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華姫奇譚  作者: 葛籠屋 九十九
第4章 異端狩り編
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第36幕 集合

 「虎織置いてきちゃったけど大丈夫なの!?」


 虎織の魔術式の範囲を出て直ぐに琴葉ちゃんがそう我輩に問う


 「あの感じは一人でも大丈夫だとは思うけどな。相手の瞬間移動の原理に見当がついたから先に行けって言ったんだろうし」


 むしろ我輩達が居る方が劣勢になる可能性もあったし今は先を急がないと面倒だ。火野姫の勤務時間内に着かないと絶対文句言われるし、何より頼る側が勤務時間外に訪問するのはどうかと思う


 「そう、なら急ぐわよ」

 「ちょっと待った。敵襲だ」


 蓮がそう言うとドスンと空から鉄の塊が落ちてくる。見覚えのあるその鉄塊、華姫を襲撃してきた機械兵だ。丁寧に前と同じ鉈まで持たせてるしなんかありそうだな


 「ここは俺に任せろ、とか言いたかったがこいつ魔術効かないんだったよな?」


 蓮はカッコつけたかったなと最後に小さく呟く


 「あぁ。報告書ちゃんと読んでるんだな」

 「ったりめぇだろ。華姫に仇なす相手はきっちり把握しておかないとだろ?」

 「そりゃそうだな!よし、じゃあ直ぐに片付けるぞ」

 「おう。グロック貸してくれ」

 「ほらよ。大切に使ってくれよ」

 「こいつ愛称あんのか?」

 「おう、ロックってんだ」

 「そうか、じゃあよろしくなロック!」


 構えた瞬間蓮は即発砲する。その弾丸は綺麗にヘッドショットだったがあいつには意味が無い


 「やっぱちゃんと狙った所に当たるのはいいな」

 「わざと頭狙ったのか」

 「あぁ。どうせ狙うなら頭だろ。んじゃ、心臓部の切り開きよろ」

 「りょーかい!」

 「アリサ、援護と琴葉ちゃんの警護頼むぞー」

 「はーい」


 一歩で距離を詰める。それに反応したのか機械兵が持っている鉈を振り上げる。我輩はそれを気にせず胸部を狙い鞘から白虎を抜くと同時に逆袈裟を叩き込む。

 発破音がすると直ぐに機械兵の手から鉈が落ちる。この威力はアリサのデザートイーグルのゴム弾だな。

 火花を上げながら白虎は装甲を切り裂く。前までなら一苦労だった事も楽になってきた。刃こぼれは怖いけど白虎の強度なら刃こぼれはしないだろうという確信はある。それでも怖いものは怖いけど。心臓部が露出したのを確認し我輩は跳び退きながら叫ぶ


 「今だ蓮!」


 機械兵が止まるのは一瞬だった。声を出して数秒も経たぬ間に沈黙した。そう思った


 「そいつまだ動くわよ!」


 琴葉ちゃんの言葉が響くと同時にまた機械兵は動き出す。さっき心臓部潰したんだが!?まさかとは思うが・・・


 「改良されてんな。エンジンになる部分がまだ残ってるって訳だ」


 蓮の言葉通りなんだろうな。華姫に攻めて来たやつからバージョンアップされてるのは当然と言えば当然か


 「厄介なもん作りやがって・・・」


 そう呟いた時に引っかかった事がある。なんでアルカンスィエルの機械兵がここにある?それに虎織と戦っていた男もアルカンスィエルのやつが使ってた黒影化の薬の発展版を持っていた・・・そうなるとこいつらのトップはまさか・・・


 「ぼーっとするな。考え事は後にしろ」

 「悪い。もう一箇所切り開いてくる」

 「その必要はないよ。うちが撃つけぇ」


 アリサはデザートイーグルを両手で構えてゆっくりと狙いを付け引き金を引く。鉄に何かが反射する音が数回響くと機械兵の動きが完璧に止まり地面へと倒れる


 「まだ何体か居るぞ!」

 「はぁ!?マジかよ!」


 蓮の言う通り近くに数体待ち構えていた。しかも銃持って狙ってやがる・・・厄介だな。アリサと琴葉ちゃんは銃弾から守らないと


 「蓮!周り燃やしてくれ!」

 「わかった!」


 蓮が鉄扇を構え開き、閉じると周りに炎が走り燃え盛る。目隠しと次の一手への布石、我輩が炎を使えれば良かったんだけどな


 「椿流、振袖!」


 腕を振るい風の刃を飛ばす。風は炎を纏って飛んで行く。魔術が効かないのは百も承知、一体でも倒せばいい。踏み出し、琴葉ちゃんを急いで抱え走る


 「アリサの方頼んだ!我輩に続け!」

 「わかった!」


 片手でも十分切り裂ける。三回刀を振れば倒せる。問題ない


 「琴葉ちゃん、頭引っ込めといてくれよ!」

 「え、えぇ・・・」


 踏み込み、横一文字に機械兵を両断する。心臓部に似たユニットを見つけ突きで2つを破壊した。発破音とそれを弾く音、そして鈍い打撃音が響く


 「おまたせ、厄介なのに絡まれてるね!」


 虎徹と鉄板のような大きな刃を構え虎織が機械兵を足蹴にして居た


 「まだ数が居る、気をつけてくれ」

 「おっけぇ!一匹みーつけ、たっ!」


 その言葉と共に虎織は鉄板を投げ機械兵にぶつけて走り、鉄板を掴みそのままの勢いで機械兵を切り裂く。単純だが凶悪な技だなぁ・・・


 「こっちの二体は処理しておいたよ」


 剣さんが凹みに凹んだ鉄パイプで機械兵をボコボコにして機能不全に陥らせていた・・・怖っ・・・

 でも我輩も負けてられないな


 「琴葉ちゃん、トップスピードで走るから口と目、閉じといてくれ」


 コクリと琴葉ちゃんがうなづいたのを見て直ぐに見えている機械兵一機を斬り潰す。そしてまた一機、もう一機と調子よく潰していくといつの間にか手は痺れ、機械兵は全て潰れていた。全力出しすぎたか


 「うっぷ・・・もう少し加減しなさいよ・・・酔ったじゃない、気持ち悪っ・・・」

 「あー・・・ごめん、吐くか?」

 「吐かないわよ・・・少なくとも貴方の前ではね・・・」

 「そうかい。ちなみに立てる?」

 「無理、というかおんぶ・・・抱えられるとお腹押されてて・・・うぷっ・・・」

 「あぁ!?ごめん!」


 琴葉ちゃんを背負い虎織達の方へと合流する。これで散り散りになったメンバーは揃った。改めて武蔵天塔を目指し進み始める

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