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華姫奇譚  作者: 葛籠屋 九十九
第3章 華姫騒乱編(下)
173/361

第20.5幕 責任追及

 「それでどう責任を取らせるおつもりで?」


 目の前の見た目だけはうら若い女、経理課統括長神代が机をドンと資料を叩きつけながら儂に問う


 「そうカリカリするな。シワが目立つぞ」

 「今は鬼姫が暴れた結果市内の建物に甚大な被害出ているからその責任をどう取らせるか聞いているんです!」

 「はぁ・・・まずはそちらがどうしたいかを聞いておこうか」

 「もちろん綺姫琴葉を鬼姫から解任、そして京獄へと送るのが筋かと」


 予想通りの答え過ぎて欠伸が出そうだ。被害は電器店1つとウエディングドレスを扱う店1つ、ファストフード店が2つ、カフェが2つと確かに大きいが鬼姫解任及びあの市内丸ごと刑務所の京獄に送り込むなどやりすぎだ。市民にも相当な被害があればそれも仕方ないとは思うが怪我人は幸いにも0、それにこの女はあからさまに綺姫を毛嫌いしているが故の過剰反応だろう


 「被害を見るからにどちらも重すぎるとは思うが。それに次の鬼姫をどうするつもりだ?」

 「それは・・・」

 「今の華姫では綺姫が最も鬼姫としての素質がある、もしあの子を鬼姫から引きずり下ろしたいのならばあの子より優れた者を連れて来てから物を言え」


 完全に言い負かされたというかのように顔を赤くしてふつふつと怒りを燃やしている、そういう表現が最も似合うだろう


 「ではそちらの責任の取らせ方をお聞かせ願えますか?」

 「まずは綺姫の市民への謝罪、店の経営者達には店の修復の無償化と店の修復が終わるまでの生活の保証、それで彼らは納得するだろう」

 「その財源はどうするおつもりで?経理課の立場から言わせていただくとその様な保証をできる金額の算出は無理と思いますが」


 してやったり、そういう顔で神代は嗤う


 「そうだな。今の華姫では難しいだろうな」

 「では、その案は棄きゃ「無理とは一言も言ってないだろう?」


 神代の言葉を遮ると不服そうにこちらを睨みつけてくる。最近は態度を隠さない様になってきたな


 「どうやって財源を確保する気ですかねぇ夢は現で見るものではありませんよ」

 「夢ってのは現でも見るもんだ。それにきっちりと話を付けておいた」

 「何を誰にどういう話を付けてきたと」

 「武蔵の火野姫と最上、奴らが無償で今回の件を補助してくれるそうだ」

 「・・・ありえない、ありえない、ありえないありえないありえない!あの火野姫が!?その様な戯言信じるとでも!?」

 「九重と言ったか?アレを頼む」

 「はっ、はい!」


 経理課所属の黒髪の可愛げのある子がレコーダーを持って部屋へと入ってきてレコーダーに録音された音声を再生する


 「やっほー、元気してる?してないわよねぇ、なんたって鬼姫が暴れたってんだから。被害とかは資料見る限りどうにかしてあげられるわ」

 「火野姫様、その、上から目線はどうかと思います。あくまで姫という立場は対等、それをお忘れなきを」

 「そうだったわね。対等な立場でこれからの華姫市に私は投資してみようと思うのだけれど迷惑じゃないかしら?もし良ければ全面的に協力させてちょうだい」


 九重はそこで録音された音声を止める


 「なっ・・・本当だって言うの・・・!」

 「まぁ綺姫と火野姫、辻井と最上が仲が良いという事を知っていれば当然の結果と言えるだろうな」

 「では今回の件はその様な処理で・・・九重、行くわよ」

 「すみません神代さん、今日から自分は黒影対策課に異動になりまして・・・」

 「はぁ!?そんなの聞いてないわ!」

 「言って無いからな。というかついさっき決めた」

 「ジジイ!そんな勝手が許されると思ってるの!?」

 「ジジイとは失礼な。まだ儂はオジサンの範囲だ。それに儂がジジイならそっちは大婆様だろう?」

 「言わせておけば・・・!」

 「うちわ揉めするな。今はそれより優先するべき事があるだろう」


 会議室に入ってきたのは武蔵の火野姫に仕える最上だった。つい1時間前まで武蔵に居たはずだがどうやってここまで来たんだ・・・


 「さぁ持ち場へ戻るといい。でないと殺すぞ」

 「チッ・・・!」


 「悪いな最上殿」

 「いやなにネッ友の仕事場が大変なら助けに行くのが友達だろ。今回の件に直接関与は出来ないが手伝える事があれば言ってくれると有難い」

 「それは心強い。なにかあれば頼らせてもらうことにする」


 携帯が振動する。ディスプレイには将鷹と表示されている


 「少々失礼」

 「あぁ、構わんよ」


 「どうした将鷹」

 「おお、繋がったかこりゃ便利だな」


 電話の向こうから聞こえてくる声は将鷹のものではなかった。しかし近い声と言えば近い声だ


 「誰だ?」

 「俺は影朧。資料にあるだろ?」

 「なるほど、お前が影朧か。ということは将鷹は危ない状態なのか?」

 「いや、コイツは問題ねぇよ。ちょっと面倒事押し付けられる形で俺が表に出てるだけだ。んで用件は簡単、琴葉が皆に謝りたいって言ってるから会場の準備を頼む」

 「相分かった。段取りはしておくがなるべく早くこちらに来て手伝いをしてくれると助かる」

 「あいよ。それじゃ頼んだぞ」


 資料よりは随分とまともという印象を受けるなあの影朧というやつは。

 さて、最上には早速手伝ってもらうとしようか

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