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華姫奇譚  作者: 葛籠屋 九十九
第4章 異端狩り編
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第29幕 ライオン頭

 「やぁ、みんな来たみたいだね」


 ビル街の外にある平屋に入ると奏さんが居た。ということは雪も・・・?


 「あぁ、雪は居ないよ。あの子は今手が離せないって言ってたからね」

 「そうですか」

 「その代わりにお姉さんが居るってわけ」

 「はっはっはっ、お姉さんとはなんだか似合わないね」

 「あぁん?奏ぇ、愛しの旦那様とはいえ言っていい事と悪いことを弁えてないのか?」


 ギロリと剣さんは奏さんを睨み鉄パイプでカンカンと軽く地面を叩く


 「こらこら、昔のスケバンに戻ってるよ。君はおしとやかな方が似合ってるんだから」

 「そ、そうかな・・・」


 めっちゃデレデレだ!さっきまでの威圧感が一瞬で消え去ったぞ!?なんか怖いな・・・!


 「というわけで君たちが少しでも体力温存して火野姫に会えるように剣がサポートしてくれるよ。剣は武蔵に詳しいからね、楽はできるはずだよ。それともうひとつ・・・」


 奏さんは神妙な面持ちで少し溜めてから言葉を紡ぐ


 「剣が雪に似てるからって手を出しちゃダメだよ?」

 「出さねぇですよ!!あとなんで雪に手を出してる前提なんですかねぇ!?」


 思わず勢いよくツッコミを入れてしまった


 「冗談さ。将鷹君は本当に面白い反応をするね」

 「全く・・・女性関係がだらしない男だと思われてるかと思いましたよ」

 「え、違うのかい?」

 「違います!」


 違う、断じてそんなことないから!きっちりしてるから!友達はなんだかんだ女の子のが多い気がするけど普通の友達だし!というか我輩は虎織一筋だし!


 「そういうことにしておこう。さて、ここから本題なんだけどね、この先の工場地帯に敵が1人隠れてる」

 「なんで分かるんですか?」

 「ドローン映像さ。見るかい?」


 そう言って奏さんはパソコンを取り出しドローンから転送されているであろう映像を我輩達にみせる。そこに映っているのは頭がライオンだがそれ以外にトカゲの様な尻尾が生えている以外普通の人間の形をしたスーツのモノだった


 「ライオン頭・・・それにトカゲの尻尾・・・キマイラかしら?」


 琴葉ちゃんが口を開く。キマイラは確か外の国の神話とかに出てくる化け物だったか。ライオンの頭にヤギの胴体、そしてヘビが尻尾として生えているくらいの知識しかない


 「多分そうだろうね。ここで待ち伏せてるのを叩いた方がいいと僕は思うんだけどどうかな?」

 「ここで倒すのがいいけどそれだと日が高いうちには天空塔には着けないのが難点ってとこですかね」

 「そう、全員このキマイラみたいなのを叩きに行けばそうだろうね」


 奏さんの言いたい事はこの時点でわかった。誰かがこいつの相手をする。というのだろう


 「二手に別れて動くって感じですかね」

 「そう、ただそこのライオン頭を抑えるのは将鷹君、君1人だけで十分だろうね」

 「我輩1人で?」

 「そうだよ。君はオールレンジで戦えるしなによりも今は逃げ時を弁えてるだろう?」

 「死にたくないですからヤバくなったら逃げますけど・・・」

 「そこ、重要なんだよ。他の皆は無理する可能性があるからね。それに虎織ちゃんと将鷹君でライオン頭を抑えるとしたら琴葉様の護衛は少々心許ないからね」

 「納得しました」

 「じゃあ剣、車出してあげてくれるかな」

 「はーい」


 車に乗り込み工場地帯の付近で我輩を降ろし残りのメンバーで天空塔を目指す、そういう風な動きである。しばらく時間はあるだろうし後部座席でゆっくりするとしよう


 「ねぇ」


 虎織が我輩に声をかける


 「はいはい」

 「本当に1人で行くつもり?」

 「うん」

 「そっか。うん。そうだよね、今の将鷹なら何とかできるよね」

 「もしヤバかったら逃げて隠れるさ。そんで隙を見てぶっ倒す」

 「無茶だけはしないで、私を1人にしないでね」

 「あぁ!大丈夫!だから心配しなくていいよ」

 「お熱い事で」

 「そうね。羨ましいものね」

 「まぁお兄ちゃんと虎姉だしねー」


 しばしみんなで雑談していると目的地に着いたようだ。ガンケースを背負い白虎を袴に差してから気合いを入れる


 「それじゃ、行ってくる!」


 我輩がそういうと虎織が車の窓から身を乗り出して顔を近づける。柔らかい感触を頬に感じ我輩は戸惑う


 「行ってらっしゃい!」


 虎織は笑顔でそう言うとそれに合わせたかのように車は走り出す。これは頑張って帰らないとな・・・

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