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華姫奇譚  作者: 葛籠屋 九十九
短編過去録「風雪の月」
222/361

第12幕

生徒達が一斉に将鷹達の方へと向かう。捌ききれない・・・殺傷能力の高い魔術式なら止められるけどそれじゃあダメだ。何も悪くない人たちを巻き込んでしまう


「炎壁!」


将鷹が左手を振るうと炎の壁が展開される。魔術式を使い始めて30分程度でここまでやれるって才能がすごい・・・


「走れ!緋炎走!」


円を描く様に炎が三田を囲み高密度な炎が吹き出す。将鷹の手元にあった魔術式は砕けたのをみると魔術式自体を犠牲にして火力を底上げしているのだろうか。これだけの炎を浴びせれば三田もきっと・・・そんな甘い考えは持つべきじゃなかった。炎はかき消され、三田の手元には同程度の炎が集約されている。

かき消されたというよりは解体されて集約、結合させていってると表現するのが正しいか


「君たちは調和を乱す。先生はね、完璧を目指しているんですよ。誰一人として授業の邪魔をしない、そんな生徒達は素敵だと思いませんか?今そういう生徒になると言うなら殺しはしません」

「笑わせんな!そんなのは素敵でもなんでもねぇ!お人形ごっこなら家でやってろ!」

「ならもう一度お人形になってもらいましょう」


圧縮された炎を乱雑に投げ将鷹はそれを避ける。三田の狙いは初めから将鷹へと暗示の類をかける攻撃を当てるための誘導。三田は即座に将鷹の腕を掴む。これでハッキリしたのは直接触れたりしないと三田のアレは使えないという事だ


「捕まえましたよ」

「チッ!」

「将鷹!」

「なっ・・・何故効かない?」

「耐性でも出来たのか、なっ!」


驚いた隙に将鷹は風と炎を足に纏わせ蹴りを入れ三田を吹っ飛ばす


「虎織!頼んだ!」

「おっけー!」


吹っ飛んだ先に虎織が回り込み三田を目一杯地面へと叩きつける。

成人男性を軽々と地面へ叩きつける虎織の怪力には驚いたけど雪城の家系は遠縁で血が薄まっているとは言え和煎家の派生、鬼と同格の怪力があってもおかしくは無いし雪城家特有の髪の色が変わる性質をきっちり受け継いでいるのなら鬼の腕力くらいあるのはうなずける。

虎織がその場から飛び退くと将鷹は地面を踏み潰すように蹴りそこから炎の波が広がる。それを避けるために三田は立ち上がった瞬間三田が硬直する。まるで足を何かで固定されたかのようにがっちりと足首から下が動かなくなっている


「これは・・・!身動きが!」


炎に何か隠れている。それが三田の身動きを止めたようだ。まさか将鷹の本当の適性属性って・・・でもそんなの教科書にも載ってないし知らないし・・・別の何かの可能性だってあるかもしれない。変に将鷹に聞くのはやめておこう


「痛いのいくぜ・・・!」


助走を付け身体を捻る様に将鷹は三田の顔に飛び蹴りを入れる。靴の裏を顔にめり込ませさらにそこに回転も加わっているのだ、尋常じゃないダメージだろう


「この程度の攻撃で倒れるとでも・・・!」


三田は将鷹の靴を掴みそれを瞬く間に分解してしまう。

靴がなければきっと足が死んでいただろう


「あっ・・・ぶねぇ!」

「将鷹、どうする?コイツこのまま殺す……?」


虎織が将鷹の横へとスっと舞い降りる様に降り立ちながら三田に刀の切っ先を向ける


「いや。こいつがこんなことした理由がどんだけ自分勝手でも我輩達はこいつを裁く権利はないし捕まえるだけにしよう」

「そういうとは思ったけどちょっと釈然としないなぁ・・・」

「ごめんな」

「いいよ別に。でも、手が滑ったら仕方ない・・・よね!」


言葉と共に虎織が刀を振るうと三田の目の前の地面がえぐり取られる。殺す気はない、虎織なりの憂さ晴らしなんだろう


「怖っわ!」

「どうすればいい?なんでも出来るよ?さっきみたいに削ぐも切るも将鷹次第だよ?」


笑顔で虎織は将鷹に迫る。残虐性に火が着いたように、ただ真っ直ぐに将鷹に問う。それに将鷹は冷静に応える


「アレやるから縛って飛ばしてくれ」

「りょーかい!準備出来るまで私の事護ってね」

「あぁ!任せろ!」


虎織は魔術式を展開しながらブツブツと何か呟き始め、将鷹は言葉と共に三田目掛け走り出し拳に炎を纏い左ストレートを決めそこから連撃を加えていく。まるであの日、三田に負けた日の雪辱を晴らすかのように


「拳に灯した炎での追撃と拳の距離の誤認、それに風での突破力と強制姿勢制御・・・褒めてあげましょう。だが!その程度の攻撃で倒れる私ではない!」


将鷹の拳の炎は三田に奪われ、将鷹はそれを真正面から受ける事になった。しかし何故か将鷹は無傷でその場に立って平然としていた。一体何が・・・?


「風か・・・!」

「正解!ナイスアシスト虎織!」

「どういたしまして!」


どうやら虎織が風の壁か何かで炎を防いだみたいだ。2人の信頼関係あってこそのコンビネーションと言ってもいいかもしれない。虎織がカバーしてくれるから将鷹は前へ突っ走る事ができる、そんな感じだろうか


「そのまま繋げていいよ!」

「わかった!」


三田の動きが完全に静止する。指1本たりとも動かせないような状態なのだろう


「また動きを・・・!」

「椿流、奥義が1つ!」


将鷹の凄まじいアッパーが三田を空へと吹き飛ばすと将鷹も空へと舞い上がり将鷹が三田の胸ぐらを掴む


「櫓落し!」


言葉と共に三田を思いっきり地面へと派手に叩きつけクレーターを作る。今の将鷹の出せる最大火力の技なんだろう。でも三田はまだフラフラと立ち上がる


「舐めやがって・・・」

「どんだけ頑丈なんだよこいつ!」

「椿我流、風蹄鉄」


一瞬の出来事で何が起きたかはよく分からなかったけど虎織の蹴りが三田の喉元を捉え吹き飛ばしたみたいだ。三田はフェンスにねじ込まれそのまま動く事はなかった

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