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華姫奇譚  作者: 葛籠屋 九十九
第3章 華姫騒乱編(下)
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第15幕 姫と影

ったく・・・将鷹のやつ俺が抑え込んでやるってのに断りやがって。姫以外の人間と話すの慣れてねぇんだぞ


「はぁ・・・」

「将鷹の事でも考えてるの?」

「まぁな。あのバカは何考えてるのか解らん。俺が表に出続けるのがヤバいって認識が足りてないんじゃねぇか?大人しくしてると思うなよっての・・・」

「うん。確かにたまに何考えてるか解らない時あるよねー。でもそういう時ってだいたい将鷹が自分自身の為に動いてる時だから私としては嬉しい限りだけど。影朧に表を任せてるのは信用してくれてるからかな」

「俺をか?」

「私をだよ」


珍しく姫が姫らしくないことを言う。こう、もっと謙虚なはずなんだが・・・いや、姫と将鷹の関係が進んだからこその台詞だろうな。実際アイツは姫に全幅の信頼をおいているのは確かだが


「にしても影朧が少女漫画読むって結構以外かも。スプラッタ系とかハードなバトル物が好きかなって勝手に想像してたけど」

「スプラッタとかバトル物とかそういうのは現実で体験できるってのがデカいからな。というかアイツの本棚にスプラッタなんて一切ねぇしな。バトル物も派手ではあるがこれはこうした方がいいんじゃねぇか?って無粋な事考えちまう」

「あー確かに。スプラッタメインは無いっけ・・・」

「少女漫画ってのはキラキラしてて現実じゃ有り得ねぇ様な展開だからな。読んでて飽きねぇ」

「影朧って意外とお姫様に憧れてそうだね」

「そこは王子じゃねぇのか?どっちにしろ俺は今のままで満足してるから成りたいとも思わん」

「そっか」


ギジリと座っている床が軋む。あの巫女が漫画と茶を持ってきたか


「影朧様、申し訳ないのですが漫画の方は今桃が読んでおりましてご用意出来ません」

「そうか。ならいい」


俺は巫女の持ってきた丸盆から湯呑みを手に取る。湯呑みに入っているが随分と冷えた茶だ


「藍さんありがとうございます」

「お気になさらず」


そう言うと巫女はその場から消える。そこに居た形跡すら残さずに。まぁ微弱な魔力が滞留しているのを見ると空間移動か。随分と高度な魔術式を使えるやつの様だな


「割とあっさりしてるんだね」


姫は茶に口をつけてから一言、そう言った


「漫画は今読まなくても逃げやしねぇからな。それにアイツにどんだけ漫画のお預け食らったと思ってんだ?」

「それもそっか。ところで将鷹、まだかかりそう?」


身体の魔力がふっと消える。それと同時に影が口を開く


「あーそうだなぁもうしばらく、夜は影朧に現状維持任せるとして明日の昼くらいまでは手間取りそうかな」

「そっか」

「虎織には悪いんだけど明日近衛と彌守、影朧連れて華姫の案内頼めるか?あの宣戦布告聞いたからみんな商店街とかには戻ってくると思うからさ」

「まかせてよ」

「おいちょっと待て。夜を俺に任せるならそのまま俺がやりゃいいだろうがよ」

「そうも行かないんだわコレが・・・影朧に任せると我輩の伸び代が無くなるというかなんというかな。たまには外で羽を伸ばすのもいいだろ?」

「はぁ・・・身勝手なやつだ」

「そうだな。っとそろそろ休憩も終わりだな・・・んじゃ、頼んだ」


魔力が戻る。随分と無茶をやっている様に感じたが大丈夫か?


「全く、無茶するのは良くないって結構言ってるんだけどなぁ・・・」


声色でアイツが疲弊しているのが解るのか。長年連れ添って来ただけあるというべきか


「やっぱり姫がアイツを好きで居てくれて良かったな」

「あれ?もしかして影朧ツンデレ?」


煽るようにニタニタと楽しそうに姫は笑う。確かに俺の行動を顧みればツンデレの様ではあるが断じて違うと否定しておく


「ちがう」

「そういう事にしておくよ」

「随分と楽しそうね2人とも。旦那様に黙って密会かしら?」


この声鬼姫か。鬼姫と呼ぶのも姫と被るし琴葉とでも呼ぶか


「鎖に繋がれていると聞いていたが元気そうじゃないか琴葉」


容赦なく顔面に蹴りが飛んでくる。俺としたことが気を抜きすぎて居た。もう間に合わない。

鋭くは無いが少々痛みを感じる蹴りだ。鼻っ柱が折れるかと思ったが折れても問題はないか


「何すんだよ琴葉」


2度目は喰らわない。そう思い腕で受けようとしたが腕ごと顔面に押し込まれた


「影朧、私の名前を気安く呼ばない事ね。せめて鬼ひ・・・あーそういうこと・・・」

「ややこしいからそう呼んだんだ・・・」

「それは・・・ごめんなさい」

「いやいい」

「ねぇ、虎織、これ本当に影朧?聞いてた話と全く違うんだけど・・・」


琴葉は小声で姫に話しかける。すると姫はクスクスと笑う


「そうなるよね。琴葉ちゃんが聞いてるのまだツンツンしてた頃の影朧の話だもん」

「何?てことはデレたの?」

「そうそう」

「あら・・・そういうことなら早く言って欲しいわ。ふーんなるほど・・・将鷹がベースだけあって・・・うん。イケるわね・・・桃達にも伝えるべきよね・・・」


不穏な空気というか確実に琴葉はなにか良からぬ事を考えているのが解る。姫が少々楽しそうにしているのはまぁいいとして流石に気になる


「おい琴葉、何を企んでる」

「んー貴方には言ってもいいかしら。いや、ダメね。乙女の秘密よ。詮索は許さないわ」

「じゃあなんで鎖に繋がれてるって言われてたお前が出歩いてるか教えやがれ」

「今も鎖付きよ。鎖は見えないけどね」


琴葉は長い赤髪を掻き分け首元を晒す。その首にはチョーカー、いや、そんなシャレたもんじゃねぇな。首輪が付けられていた

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