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華姫奇譚  作者: 葛籠屋 九十九
第4章 異端狩り編

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第33幕 車内

 「ちと休憩するか・・・」


 戦い終りに歩くのはしんどい。天空塔は遠くとはいえやたらと大きいし目視できるから迷う事はない。

 そろそろみんな着いた頃だろうか・・・?そう思いながらコンビニの袋から食べ損ねたプリンパフェを取り出す。プリンアイスはもう溶けていたが気にせず食べる。ほぼ生クリームだが疲れた身体にこの甘さが染みるというやつだ


 「さてと、行くか」


 禍築から貰ったインカムを耳につけてスマホから音楽を流す。本来ならヘッドホンで聴きたいけど周りの音が聞こえないと面倒だからインカムから音楽を聴くことにした。気分をあげる為に好きな曲を流しながら走りだす。ドラム、琴に尺八、ギター、そして力強いボーカル。和とロックを合わせた旋律は我輩にとって心地よい。大通りに出ると随分と道が混んでるしなんだか騒がしい。何かあったのだろうか?剣さんの車で何か巻き込まれてるとかは勘弁してくれよ・・・?

 ガンケースに手をかけながら歩道を進んでいく。似たような車が多くて剣さんの車が解らない。車に疎いとマジで全部同じに見えるから困るんだよなぁ。数十分程走り続けたから疲れたしちょっと気を緩めて珈琲を飲みながら歩いていると見覚えのある車があった。違ったら恥ずかしいし車内を注視すると虎織とアリサが居るし確定だな。歩いてその車に近づくと窓が開いて助手席から蓮が顔を出す


 「遅かったな。怪我は・・・影朧が治したか」

 「悪い、またせたな。すぐ解るってのはすげぇな」

 「何年お前の主治医やってると思ってやがる」

 「それもそうだな」

 「そんじゃさっさと乗れよ」

 「おう」


 車のドアを開け後部座席に座ると違和感がある。何が違和感なんだ?この雰囲気か?いや、違う。虎織とアリサ、琴葉ちゃんは眠っている・・・起きているのは剣さんと蓮だけ。一体なんだ?


 「落ち着かないか?」


 蓮が我輩の挙動不審さを感じ取ってかそんなことを聞いてくる。なんだかそれすらも不穏に感じてしまう


 「あぁ」


 そう短く答えると蓮は笑いながら言う


 「そりゃそうだよなぁ。いつもなら雪城がおかえりだのおつかれだの言ってくれるもんな」


 ハッとした、だが違う・・・何が何だか解らなくなってきた。落ち着く為に深呼吸をしてから珈琲を飲む


 「車慣れしてないのかい?そんなソワソワして」

 「将鷹はあんまり車乗んねぇもんな」


 剣さんの問に蓮が答え我輩はその間も思考を回す


 「んっ・・・少し寝すぎたかしらなんだか肩が・・・」


 琴葉ちゃんが起きた。そして違和感の正体が琴葉ちゃんだと気づいた。微妙な違いというそういうのではなくガッツリ違和感だった。身長が伸びてる


 「鬼化してる!?」

 「は?あっ、ホントね。なんだか車の天井が眠る前より低くなったと思ったら伸びてるわね。その割には胸がまな板なままね」

 「意識はハッキリと綺姫のモノらしいな」

 「みたいだけど・・・大丈夫か?」

 「えぇ、大丈夫よ。鬼の私とは話し合ったもの。それはそうと身長だけ伸びるのも考えものね」


 そう言って琴葉ちゃんは目を瞑る。すると琴葉ちゃんの身長がいつもの大きさになった


 「やっぱりこれくらいがちょうどいいかしら」

 「えぇ!?」

 「なによ。胸が大っきい方が将鷹の好みかしら」


 いたずらっ子の様に笑うと身長が少し伸びて大人っぽくなる。もしかして変幻自在なのか・・・!?


 「いつもの姿でいいんだけどさ!というか胸は気をつけような!マジで!」

 「ふふっ、そういうところ好きよ。まぁ戦うとなると胸は邪魔だもんね。ちなみに大きくしようと思ったら最大は雪と同じくらいかしらね」

 「そういうのはいいから・・・!」

 「身長の話しよ?」

 「風咲くんは娘のバストサイズを把握済みと・・・」

 「待って!誤解ですからね!?だいたい雪が刀打つ時薄着だから!」

 「へぇー。しっかり観察してるのね」

 「違っ・・・!くないけども・・・!」

 「モテモテだな将鷹は」

 「揶揄うなよ蓮!」

 「まぁおふざけはここまでにして薬師寺、状況報告」


 琴葉ちゃんはひとしきり笑ってから蓮に状況報告を求める。さっき戻って来たばっかりだからこれは助かるな。まぁ特に変わった様子はないけど


 「今んとこ変化無しだがどうもこの渋滞は気になるな。普通はこうはならないはずだけどな」

 「そう、剣さん。ここの道混むことあるのかしら?」

 「お姉さんの知る限り先頭で事故多発しない限りこうはならないかな。明らかにおかしいけど下手に動かない方がいいかもしれないっていうのがお姉さんの見解・・・」


 剣さんはそう言葉を切って少しため息混じりにまた口を開く


 「風咲くんが戻ってきた今、目をつけられてる可能性も有るんだよねぇ」

 「あーそうか・・・我輩が車に入ったから敵に位置がバレてる可能性が有るって事か・・・困ったな」

 「そういう事。まぁバレてない可能性もあるんだけどね。そもそもあぁいうやからってなりふり構わないからここの車全部消し飛ばしたりするかもしれないんだけど」

 「どっちにしてもこのまま動かないと間に合わないかしらね」

 「そうかもしれないね」

 「じゃあ私たちはここで降りて天空塔に向かいます。ここまで乗せていただきありがとうございました」

 「うん。私も車をパーキングに入れたらすぐ向かうから先に向かってて」

 「虎織、アリサ。起きろー歩くぞー」

 「「あと10分・・・」」

 「やっぱあと一時間・・・」


 2人してそのセリフかよ!というか虎織はサラッと時間めっちゃ伸ばしたぞ!?


 「蓮、アリサ抱えてくれ」

 「あいよ」



 虎織を抱えて我輩は車を出る。ここから天空塔目指すのは面倒だな。虎織が起きてたらまだショートカット使えてただろうけどなぁと思いなが我輩達は通りを歩き始めた

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