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華姫奇譚  作者: 葛籠屋 九十九
短編過去録「風雪の月」
215/361

第5幕

「終わった終わったぁ・・・」


風咲君が缶珈琲を3つもって屋上へと上がってきた。特に怪我もなさそうだけど少し顔色が悪い気がしなくも無い


「先生には後で何とか言っとくよ、だから休んだ方がいいよ」

「おー。頼むわ・・・あっ、吉音さんだっけ?珈琲飲める?」

「あっ、うん」

「なら1本持っていくといいよ。転校初日から随分な目にあっちまったな、この学校じゃ割と有ることだから気をつけてな」


ふらりふらりと歩きながら缶を1本私に手渡しもう一本を雪城さんに手渡す。すると風咲君は目を閉じそのまま倒れそうになる


「お疲れ様。よく頑張りました」


雪城倒れそうな風咲君を抱きとめそのままゆっくりと座り込み膝の上に風咲君の頭を乗せる。膝枕・・・!?漫画でしか見た事ないシュチュエーション・・・!


「えっと、雪城さんは風咲君と付き合ってるんだっけ・・・?」

「そんな事ないよ。将鷹は好きだけどその、告白も出来てないんだ・・・」

「そ、そうなんだ」


付き合ってないけどなんか家族みたいな雰囲気出てるよね・・・距離感がバグってるって感じがする。

缶を開け珈琲を1口飲む。甘ったるい!これを珈琲と形容していいの?えっ・・・華姫にこんな甘ったるい珈琲があるなんて・・・


「あっ、これ仕入れてくれてたんだ。下総とかそこら辺限定なんだよね」


雪城さんが黄色に黒の波線がプリントされた缶を眺めながら言う。どうやら限定品らしい。しかし都心部付近の人達はこんなのをいつも飲んでいるのだろうか・・・


「これは珈琲と呼んでいいの・・・?」

「んー。珈琲飲料ではあるけど珈琲では無いかな。ミルクの代わりに練乳入ってるし」

「わぁ・・・通りで甘い訳だよ」

「疲れた身体にはいいんだけどね」

「確かにそうかも」


甘ったるい珈琲を飲みながら静かな時間を過ごす。よく考えたら2人の時間邪魔してない・・・


「ねぇ、もしかして私ってお邪魔だったりする・・・?」

「私は気にしないよ。それに今教室に戻って何かあったらそれはそれで困るし」


雪城さんは笑顔で答えてくれた。今思えば転校初日で一限目からボイコットってかなりやばいよね・・・

それに2人も新学期からこれって・・・


「完璧に不良だよ・・・」

「えっ・・・あぁ、大丈夫大丈夫。この学校じゃよくあることだから」

「よくあっちゃダメだよね!?」

「長いものには許容範囲なら巻かれろだよ。それにグラウンド見てみて。みんなまだ何かやってるでしょ?」


グラウンドの方に目線を向けると確かに何かやっていた。また決闘でもしているのだろうか


「あれはまた決闘?」

「そんな所かな。みんな決闘見た後はいつもあんな感じで熱気にあてられてあぁいう風になるんだよ」

「それで雪城さんはここで観戦を」

「うーん。将鷹の足でまといになるからって以外は理由ないんだけどね。そもそも私と決闘しようって人自体少ないしなんなら将鷹が先に決闘ふっかけちゃうから私はほぼ戦わないかな」

「どんな理由で決闘申し込まれたりしたのか聞いていい?」

「うん。えっとね、確か・・・将鷹にベッタリ過ぎてうざいとか、護ってもらってばかりの女が魔術師の育成科目に存在するなとかそういうのだったかなぁ。その2つはきっちり私が出たけどそれでやりすぎちゃってね・・・」


雪城さんはたははと苦笑いになりながら目線を逸らす。一体どんな風にやりすぎたんだろうか・・・


「それからは風咲君が雪城さんの代わりに決闘してくれてるんだ」

「そんな感じかな」

「そうなんだ。風咲君と雪城さんの話もっと聞かせて貰える?」

「そんなに面白い話は無いよ?それでもいいなら・・・」

「うん。色々聞かせて」


そこから風咲君が起きるまで雪城さんと風咲君の昔話を聞かせて貰った。なんでこの2人はまだ付き合ってすらないんだろうか?そういう風に思うと共に私のこの恋心かどうかもよく分からない感情は心の奥底に仕舞っておこうと固く決意させた。この2人はきっとどちらかが欠けてしまったらダメになってしまいそう、そう感じた

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