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華姫奇譚  作者: 葛籠屋 九十九
第3章 華姫騒乱編(上)
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第12幕 影と

「はぁ・・・なんか一気に疲れた・・・大した魔術も使ってないってのになんだってんだよ・・・」


我輩は魚屋から離れて自動販売機で缶珈琲を飲んで一服している。

それにしても疲労感が半端ない。いつもより魔力の消費は少ないはずだしなんでこんなに疲れてんだよ。歳か?

珈琲を一口飲みその甘ったるさに癒されながら考える


「考えても仕方ねぇだろ」


視界はそのままに影朧の声が聞こえる。いつもは真っ暗な水面に意識ごと持っていかれるのだが今は視界がはっきりと現実を捉えている


「なんだ、我輩は死にかけてるのか」

「そんなわけ無いだろうが。俺がちょっとだけ努力してこうやって表に出てきてやってるだけだ」

「マジか。お前もしかして我輩を乗っ取ろうと・・・」

「阿呆か。こうやってアドバイスとか出来た方が便利だろうからな。それに俺はお前の体の主導権なんて要らねぇよ」


なるほど。割とまともな理由だ。というかこれはかなり助かるのでは無いだろうか


ちょっと待て、この疲労感ってもしかして・・・


「思いのほか早くバレたな。まぁでもこうやって表に出て話せんだ多少の疲労感は良いだろ」

「まぁな。これで意識吹っ飛んで気付いたらやばい状態になる事は無いな」

「あぁ。それを考慮してのこの状態だ。まぁそう易々と使える物でもないが」

「そうだな。我輩が異様に疲れるし何より周りに独り言を呟いてるヤバいやつに見られそうだ」

「それは大丈夫だ。俺の声は外にも聞こえている。なぁ姫」


影朧は笑うように言う。影朧が言う姫・・・虎織か?


「きっちり聞こえてるよ。まぁ影はやばいくらいに動きまくってるけど」


虎織の声が隣から聞こえた。影朧との会話に夢中になっていた為、というか隣に居るのが普通過ぎて虎織がそこに居たという事に気が付かなかった


「姫、こいつ姫が隣に居るのに気付いてなかったぞ。なんか言ってやれよ」

「んーいつもの事だから気にしないよ。特に疲れてる時はね」

「たまには甘やかさずにガツンと言ってやれ注意力散漫だってな」

「疲れてる時くらいは気を抜いてもいいんだよ。なにかあったら私が何とかするからさ」

「うーわ。姫アレだろダメ男に恋するタイプ、いや恋人はとことん甘やかして依存させるタイプだろ・・・漫画で読んだ事あるぞ」


影朧が漫画を?我輩の記憶と断片でも見たのか?


「なあ影朧。夜勝手に我輩の身体動かして本読んで無いか?」

「おっと、口が滑ったな」

「やたら眠いし身体がダルい時あると思ったら・・・てか本読んでるだけか?」

「それ以外はやることねぇだろ」

「そうか。てか勝手に我輩の身体使うなよ!」

「お前は俺で俺はお前だからいいだろうが!」

「良くねぇよ!」

「なんだよケチ!」

「キャラ崩壊してんぞ」

「俺の唯一の娯楽だぞ!というかお前が読んでると俺は記憶の断片で中途半端にしか読めねぇんだよ!気になるだろうが!」

「そりゃそうだな。我輩でもそうする気がする・・・」


ふふっ、っと虎織が小さく笑う


「なんだよ姫。笑う部分はねぇだろうが」

「そうだぞー笑い所は無いだろ」

「いやぁ、2人ともなんだか兄弟みたいだなって。なんだか微笑ましいって言うべきなのかな」

「えぇ・・・」

「確かに影朧って兄貴っぽい所有るよなー」

「何処がだよ」


不服そうな影朧の声に我輩は答える


「割と我輩の心配してくれたりとか必要なら背中も押してくれるしな」

「はぁ・・・そんなもんで兄貴判定出るならお前何人兄貴居るんだよ・・・」

「いやいや、影朧の兄感は異常だって」

「んなもんあっても仕方ねぇだろうが。ってかそろそろ俺は寝る。こうやって表に出て疲れるのはお前だけじゃないみたいだしな」


影朧はそう言って引っ込み我輩の影は我輩と同じ動きをする様になった


「なぁ虎織、影朧が夜に表に出てきてるの知ってたのか?」

「実はね。無害そうだし何より本を読むだけならそんなに時間も遅くならないかなって」

「あーなるほど・・・」

「黙っててごめんね」

「いいさ。それもまた虎織の優しさだろうしな」


影朧が夜に出て来ているという風に聞いたら今までの我輩なら不安で寝付けなかっただろう。最近の寝付けない状態を悪化させない為に黙っていてくれたのだろう。

我輩は珈琲を飲み干し1つ息をつく


「さて、戻ろうか」

「うん」


魚屋へと戻る為来た道を戻る。何故か違和感があるがさっきまで影朧が出て来ていたからなのだろうか?

まぁそんな些細な事は気にしても仕方ないか

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