第48話 果たし状ですわ
「いろいろと動いて頂いている身で申し訳ないのですが、今回の件はあまり急いで対処しなくてもいいかもしれないと思い始めているんですの」
アンジュと2人でギルドへの道を歩いている途中、トウカがそんなことを言い出した。
「急にどうしたんだ?」
「こういった出来事も私を多くの方に知って頂いた結果だと言えるかもしれませんし、私の動画を見て下さっている方にはきちんと説明しましたので」
実際の所、ニセトウカをトウカ本人だと思っているコメントは、マスターを囮に誘い出した動画のおかげでほとんど無くなっている。
「それに、私のお知合いの方だとしたら、ツララさんのようにゲームの中でお友達になっていけるかもしれませんし」
「ふーん。そういうもんかねえ。まあ、動画の再生数はむしろ上がったしな」
でもよ、とアンジュが続ける。
「マスターに頼んでるもんはどうするんだ? あいつめちゃくちゃ張り切ってたぞ?」
「勿論無駄にはしませんわ。動画ひとつ分のテーマにさせて頂きましょう」
「じゃあ今日はそのことあいつらに話して、そっちの動画撮るか」
「はい! 偽物さんには翻弄されましたが、私たちが動じなければあちらもやりがいを無くすかもしれませんしね」
ギルドに到着すると、慌てた様子のランヴァルが駆け寄ってきた。
「トウカさん、偽物の件ですが……!」
「はい。そのお話ですが、あまり積極的に対応せずともよいかと思っていまして……」
「え、そうなんですか? でも……」
「何かあったんですの?」
「はい。マスター、あれを!」
声に、マスターが1枚の紙を持ってきた。
そこに書かれている内容を、トウカが読み上げる。
「果たし状……?」
差出人の名はないが、だからこそ誰なのかよく分かった。
「トウカさん、どちらが強いか競いましょう。下記の時間と場所でお待ちしています。なお……」
そこで、彼女の言葉が止まった。
何も言わず、目を見開いてひきつった笑みを浮かべている。
「どうしたんだ?」
不思議に思ったアンジュが果たし状をのぞき込み、最後の一文を見てその表情の理由が分かった。
――――なお、来なかった場合はトウカアバターで露出プレイなどしてみようかと思います。
「絶対に垢BANして差し上げますわッッッッッッ!!」




