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華姫奇譚  作者: 葛籠屋 九十九
第3章 華姫騒乱編(上)
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第22.5幕 内なる者たち

「彼は帰ったかい?」


男は分かりきった事を俺に問う


「あぁ、お前も一緒に話せば良かっただろうに」

「はっはっはっはっ!俺が一緒だとまともな会話にならないよ。何せ俺は君の言う姫に似ているからね」

「それだけじゃ無いだろ?」

「バレてたか・・・」

「なんでバレないと思ってんだよ。俺にアイツと正面から話す方法とか影への現出を教えたのは少なからずアイツを気にかけてるからだろ?」

「こりゃ参った。いや、実を言うとね、彼に合わせる顔がないというかね。俺が居るから彼は炎が使えない、それに随分と重たい物を背負わせてしまっていてね」


男は俯き顔を曇らせ溜め息を零す


「あの紅蓮の死地か・・・」

「あぁ、俺の墓場で最期の記憶さ。死人の記憶なんぞ見せられて気分がいいものじゃないし」

「1ついいか?お前はなんで魂の写本、だったか?あれをアイツのジジイに造らせたんだ?」

「それぐらいしないと幸三郎は引き下がってくれなかったからさ。まぁアイツの事だ、薄々気付いてたんだろうけど。本当ならあの紅蓮の死地、国無しの島には幸三郎が出向く予定だったんだ。俺にはアイツが死ぬのが見えた、だから代わりに俺が死ぬ事にしたんだ」

「なんで」

「人のまま死にたかったから、かな?俺はとある神様と恋仲だった。ある日突然その神様は永遠を生きないかと俺に提案をしてきたんだ。まぁ平たく言えば神様にならないかとね」

「断ったのか?」

「断れなかった。というより答えを有耶無耶にして俺は死にに行ったからね。きっと彼女は悲しんでいただろうけど仕方ない事なんだ。俺は人として生きて死にたかったんだから」


懐かしむ様に、過去の自分を肯定して気持ちを和らげる様に男は言った


「お前も苦労してたんだな」

「君程ではないさ」


この男、今はアイツに危害を加える気がない様だし泳がせておくか。だがアイツに何かしようってんなら容赦なく燃やし尽くす。

アイツが消えると俺も消える。俺はまだ世界を見たいしアイツの道行に興味がある。だからこれは欲深い俺の自分勝手なエゴなのだ

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