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華姫奇譚  作者: 葛籠屋 九十九
第4章 異端狩り編

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第22幕 考察

 シャワーを浴び終わったら虎織が起きていた。もしかしてシャワーの音で起きたか?いや、虎織の睡眠的にはそれは無い気がする


 「おはよう虎織」

 「おはよー」


 琴葉ちゃんを膝にのせ背中から覆い被さるようにした虎織が眠そうに答える。そして一つ違和感を覚える。違和感というより安心感、だが今はそれが違和感となっている。何故なら琴葉ちゃんがいつもの身長に戻っているからだ。鬼化が解けてる?いやまぁ普通に戻ってるのなら良い事だよな。そう思った瞬間ふと一つの可能性が過ぎる。琴葉ちゃんは鬼化を成長を犠牲に押さえ込んでいると言っていた。なら琴葉ちゃんの鬼化の身長高い琴葉ちゃんが本来の姿なのではないか?考えても答えは出ない。なら気にせずいつも通り接する他ない。一応琴葉ちゃんに確認はしておかなければならない


 「なぁ、琴葉ちゃん。鬼化解けてるけどなんかした?」

 「えっ?あれ?ほんとね・・・胸が無くなってる・・・私の胸が・・・」


 鬼化した時にあったであろう胸のサイズより少し、いや、結構な差異がある場所で手を上下させる


 「あれ?琴葉ちゃん気付いてなかったんだ。起きた時にはもういつもの琴葉ちゃんだったよ。あとそこまで大きくなかったよ」

 「気付いてたなら教えてよ。それにこれくらいはあったでしょ?」

 「なかった。こんくらいだったよ」

 「いやいや・・・うーん。でも言われてみればそれくらいだったかしら・・・」

 「あと胸だけ残ってもアンバランスだと思うけどね。ね、将鷹?」

 「そういうの我輩に振るなよー。まぁ主観だけど琴葉ちゃんはバランスいい方が綺麗だし、胸にこだわる必要無いんじゃないか?」

 「女誑しめ」


 琴葉ちゃんがおでこにシワを寄せ忌々しいという感じで言う


 「失礼な。素直に言っただけだよ」

 「なお質が悪いわ・・・」

 「で、何か心当たりとかは無いのか?」

 「強いて言うなら胸の中にある物をある程度吐き出せたことかしら」

 「ある程度なんだ・・・」

 「えぇ。乙女に秘密は付き物よ」

 「そっか」


 ここから考えられるのは過度なストレスからの鬼化とかだろうか。まだなんとも言えないがストレスと今は断定しておくべきかもしれない。それはそれとしてめっちゃ眠い。そろそろ限界かもしれない。虎織起きてるし任せて寝ようかな


 「そんじゃ我輩は朝飯まで寝るよ」

 「えっ、寝るの!?」


 虎織が驚いて身体を前に出す。それによって琴葉ちゃんが押し潰される様に背中を丸める


 「虎織ー!痛いんだけど!?」

 「あっ、ごめん。で、将鷹今から寝るの?」

 「だって今日ほぼ寝てなかったし」


 ウトウトと寝てしまいそうになったことはあったけど基本は起きてた訳だから眠い。正直ベッドで寝たいけど寝っ転がれたらそれでいいや・・・


 「それじゃあ朝ごはんまでおやすみ。シャワーの音とかって大丈夫?」

 「大丈夫・・・そんじゃおやすみ・・・」


 床に転がり瞼を閉じる。髪乾かしてないけど今はいいか・・・くるりくるりと思考を回す暇もなく意識は深く落ちていく。

 落ちた果ては夢ではなく赤と白の華が咲く水面。眠いのにここに来るとか最悪だ


 「影朧。眠いんだけど、用件さっさと教えてくれ」

 「悪いが用があるのは俺の方だ」


 水面を歩いてくるのは虎織に似た男、雪城忠定だった。服装はワイシャツに袴、そして洋物の羽織に下駄。前は顔以外見えなかったが今ははっきりと全容が掴める


 「用ってのはなんだよ。眠いんだけど」

 「すまなかった!仕方ないとは言えお前の身体で殺しをしてしまった・・・謝って済む話では無いのだが謝る以外俺にできることは無い・・・故に・・・」


 言葉と共に忠定は綺麗に折りたたまれるように土下座をする


 「そういうのいいから」

 「しかし・・・」

 「我輩がやったってのは変わらないし死んだ子が生き返るなんてことはない」

 「すまない・・・」


 思う所はあるが反省してるなら我輩が言える事なんてないし言う資格はない


 「代わりと言うわけじゃないけどお前がどういう生き方をして死んだのか教えてもらう」

 「聞いても楽しい物ではないぞ」

 「それでも我輩はお前を知る権利と義務があるとは思うが」

 「なるほど。じゃあざっくり話してやるか。雪城家に生まれて国の為に黒影狩りと要人暗殺してたんだがな」

 「ちょっと待った。要人暗殺!?」

 「おう。まだ国が成り立ってたから飼い主の政敵の排除をしていただけだがな。そっから少彦名命と恋仲になってだな」

 「突っ込み所が多すぎないか!?少彦名命様と恋仲!?というか少彦名命様女神なの!?」

 「あぁ神様ってのは性別なんてその時の気分次第ってもんだろ、まぁ関係的に口吸い程度で止まったがな。そこから砂彦久那に神にならないかと打診されたんだが人として死にたい俺は答えをはぐらかしお前の爺様、幸三郎の代わりに戦争へと赴いた」

 「国無シ島の戦いか・・・」

 「歴史には残らぬ消えた領土の争い。そこで俺は死んだ」

 「本当にざっくりだがだいたいわかった。にしても爺様の代わりねぇ・・・それで魂の写本があった訳だ・・・」

 「あぁ。そういう事だ。でも不思議なことに開いたその時点記憶だけじゃなく死後の記憶もあるとは自分でも驚きだがな」

 「イレギュラーなのかそういうものなのか爺様にしか分からないんだよな・・・」

 「そうだな。まぁ追々分かってくる事もあるだろうな。くれぐれも国無シ島付近には近付くなよ。それと炎の魔術式もな」

 「てっきり乗っ取るつもりだと思ってたんだけどそのつもりないのか」

 「元より無いな。そんなことして死後の世界ってもんがあるなら幸三郎に死んでなおぶっ殺されちまう。おっと、そろそろ時間か。お嬢がお呼びだぜ」

 「は?緊急事態か?」

 「いや、朝ごはんの時間だから起きろってさ」

 「・・・マジか」


 どうやらここで話している時間は現実とは随分と差異があるらしい・・・眠いなか意識が身体に戻ると思ったより眠くない。昨日負傷した腕もなんだか軽いし痛みがない。影朧が何かしてくれたのだろうか


 「おはよう将鷹」

 「おはよう。いい夢見れた?」

 「2人ともおはよう。そんなにいい夢じゃないよ」


 笑いながら起き上がる。さて、今日には首里に着くはずだ。気を引き締めて一日を始めるとするか!

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