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第9話 スキル発動ですわ

「やってやりますわ! 姫プ……姫騎士プレイを!」


 キリッと宣誓した直後、デュークドラゴンの炎がトウカに放たれた。


「きゃわぁぁぁ!?」

「あー……」


 アンジュは苦笑いしたが、意外にも爆炎の中から健在のトウカが現れた。

 剣を構えたポーズのまま、ガタガタと震えている。


「い、生きてますの!? 私生きてますの!?」


 自分のHPを確認して目を見開く。


「HP1ですわ! ぎりぎりですの!」

「不屈スキルか! マスターの野郎、レアスキルを趣味の装備に持たせやがって……!」


 『不屈』は1日に1度だけ、即死する攻撃を受けてもHPを1残して耐えることができるスキルである。

 マスターが自分自身に使っていなかったことからも分かるように、装備に付与してしまうにはもったいないレアなスキルだ。


「でももう後が無いぞ! トウカ、AAOの神グラ楽しみたきゃちょっと下がってな!」

「いいえ! 私なんだか楽しくなってきましたわ!」


 ハイになったトウカはぶんぶんと剣を振り回す。

 その動きが挑発だと判定されたのか、彼女にターゲットを定めたデュークドラゴンが続けて炎弾を放つ。


「ですわぁぁぁぁ!?」


 反射的に剣を振って炎弾に当てると、トウカに激突する直前で白いエフェクトと共に爆散した。

 HP1のトウカは無事だ。


「ジャスガか! トウカ、偶然とは思うがやるじゃねえか!」


 AAOの攻撃には、モンスター、プレイヤーそれぞれにガードポイントと呼ばれる場所が存在する。デュークドラゴンの炎弾であれば火球の中心、トウカの細剣はその先端だ。

 2つをぴったりと合わせることで、モンスターの攻撃を無効化することができるのだ。

 『ジャストガード』。通称ジャスガと呼ばれる上級者向けのシステムである。


「なんだかよく分かりませんがやりましたわー!」


 ぴょんぴょんと飛び跳ねて喜ぶトウカに目を奪われたのはバサラだ。


「うおぉぉ!? あ、やべグハァ !!」


 ダイナミックに()()()彼女を見ていた男が、振り下ろされたデュークドラゴンの尻尾に押しつぶされた。

 大木のように太い尻尾の下から『DEAD』の表示が浮き上がる。


「馬鹿2人目だ。トウカ、あれ実質お前が殺してんぞ」

「えぇ!? なんでですの!? ごめんなさいバサラさぁん!」


 ターゲットが減り、トウカに向けての攻撃も多くなるが、それでも彼女はそのHPを0にすることなく生存し続けていた。

 その理由は一目瞭然。

 炎も、爪も、牙も、尻尾も。

 凶悪な竜の攻撃全てをジャストガードし、ダメージを一切受けていないからだ。


(いやいや、トウカのやつ何回ジャスガ決めてんだ?)


 その異様な光景を、その場にいたアンジュとランヴァルは疑問に思うしか無かった。


(こいつ……もしかしてとんでもないプレイヤースキル持ってるのか!?)



土日は1日複数話更新できそうです。

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