぁ、アイツ?なんかマキシ・・・なんだったかしら・・・まぁライブに行っているわ。もし呼び出したら機嫌クソ悪くなるのよ」

 「あぁ・・・なるほど・・・」


 多分ヘビメタバンド、マキシマムザカルビの事だろう。最上さんあのバンド好きだっけ・・・あの人は好きなジャンル幅広いしまぁおかしくはないか


 「そういう訳で運悪く武蔵に来ていた私、アリス・ネクロバレットが警護していたのさ。相手との話はもう済んだ事だし私はもう帰っていいかい?これでも忙しい身でね。土佐まで帰るのにも一苦労だし何よりそこに面白そうなモルモットが居る。君、その後ろのハレンチ娘連れて帰ってもいいかい?見たところ君に着いてきただけの浮遊霊らしい」


 ネクロバレットはそう言って我輩の後ろを指差す。えっ?なんか憑いてるの!?というかハレンチ娘ってどういうこと!?


 「なんか憑いて来てるんですか!?」

 「君見えない人か、居るとも。君が殺した女の子がね。スプリットタンに裸革ジャン、臍にピアス。覚えがあるだろう?ん?なになに、なるほど正確には君の中に居る人間か」


 ゾワッとした。底知れない恐怖、見透かされている?というより霊が見えてその声が聞こえるとでも言う口振りだ


 「安心したまえよ。この霊は君のことはそんなに恨んでないらしい。殺るか殺られるかの命のやり取りで負けただけと言っているよ。ふむ、未成年だろうによく世を理解した考え方だ」

 「だとしても我輩が殺したのは変わりないでしょ」

 「どうでもいいねぇそんなことは。私には死んでいても生きていても大差ないからね。霊となって人には認識されにくくはなるが大して不便となる事も無い。むしろ肉体という枷から解き放たれたと考えると好き放題できるというものだよ。という訳でこの子は私が連れて帰るよ。おいで」


 有無を言わせずネクロバレットは去っていく。おおよそ我輩が殺した少女を連れて


 「将鷹大丈夫?」

 「大丈夫、問題ない」


 今はそんな事で凹んでいる暇も余裕もない。しっかりしろ将鷹。そう自分を鼓舞して気持ちを誤魔化す


 「それで、相手とは話は済んだって言ってましたけど移動中襲われたの考えると交渉は決裂したってことですよね?」

 「あぁーそれね、相手が無理難題ふっかけて来たからね。なんせ投獄中の教祖、城ヶ崎を出せってんですもの。そもそも私が交渉した所で京獄は城ヶ崎を出さないわ」


 やっぱり城ヶ崎が絡んでたか。捕まってなおめんどくさいなぁ


 「という訳で私ができることはもうないわ。あとは自分達でどうにかするしかないわよ」

 「武蔵にまで来たのにこれじゃ骨折り損だな」

 「まぁ観光に来たとでも考えてちょうだい。もてなしはしてあげるわよ。それと特別に相手の情報もあげちゃうわ。耳の穴かっぽじってよく聞きなさい。あいつらの数はあと四人よ。異端を狩るって大変よねぇ、その4人全員人間辞めてるし・・・自分が狩られるなんて思ってないんでしょうね。滑稽だわぁ」


 嘲笑うように火野姫はそう言う。この人ナチュラルに腹黒いんだよなぁ・・・怖いわ


 「教団のルールみたいなので六人の刺客がどうのってあった気がするけど・・・それなら一応あと一人なんじゃない?」


 虎織がそう言ってそういえばそんなのあったなと思い出す。久那さんが倒した二人、艦で我輩が殺した一人、ここに来てから我輩と虎織で二人だったはずだ


 「そんなあまっちょろいルールなんて今あいつら守ると思う?教祖様を助けるとか宣ってる奴らなんだからそんなの曲解するわよ。アンタ達に残されてるのはアイツら全滅させるか琴葉を殺されるかよ」


 火野姫は嘲笑うかのようにそういう。我輩もその言葉には賛同せざるを得ない。なんせアイツらの教祖様を投獄したのは我輩達華姫の人間だし


 「やるしかないか・・・」

 「流石は鬼姫の懐刀、決めるのが早いわね」

 「からかわないでください。かかる火の粉は払うまでです」

 「じゃあもう一つ、教えてあげる。四人の能力は空想実現、物体創造、変幻自在、そして至上魔術宝物七罪甲冑よ」

 「火野姫はなんでそれを知ってるんですか?」

 「最上に調べさせたのよ。あいつ超有能だから私ができるでしょ?やれって言ったらなんでもやれるのよ。まぁそれでも昨日徹夜で資料まとめてたけど」


 徹夜でヘビメタライブ行くとか最上さんロック過ぎないか!?大丈夫かな・・・ちょっと心配になってきた


 「さて、そろそろお客さんが来る頃かしら。構えなさい。あと戦うなら建物の外でやってちょうだいね」


 我輩達はこくりと頷き我輩は琴葉ちゃんを、虎織がアリサを抱え窓を割り外へと飛び出す。勢いで窓割ったけど怒られないよな・・・

 四人で乱戦するには厄介だし行動しながら何とかするか。今はこの場を離れないと面倒だ


 「将鷹、一人は俺に任せてくれ」

 「わかった」


 蓮の言葉には強い意志があった。この場で一人は食い止めるという強い意志が。追っ手は二人、七罪甲冑はわかるがもう一人フードを被っていてはわからない。・・・あと一人はどうした?

 そんな事考えても仕方ない、来る敵はぶっ倒さないと

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