第40話 新スキルですわ
だだっぴろい草原フィールドの真ん中で、トウカたちは本日の動画撮影をしていた。
「バサラはどうしたんですか?」
「さあ。なんか誰かと約束あるとか言ってた気がするけど……」
「あいつは今日役割ねえんだからいいだろ。そんなことよりチャンピオン、どんなスキル貰ったんだ?」
早く新スキルを見たくてうずうずしているアンジュを前にして、トウカは辺りをきょろきょろと見渡した。
ちょうどいいものが見当たらず、どうしようか迷っているのだ。
「ツララさん、あなたのスキルってどこまで高く飛べますの?」
「『大跳躍』のこと? まっすぐ上なら雲に届くくらいいけるわよ」
「まあ! それはちょうどいいですわ!」
言葉の意味が分からず、ツララは顔をしかめる。
「どういう意味?」
「ちょっと見せて頂いてもよろしいでしょうか?」
「仕方ないわね……『大跳躍』!」
地面を蹴って、ツララが砲弾のように跳びあがる。
4人が見上げる頃には、彼女の身体は豆粒ほどになっていた。
それを見て、トウカは剣を取り出す。
「おいトウカ、あいつを跳ばせたのってひょっとして」
「『大投擲』!」
言って、トウカは細剣を上へ打ち上げるように放り投げた。
ロケットのような風圧が発生し、ツララを追って瞬く間に剣が小さくなる。
「……これが新スキル『大投擲』ですわ」
「よく見えませんけど、ツララさんはどうなったんですか?」
「…………」
「あ、DEAD表示」
「ねえ? ひょっとしてアンタも私のこと結構嫌ってる?」
怒りすら超越した賢者のような顔で、リスポーンしてきたツララは微笑んでいた。
「超遠距離の攻撃ができるスキルですか……これ完全に『大跳躍』対策ですね」
「私が優勝してたらどうしてたのよ。これだからここの運営は……だいたい『大跳躍』だって地上の広範囲スキルが強かったからその対策で実装した風なのに私の『凍結』と合わせて環境破壊できちゃったしいつもこのゲームは」
「面倒くせえモードに入ったぞ。トウカ、ここカットな」
原っぱでツララの文句を聞いていると、野太い声が聞こえてきた。
「バサラさんですわ。何やら慌てている様子ですが……」
「なんか予定あるとか言ってたんだよな? デートの約束でもすっぽかされたか?」
走ってきたバサラは、手足をせわしなく動かしながらトウカの方を見た。
「ト、トト、トウカちゃん……!」
「は、はい! どうされたのでしょうか?」
「トウカちゃんがあっちで、初心者が……えっとな、なんというか……」
「要領を得ないわね。結論だけさっさと言いなさいよ」
ツララに言われ、バサラは深呼吸をしてから、言われた通り結論を告げた。
「トウカちゃんが炎上してる」
「…………………………………………はい?」




