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華姫奇譚  作者: 葛籠屋 九十九
短編過去録「風雪の月」

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第6幕

気付けば入学してから季節が1周していた。この1年が楽しかったからか時間はあっという間に流れて行く。虎織は将鷹が居なくても初めて会ったあの日の様な人見知りも私にはしなくなったし将鷹は相変わらずの性格で人助けをしている。まぁ何も無い所で転けるドジをほぼ毎日やっている訳だけど・・・

昨年決闘をふっかけて来た湖陽崎は将鷹に負けたのがあまりにもショックだったのかあの日以来学校には顔を出さなくなってしまった。全面的にアイツが悪いそう言う人が大半だけど将鷹はまだちょっと気にしてる節があるらしい


「おはよー」

「おはよう虎織、それに将鷹」

「おう、おはよう」

「さっきまた転けたでしょ?」

「なんで分かった!?」

「おでこ、赤くなってるよ」

「はっはっは、まぁいつもの事だし・・・なんでかねぇ・・・」

「まぁ仕方ないよ。足がもつれやすいだけだろうし」


そんな朝のいつも通りの会話をしていると先生がいつもより早めに教室へと入ってくる


「はいみんなー少し早いけど席について」


春休みが終わって久しぶりに見た先生は何か雰囲気が更に柔らかくなっている気がする。みんなが静かに席に座ると先生は口を開く


「えっと先生ね、子供が出来ました!」


おぉー!とクラスのみんなは歓声とおめでとうと祝福の声をあげる。そして先生は更に言葉を紡ぐ


「それで私の代わりになる先生が今日からこのクラスに赴任されます。先生、入ってきてください」


ガラリとドアを開けて入ってきたのは糸目まではいかないけど目が細く眼鏡を掛けた黒髪の20代後半くらいの男の人だった。シュッとしたイケメン、そんな先生が来たのだから女の子達の大半はキャーキャーと黄色い声を漏らす


「今日からこのクラスの担任となります三田と申します。これからどうぞよろしくお願いします」


三田先生がそう言い終わると共に朝のホームルームの開始を知らせる鐘が鳴る


「じゃあどうせですし先生への質問タイムにしましょうか」

「はいはい!先生は彼女とか居ますか?」


早速質問を投げたのはメイクをバッチリとキメて髪を金色に染め肌を褐色に焼いたいかにもギャルな見た目の子だった。この子はクラス替えというか湖陽崎の代わりとかそんな感じで新しく入ってきたみたいだから名前をまだ知らない


「残念ですが生まれてから女性とのお付き合いはありません。他に質問はありますか?」

「好きな言葉は?」

「調和ですかね」

「それじゃあそれじゃあ好きな女の子のタイプは?」

「協調性の有る方でしょうか」


どうでもいい質問が投げかけられる時間が続いていく。そんな暇かつ興味の無い時間だからか先生に将鷹はバレないように眠っていた。何か考えている振りをしながら目を瞑っている。まぁ多分バレないようにとかそういうのは本人は一切考えてないだろうけど


「そこの君、寝てはいませんか?えーっと、風咲将鷹君」

「寝てませんよ」

「そうですか。寝ていないのなら別に構いません」


眠りに落ちる寸前で声をかけられたからまだ意識は保てていたみたいだ。いたって平静を装ってるけど言葉の奥の方で欠伸を押し殺していたらしい。後ろを向いて少し欠伸をしていた


「私はこれにて一度失礼します。どうやら机の上に仕事道具を忘れてきてしまった様なので」


そう言って三田先生はそのまま廊下へ出て行ってしまう。何故だろ、あの先生から厄介な雰囲気が漂ってる気がする。何か企んでる?まぁ考えすぎな気がしなくもないけど


「なんか面倒くさそうな先生来ちゃったね」

「だね。屋上とかは見つからないように行かないとかな」


後ろの席に座っている虎織に話しかけると虎織も同意見だったみたいだ。みんな容姿につられてそういうクールな人みたいに見えているんだろうけど・・・


「新学期早々面倒事に巻き込まれなきゃいいけどね」


そんな私の願いは儚く、脆くすぐに消えていくのだった

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