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華姫奇譚  作者: 葛籠屋 九十九
第3章 華姫騒乱編(下)
177/361

第22.5幕 ラボにて

 俺は姉貴からの急なお使いを終え自らのラボへと戻る。

 冷房で冷えきった珈琲を飲み干し一息つく


 「まだ居たのか東雲」


 名が指し示す通りの日の出、日の入りの時の様なオレンジ色の髪の女、東雲雪に話しかける


 「アリサを1人にする訳にもいかないからね。蓮君というかここの結界とかは信用してるけど敵の力量が分からない現状僕も付いておくのが最善だと思うけど」

 「そうだな。そうしてくれると俺としても助かる。敵が入り込んだ場合この鉄扇が有るとはいえ使える魔力も限られてるからな」


 チタン製の鉄扇を懐から取り出し開いて刻んで貰った魔術式を眺める。

 雪城、田都、奄守、桜花さん、彩城、鉱太、鉱貴、大和先生。魔力の少ない俺の為に皆が知恵を出してくれた品だ


 「あれ?まだそれ埋まって無いの?僕が1つ刻もうか?」

 「悪いな、ここは将鷹の枠なんだ」

 「んー?あぁーなるほどね。無理矢理改変したから刻まれた式が残弾ありになっちゃった訳だ」

 「まぁな。アイツ本来の魔術を見たくてな。いや、正確にはアイツの内にある最適属性の魔術か」


 大和先生は俺に語った。将鷹はまだ自分の適正属性が分かってないと。もしも本当にやばい時になったら開示していい、そういう場面じゃない限りは自分で気づくまで待て。と


 「僕としてはそろそろかなって思ってるけどどうなるかなぁ。次の一振ができるまでに使える様になって欲しいんだけど」

 「その口ぶりからすると東雲も知ってるみたいだな」

 「うん。僕は程よい距離で将鷹を眺めてるからね。虎織や月奈ほど近くで見てたら気付かないだろうけど」

 「まぁ近くで見てたら器用貧乏な面が強く押し出されるからな。それに一緒に戦っているとあの変化は見逃すだろ。しかも雪城なんかはガキの頃からの付き合いらしいから気づいてもそういう体質って勘違いするだろうし」

 「だろうね。僕も最初は体質だと思ってたけどアレ、違和感の塊だよね。魔力を失う時は何もないのに魔力を使う時にそうなる、一見すると似てるようだけど違うんだよね」


 東雲は俺の机に刃物の包まれた布を広げる。何かしようとしているのかは分からないが害は無いだろう


 「そうだ。蓮君、賭けしようよ。将鷹が本当の力の気付くかどうかの」

 「そんなもん賭けにならんだろ。俺もお前も確実に気付くに賭けるに決まってる」

 「それもそっか。っと、僕は一旦家に戻るよ。15分くらいで戻ってくるから」

 「忘れ物か何かか」

 「虎織に渡す秘密兵器でも担ぎ込んでおこうかなって思ってね」

 「物騒なモンは勘弁だぜ。特に銃とかやめろよ?雪城に撃たせたら味方が死にかねん」

 「流石に銃はねぇ・・・将鷹の命がいくらあっても足りないよ」


 呆れた様な表情の後に苦笑いを見せてから窓から跳ぶように出ていく東雲。まぁ持ってくるのは刃物だろうがな


 「アリサ、起きてるか?」

 「起きてるけど、どうしたの蓮さん」

 「気分を悪くしたらすまん、お前、何が混じってる?」


 俺は疑問に思った事を率直に聞く。答えなければそれでもいい、それで俺がアリサへの対応を変えることもない


 「うちにはよく分からない・・・でも何かの血が混じってるのは確かだと思う・・・」

 「そうか。悪い、変なこと聞いて。まぁあんまり深く考えないのがいいだろうさ。お前に何か混じっていようがアリサはアリサだ、アイツならきっとそう言う」


 身内に甘いアイツの事だ、なにか知っててもアリサには黙っているだろうな。事なかれ主義も大概にしとけよとまた釘を刺しておかないとだな

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