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華姫奇譚  作者: 葛籠屋 九十九
第3章 華姫騒乱編(下)
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第16幕 首輪

「影朧、アレ焼き切れる?」

「姫は随分と無茶言ってくれるな。琴葉の髪の毛1本も巻き込まずにって事だろ?」


しれっとヤバいことをしようとしてる自覚が無いのか姫は。

あの首輪は見たところ神の力が篭った代物だ。確かに禁厭の炎ならアレを焼き切るなんて造作もないがそれをやらせた姫になにかあるかもしれない


「髪の毛1本も巻き込まずに、怪我もさせずにね」

「やれるが姫に罰則があるかもしれん」

「そんなの覚悟の上だよ」


姫の目は確かに覚悟を決めたやつの目だ


「そこまでしなくても大丈夫よ。コレ大した物じゃないから」


琴葉はそういうが明らかにあの首輪はヤバい。微量ずつとはいえ魔力を食ってやがる。あぁいうのはどんどん食う量が増えて最後には魔力の枯渇で死ぬか永久に魔術を使えない体になるかの2択だ


「琴葉、将鷹に代わって俺から言わせてもらう。背負い込み過ぎだ」

「優しいのね。将鷹みたい」

「髪の毛結ぶか束ねるかしとけ。姫も覚悟は・・・いや聞くのは無粋だったな」


俺は指先に禁厭の炎を灯す。そして指先でなぞる様に首輪を断ち切り、落ちていく首輪を一切合切灰も残らない様に燃やす。琴葉は首輪が取れた瞬間に崩れる様に膝を地面につけ、咳き込む。姫が咄嗟に支えなければそのまま地面に顔をぶつけていただろう。随分と無理が過ぎたと言うやつだな


「しかしあんなもんで縛るとかここの奴らヤバいな」

「流石にこれはね・・・」


言っておいてなんだが俺はここの奴らがそんな事をする様な奴らだとは思っていない。

誰かが付け替えたというべきか。あくまで推測の域を出ない


「おっ、なんじゃ琴葉、自分で鎖引きちぎったのか?まぁ普通の鎖じゃったからなぁ・・・」


土地神が生乾きの状態でこちらにやってきた。この神ドライヤーとか嫌いそうだな


「普通?」

「そうじゃろ?ただの鉄の童が使っとるのと同じ物を「って事は誰かが鎖を違うものに変えたって事?」

「ん?話が見えんな・・・1から話を整理してくれ」

「琴葉に魔力を食い続けるやつで縛られていた。お前らはこういう鎖でしか縛ってないんだよな?」


袖から鉄製の鎖を取り出して土地神に見せる


「そうじゃな、そんなものは知らん。琴葉を縛る時に気を失わせたのが仇となったか・・・一体何処の誰がそんな厄介な物で縛ったというのだ」


嘘を言っている様には見えない。これは白だ


「この場合は城ヶ崎が関係してるって考えるのが自然じゃないかな?」


月奈が髪をタオルで拭きながらやってきた。そして俺を見るなり嫌そうな顔をする


「なんで影朧なの?」

「そんな嫌そうな顔すんな。アイツは今取り込み中だ」

「チッ」


おかしいな・・・俺が将鷹の記憶で見てきたコイツは平常時はもっとおしとやかな雰囲気だったんだが・・・

だがまぁ仕方ないか。俺が表に出てりゃそりゃ戦闘中とかキレてる時と同じ様にもなるか


「てかどうでもいいことだがお前ら着物の前全開で来んじゃねぇよ。俺男だぞ。恥じらいを持て恥じらいを」

「見られた所で減るもんでは無いからえぇじゃろ。暑いんじゃ」

「てめぇは元々減るほどの胸もねぇだろ」


日頃のコイツの行いの悪さからついつい本音が出てしまった


「言いおったな貴様!誰がツルペタじゃ!」

「んで、月奈、さっさと帯巻くなりなんなりしたら・・・」


なにかが頬を掠めて庭の軽石達を砕く。

神殺しか・・・多節棍の様に鎖が中に入ってたとはな。物騒すぎるだろコイツ


「気安く呼ばないで」


本日2回目の呼び方での制裁だ。無視するなー!と土地神はギャーギャー騒いでいるが無視しておくことにする


「じゃあどう呼べばいい」

「吉音」

「吉音な、了解」


ため息をついた瞬間に鎖が巻き上げられ見慣れた神殺しの槍の姿になる


「琴葉の首輪の件の犯人どう探すか・・・」

「とりあえず城ヶ崎の手先って事で一旦置いておく?」


姫の提案は今じゃなければ問題はなかっただろう


「いや、早急に犯人を見つけないと厄介だ。理由としてはこの社の中に敵が潜んでいる場合闇討ちも有り得る。まぁ可能性は極めて低いが」


こんな回りくどい事やるなら闇討ちなんてしないだろうがな


「物があればまだ何か手がかりあったかもだけど影朧が勢い余って燃やしちゃったし」

「証拠品燃やすとかお前は阿呆か?」

「無能」


風当たりが非常に強い。しかしまぁ燃やし尽くしたのは悪手ではあったな・・・神の力が入っていたというのを考えると元を辿れば神由来の俺も犯人扱いされても仕方ない・・・


神の力か。なるほど

暴れていた時にもう1人、いや、もう1柱神が居たよな


「月読命居るんだろ。出てこいよ」

「気付くのが早いな。少々簡単な問題過ぎたか」


黒髪の透かした神、月読命が音も影も無く庭に立っていた

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