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華姫奇譚  作者: 葛籠屋 九十九
第3章 華姫騒乱編(下)

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第9幕 金剛寺鉱貴

ローズさんにメールの件と出くわした黒影について話すと苦笑いしながらローズさんは口を開く


「なるほどねー。姉さんがそんな事を・・・我が姉ながら困ったものね・・・」

「という訳で殴り飛ばしに行きます」


虎織が曇りのない笑顔でそう言うとローズさんは笑う


「いやぁ清々しいまで惚気けてるわねぇ。風咲君良かったわね、嫉妬深い女の子好きでしょ?」

「まぁ程度によりますけどね。それに虎織はそんなに嫉妬深く無い方だと思いますよ」

「あら、そう?そう思うなんて寛大なのかしら。それとも貴方がズレてるのかしらねー」


後半の方は虎織に聞こえない様に声を絞って言っていた。我輩は気にせず言葉を紡ぐ


「その重武装見る限りさっき倒した黒影を追って来たって感じに見えるんですけどまさか喫茶店で捕まえてた奴らが黒影に?」

「風咲君にしては鋭いじゃないの。そうよ。時限爆弾みたいにアイツらの意志とは関係なく起動する仕掛けだったみたいよ。アルカンスィエルも随分と鬼畜よね、身体がボコボコって沸騰する水みたいに膨らんで苦しい、苦しいってもがきながら黒影に変わったんだもの」


想像すると吐きそうだな・・・思わず手が口元へと動く


「大丈夫?あんまり他人に共感し過ぎちゃダメだよ。まぁ想像力豊かだとそういうのも難しいか・・・」

「あぁ、多分これは一生付き合わないとダメだろうな」


昔からマイナスというか人が死ぬ話を聞いただけで情景が浮かんだりなんてよくある事だ・・・これくらいで気分悪くなるなんて今更だよな・・・そう思っても口の中が独特の酸っぱさに覆われる


「現実で人の生き死に見てる割に想像だけで吐きそうになるって結構異常よ。それは影朧ってヤツの作用なのか自分に問題があるかハッキリさせた方がいいわよ?」

「多分これは影朧は関係ないです。自分の問題ですよ」


子供の頃からこの症状はあるんだ。影朧は関係ない、はずだ


歩き出そうとした瞬間、スピーカーを何かに繋ぐときに鳴り響くキーンという音が響いた。ここにスピーカーなんてないぞ。どこから響いた?


「あー!テステス、マイク良好。華姫の皆様、華姫の皆様ーどうぞお耳を傾けお聞きください。私の名は城ヶ崎!明後日に華姫を制圧致しますのでよろしくお願いします。一般人の方には危害は加えぬことをお約束いたします、どうぞ日常生活をお楽しみください」


華姫の門の方角から声が響いてきた。その方角に眼をやると門の上に城ヶ崎と6人の人間がでっかいアンプを担いでそこにいた


「アイツ頭おかしいんじゃないか!?」


思わず叫んでしまう。いやもうマジで何やらかすか分からないから怖くなって来たぞ・・・


「将鷹!空見て!」


虎織の言葉を耳にして城ヶ崎の居る方向の空に眼をやる。そこには空を裂く一筋の赤い流星。それは門目掛けて一直線に飛びかかる


「いつ見ても派手だなぁ」

「ローズさんは見るの初めてでしたっけ」

「何アレ、誰かの必殺技?やばさ満点なんだけど」

「炎天流星、鉱貴の魔術式の1つですよ」


自らの身体を隕石の如く敵にぶつける最悪の事故みたいな技だ


「鉱貴って確かあの脳筋男の弟よね・・・」

「えぇ、やっと帰って来たみたいですね。いや、アイツの性格から考えると面倒だから今まで姿を見せなかったの方が正しいか・・・」


極度のめんどくさがり屋故に火力で押し切る戦闘スタイルをしているが馬鹿では無い、むしろ頭がキレる方なんだよなぁ・・・

インテリ脳筋なんて意味がよく分からない言葉が似合うのはアイツくらいだろう


「おやおや、愚かなネズミが1匹、君たちどうにかしなさい。私は言いたいことを言ったので引き上げます」


城ヶ崎はそう言うと6人の背中を1人ずつ押していく。マイクがONのままだったのか6人の悲鳴が響きローズさんが言っていた様に人間が膨れ上がり破裂すると共に黒影が現れる


「やばいな・・・虎織、急ごう」

「あっちは金剛寺に任せて大丈夫だよ。もう1人来たみたいだし」

「鉱貴ぃぃぃぃ!仕事ほっぽり出してどこ行ってやがったぁぁぁぁ!」


マイク無しでもえぐい声量だ・・・

耳を劈くうるささが風よりも早く我輩達の横を通り抜けていく


「そ、そうだな・・・うん。問題ないか・・・」


轟音。鉱貴が黒影とぶつかった様だ。6匹の黒影はほぼ壊滅、ついでに華姫の門も半壊。アイツやりやがった・・・!修理必要じゃん・・・!今まで整備で済んでたのに!


さらにそこに追い討ちをかけるかの如く鉱太の一撃も・・・門はもう門としての形が残っていない。黒影は一応まだ現在だが一瞬にして消え去っていった


空気が震える様な兄弟喧嘩、空気が震えるは比喩表現なんかじゃなく、空振が起きている。お互いの拳が放たれる度に微かに数km離れたこちらにも響いてくる


「あー、ローズさん、喧嘩止めて来て貰えます?我輩達が行くよりアイツらには効き目ありますし」

「えぇ・・・イヤよ、近寄るの怖すぎるわ」

「そこをなんとか・・・!アイツらローズさんみたいな金髪美人お姉さんがタイプなんですぐに止まるかと」

「うわぁ旦那居る女にそういうの頼む普通・・・?でもいいわよ。お姉さんに任せておきなさい」


酷い空振の中、ローズさんは門の方へ、我輩達は喫茶青空へと向かう

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