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華姫奇譚  作者: 葛籠屋 九十九
第3章 華姫騒乱編(下)

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第38.5幕 金剛寺 鉱太

 俺はヘリから大量の機械みたいななにかがひしめく地上を見下ろしていた。ひしめくって言っても大概がピタリと動きを停めてやがる。まぁ一機だけ殴りがいのありそうなデカいやつが居るが。俺はそいつを上からぶん殴る為に鳶に無理言ってヘリを出してもらった。

 鳶自身最近出番が無くて困ってたからちょうどいいって快く引き受けてくれたがな


 「鳶、もう5mm右!」

 「指示細かいんだよ君は!誤差だろこんなもん!」


 ヘリが少し揺れる。本当に5mmだけずらしやがった。こいつの操縦テクやべぇな。それにきっちりとその位置からズレない様にしてやがる


 「そう言いながらやれんじゃねぇかよ!ドンピシャだぜ!そんじゃあ行ってくる!」

 「あぁ、行ってらっしゃい」


 ヘリのドアを締めながら風を切り外へと身を放り投げ、自らの枷を外す。何時もなら楽しむ為に枷は外さないんだが遊んでる暇はねぇ。なんせ華姫の危機ってんだ、こんな所で機械遊びしてると桜花のおっちゃんに怒られるしな


 「いくぜぇぇぇぇ!」


 目標まであと100mぐらい、そこで俺の魔術式を発動させ目の前に丸い魔術式が3つ直線上に並ぶ。1つ目を潜り身体の硬化を行い、2つ目で筋力の底上げ、3つ目で超加速、これで俺の必殺、流星拳が完成する


 「ぶっ潰れろぉぉぉ!」


 加速した瞬間目の前の鉄塊目掛けて拳を振るう。拳の接触と共に火花を散らしながら鉄はひしゃげ、六足歩行している虫のような鋭い脚がアスファルトを砕き地面へとめり込むと共にの頭のような部位を持ち上げ、長い蛇腹ホースみたいな首を伸ばし俺の方へ勢い良く向かってくる。しかも口を横に開け、ギザギザした刃が回転しながら殺す気満々でだ


 「金剛寺君!?」

 「随分とド派手な登場だな」

 「よぉ、黒鉄の姉ちゃん。それに・・・糸目のあんた美作の・・・えっと・・・あれだ!あのー!久野宮のじいさんの息子だ!」


 硬化の魔術式を拳に掛け、右フックで開いた口を閉じさせ軌道を変える


 「全く・・・口の利き方を知らんやつだな。そこで這い蹲るか?」


 言葉と共に身体が重くなる。が、俺にはこの程度はどうってことないな。トレーニングならちょうどいいが・・・さてはコイツめんどくせぇ奴だな?しかも強制遂行持ち、美作の市長だし持ってる事は別におかしくは無いが私利私欲で使うタイプか、それとも・・・


 「兄様、またぶん殴られたいんですか?」

 「そ、そんな事はないぞ?」

 「黒鉄の姉ちゃん、そいつ殴られて喜ぶ人種だから殴らない方がいい。殴るんならこの鉄虫にしようぜ」

 「そうですね。しかし私の腕力では拳を痛めるだけなんですよ。なので寿命を狩らせていただきます」


 銀の剣閃が縦に走る。それと同時に鉄虫の脚1つが綺麗に切り落とされ、ガタリと前方へと傾く。黒鉄の姉ちゃんはこういう変な魔術式を使う。俺じゃ到底理解出来ねぇ様な原理の魔術式なのだろう


 「こんなの見せられちゃ俺も黙ってられねぇなぁ!」


 拳を握り込み自分の立っている鉄の部分をぶん殴る。

 大した強度だ、人を殴れば破裂するような威力で殴ったのにちょっと凹む程度で済んでやがる。感心しているその時だった。さっきまで静止していた機械人形の一体が他の機械人形の頭を足蹴にし、壊しながらこちらへと向かってる


 「何だ何だ!?いきなり一機乱入か?」


 身構えたが俺の予想は大きく外れる。機械人形はでかい刃物を俺ではなく鉄虫の胴体へと突き立てた。仲間割れか?そう思ったが禍築が何かやったと数秒後に理解した。こういうのはあいつの得意分野だしな。

 ふと、視線を感じた。まさかとは思うがな・・・カマかけて見るか


 「そろそろ見物はやめて出てきたらどうだ鉱貴」

 「んだよバレてたか。できる限りサボりたかったんだけどなぁ」

 「やっぱお前居たのかよ・・・」

 「カマかけやがったなこのクソ兄貴!ちくしょう!」

 「叫んでないでさっさとこいつ倒すの手伝えよ。お前頭いいんだからこいつさっさと沈める方法とか思いついてないか?」


 思いっきり鉄虫をぶん殴りながら鉱貴へと質問をしてみた


 「んなもん核になる場所か重要基盤壊せば止まるだろ。そんなことも思いつかないのかバカ兄貴」

 「要するに殴ってりゃ壊せる訳だな!?」

 「まぁそういう事だ・・・」

 「OK。そんじゃ殴りまくるか!」


 硬化の魔術式を大量に展開してそこにテンポよく拳を通して殴っていく


 「なぁ!鉱貴、今思ったんだけどよ!」

 「なんだよ兄貴」

 「機械ってよぉ!殴ったら治るんじゃねぇのか!?」


 婆ちゃんがよくテレビぶっ叩いて治してたし


 「あのなぁ・・・それ兄貴がやって治った機械あるか?ゲーム機とかコントローラーとかさぁ?」

 「全部ぶっ壊れたな!」


 治った試しがねぇわ!そう考えると婆ちゃんすげぇわ!


 「阿呆な会話してないでさっさと壊しましょう。ある程度壊れ始めたら私が何とかします」

 「おーじゃあ頼むわ」

 「あー、テステス、みんな聞こえる?」


 俺のスマホから女の声が大音量でたれ流される


 「おう!」

 「よし。みんな、心して聞いて。土地神さまが敵に捕まりました。どうかその場を速攻で片付けて神社の方へ向かってください。僕もすぐにそっちに向かうから。主犯格は城ヶ崎」

 「それは本当に城ヶ崎なんですか・・・?」


 黒鉄の姉ちゃんが顔を青くしながら聞く


 「うん。残念ながら」

 「・・・そうですか」


 そこでスマホは何も音を出さなくなった。これはかなりマズイやつか。出し惜しみ無しでぶっ壊して土地神助けに行かないとだ


 「鉱貴、お前も力貸せ。俺たちの一撃、いいや、ニ撃で終わらせる!」

 「わかった」


 鉱貴は面倒くさそうに座り込んで居たが立ち上がり魔術式を起動し目に見えない速度で鉄虫を蹴り上げる。その衝撃で俺も空へと投げ出された。そして俺は魔術式を3つ落下していく直線上に配置する。硬化、硬化、硬化。更に3つ、硬化、筋力増加、筋力増加。そして最後に3つ、加速、加速、加速。順番を間違えたり硬化3つのまま行くときっと身体は四散するだろう。

 俺の精一杯を脚に込めて凄まじい勢いで落下する。上の鉄板を貫き中身の色とりどりのコンセントみたいなのをぶち破りながら鉄板をぶち抜きアスファルトを砕き着地する。

 鉄虫はバチバチと音を立てながら小さな爆発を繰り返す。これは最後に大きい爆発するやつだな。少し離れておくか・・・と言いたい所だがどうもこの技の後はしばらく動けない。仕方ない・・・生き残れたらいいが。そう思いながら俺は目をつぶった

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