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華姫奇譚  作者: 葛籠屋 九十九
第3章 華姫騒乱編(下)
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第13幕 虎織対影朧

「影朧のことだから狼の姿かあのフードの状態になるかなって思ってたけどまさかライオンとはね」


目の前の蒼い炎の獅子はグルグルと喉を鳴らして私の様子を伺っている様で動こうとしない。睨み合う様な状態での硬直、まるで将鷹と対峙している時みたいな感じがするけど将鷹とは圧がまるで違う。

虎徹を防刃の筒から取り出して正眼で構えて切っ先で獅子を捉え、待つ


「おぉ?睨み合いか?風咲の坊主相手なら加減せず走れば1発で仕留められるだろ」

「月読命様は分かってないですね・・・将鷹相手に先に動けば確実に狩られますよ」


そう、子供の頃から私が先に動いた試合は将鷹が加減してなければ全部負けていた。カウンターというよりはアレは条件反射みたいな物、今は加減なんてしてくれないだろうから確実に一撃必殺となり得る攻撃が容赦なく来るはず


「でも、将鷹から動いてきても最近負けたんだよね・・・なら、先手を打つのがいいでしょ!」


魔術式を使った加速、1歩で間合いを詰めるための強襲用魔術式。私の目が追いつかないけどあの蒼はハッキリと見えるから問題はない


「椿我流・・・」


さっき使わなったあの技で吹き飛ばそう。これなら炎も反応速度も何も関係ない。

1つ、2つと魔術式を重ねる。私が同時に使える魔術式は最大3つ。それを全て蹴りに込めてぶつける!

靴に魔力を廻して魔術式を3つ通しての蹴り、足を勢いよく前へと突き出す蹴り方で獅子の首元を捉える


「風蹄鉄っ!」


足が触れた瞬間暴風が獅子の蒼炎の皮を剥ぎ取り中身であるフードの男に私の勢いの乗った蹴りが入る。決まった。そう確信する手応え、でも私は足を捕まれ放り投げられてしまっていた


「っ・・・!全く効いてないじゃん・・・!」


空中でそうボヤいて地面に叩きつけらる瞬間受け身をとって転がる。将鷹に選んでもらった服に切れ目が入ってしまったのはショックだけど今はそれどころじゃない


「蒼炎が戻ってくる前にもう一撃くらいは加えときたい所だよね・・・」


次の一手を瞬時に思いつけないのはここでは致命傷だ。将鷹ならこの時点でもう二手先まで考えてるだろうなぁ


「考えても仕方ないか」


即興でどうにかするしかない。臨機応変、変幻自在なな戦い方が出来る将鷹には感服せざるを得ない。

もう一度身体に速度を乗せ走り出す。影朧までの距離は2m弱


「椿流、奥義が1つ・・・」


影朧の襟元を掴み全身全霊で空へと投げ飛ばす。将鷹の見てる前だと怪力女とか思われたくなかったから使わなかったけど今はそんなの気にしてる余裕なんてない。

足に魔術式を展開して投げ飛ばした影朧より速く、影朧より高く宙を舞う。そして身動きの取れない影朧を掴むと蒼炎が吹き出して熱いけどそんなの気にしてられない


「櫓落とし!」


影朧を勢いよく地面へと放り投げる。

対人でのこの技は人を殺しかねないけど影朧なら耐えられるし何より致命傷を与えて禁厭で回復させて魔力を消耗させないと影朧の意識が身体の制御を行えない。

轟音と共に石畳の破片が飛び散る。土地神さまが何か言ってるみたいだけどハッキリと聞こえるのは風の音だけ


「もう一撃!」


拳に魔力を込めて落下する速度を上乗せした一撃を叩き込む!


「やぁぁぁぁぁぁ!」


叫びと共に拳を振り下ろす。その一撃は空を切り、地面を虚しく砕くだけになった


「避けろ!」


将鷹の声がした。それと同時に白い何かが私の腕を鋭く切り裂く


「っ・・・」


傷は浅い、さっき熱を感じたけど火傷もしてないしなんなら切り傷以外は一切ない。それより気になるのは将鷹の声がした事、気の所為なんかじゃなくてしっかりとこの耳が聞き取った声、間違うはずはない将鷹だ


というか肝心の影朧の姿が見当たらない。蒼い火の粉が散っているだけで気配も何もない・・・


蒼い火の粉、ね

気付いた時ちょうど後ろから鎖独特の鉄の音と風を裂く音がした


「鎖って刀で巻きとるの難しいんだよねぇ。特に白鎖みたいな意思があるのは」


振り返ると同時に突きで白鎖の環の1つに切っ先を通してそこを起点に上から下に刀を動かしそして巻きとる。これを一瞬で出来たのは我ながら凄いと思う。まぁ虎徹は白鎖に縛られて使えない状態になっちゃったけどね


「本体はまだまだ暴走中みたいだね・・・白鎖は向こう側というか私に敵対してる感じなのかな?」


白鎖に問いかけると少し鎖の締め付ける力が弱くなった気がする。もしかして私と将鷹の身体を繋ぎ止めてる?

そうならば随分と主人思いの鎖だ。私はその可能性に賭けてゆっくりと影朧との距離を詰めていく

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