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華姫奇譚  作者: 葛籠屋 九十九
第3章 華姫騒乱編(上)

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第4幕 ただ眠るのみ

「布団はっと・・・」


独り言を呟きながら押し入れを開け虎織の布団を引っ張り出し畳の上に敷く。

それにしても眠気が酷い。最近は書類仕事が忙しいし黒影も頻発していた。その為まともに休めていないのだろう。このままこの敷いた布団で寝てしまおうかと思う程だ。まぁやらないけどさ。そんなのアリサや琴葉ちゃんに見られたら変態扱い所か家主である我輩がこの家を追い出されてしまう


「お兄ちゃん。ぼーっとしてどうしたの?」


アリサが後ろから声をかけてきた


「あー、ちと疲れてるっぽい。眠気がな」


特に隠す事も無くアリサに打ち明ける。隠す必要もないし変に誤魔化すと良からぬ事を考えてる様に思われる


「それならそのまま虎姉の布団で寝たらどうかな?」

「いや、それなら部屋で寝るのがいいだろ」

「でも虎姉の布団なら落ち着いてゆっくり眠れるんじゃない?お兄ちゃん虎姉の匂い好きでしょ」

「まぁそうなんだけど・・・でもさ琴葉ちゃん守る仕事有るのに落ち着いて寝る訳には・・・」


急に視界が揺らぐ。ふらりと力が抜け、抗い難い瞼の重さが襲ってくる


「風咲君、琴葉ちゃんの護衛は私にお任せ下さい」


紫色と茶色の瞳を確認し我輩は先程まで抗っていた瞼の重さを肯定し、その場で畳に寝転がる。

あれ?あの人なんでここに・・・てか眼帯の下のアノ眼って・・・

そんなどうでもいい事は眠気と虎織の部屋の少し甘い匂いに紛れ消えていく。あぁ、久しぶりに6時間以上眠れそうだ・・・





重苦しく鈍い鐘の音が響く。敵襲だ。はぁ・・・せっかくゆっくり眠れる状態だったってのに・・・

むくりと身体を起こそうとしたが誰かが上に乗っているのか身体が起き上がらない


「風咲君は寝ていてください。私が対処します」


聞き馴染みのある声を聞いてその言葉に従う。目を開けることなくもう一度微睡みへと身を任せる。心地よい重さが身体に乗っている為眠るのにはそう時間はかからなかった




「お前は行かなくていいのか?」


完全に眠りに落ちる前に声をかけられた。声の主は我輩の身体に刻まれた禁厭を元とした意志を持った魔術式、影朧だった


「日々喜さんが休んでろっ言ったんだ。大丈夫だろ」

「仲間を過信し過ぎると痛い目見るぞ」

「それもそうだが今回は大丈夫。というか寝かせろ」

「まぁ良いだろう。しっかり眠りやがれ」

「あぁ、おやすみ」




「・・・んー」


夢を見ることも無く目が覚める。ぐっすり眠れたお陰か頭もスッキリして身体が軽・・・くない。むしろ重い!特に腕!重さというか圧迫感がある。とりあえず目を開けて状態を確認しなくては


「は?どういう状態?」


疑問が脳を支配する。なんで?なにこれ?それしか頭に浮かばない。左腕に虎織が抱きつく形で寝て、右腕に琴葉ちゃんが乗っかっていた。頭だけじゃなくて背中とかも。あと肩付近でヨダレでダラダラまではいかないが濡れていた


そして身体の上に白い狐の神様、白狐が眠っていた


「おはようございます風咲君。両手に華の起床の気分はどうですか?」


日々喜さんが天井に居た。何となく思考がまともになってきた。1箇所で寝ていた方が守りやすいという考えだろう。アリサに関しては魔術式で作られた隠し部屋を部屋としているため大丈夫というのだろ


「あー最高?」

「そうでしょうね。想い人と幼なじみの可愛いロリっ子、男性としては堪らないシュチュエーションでしょうね」


笑いながら日々喜さんは言う。珍しく柔らかい表情だ。いつもはクールに、殺気立っているのだからこういうのは新鮮だ


「そう言えば昨日の夜の敵は?」


気になった事を聞く。見た所外傷もなく消耗も感じられない


「ただの武装した外国人の襲撃でした。風咲君が出るまでもない様な弱々しい人達でしたけど」

「銃撃とかはされてないんですか?」

「表札の風咲の部分が蜂の巣になったぐらいですかね」

「わぁ・・・不吉だ」

「まぁ風咲君の所だけ狙わせたんですけどね!」

「爽やかにすっごい事カミングアウトしてませんかねぇ!?」

「だって琴葉ちゃんに抱き枕にされるとか羨ましいじゃないですか!?」


怒られて、妬まれた


「挙句そのもふもふまで!」

「我輩からしたら気が気でないけどな。こいつの毛我輩と相性悪すぎてくしゃみが出やすくなるし」

「おや、風咲君はアレルギー持ちですか」

「いや、こいつの毛が合わないだけです。他の動物の毛は大丈夫なんですけどね」


今思えば白狐は何故ここに?まぁそこはこいつが起きてからでいいか。にしてもお腹付近で寝てくれているのはこいつなりの優しさだろう


「んっ・・・あっ、将鷹おはよう」


虎織が起きた。珍しく寝ぼけることも無く意識がハッキリとしているようだ


「あぁ、おはよう」

「腕痺れてない?大丈夫?」

「大丈夫だ」

「そっか。ならもう少しこのまま・・・」


ぎゅっと虎織は我輩の腕を抱き締めもう一度微睡む。というか直ぐに寝息をたてていた


「朝からお熱いですね。胸焼けして砂糖を吐きそうです」

「表現が独特だなぁ・・・」

「そうですかね?まぁどうでもいいことなのですが。それはそうとアルカンスィエルの件についてですが、どうやら城ヶ崎が絡んでいるそうですよ」

「城ヶ崎か・・・」


これは厄介な事になるな。本体が華姫に来ることがあるならあの符術士には今度こそ退場してもらうか

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